地元の話

2年ぶりに、地元に帰省をした。

いくら親と言えど、2年ぶりに面と向かって会うので、少し緊張もしていた。
(普段、電話をすることもほぼないので、声を聞くことも久しぶりだったし。)

久しぶりに会った親は変わらずに出迎えてくれた。祖母はさすがに年老いて、耳も遠く、歩くことも難しくなっている様子だったが、それでも元気そうな様子だった。

両親は昨年の3月で仕事をいったんリタイアしたものの、その半年後には新たな仕事をはじめたらしい。

ぼく自身、恥ずかしながら仕事なんてやらなくていいならそれに越したことはないと常日頃から考えている怠惰な人間だし、退職した両親にはこれからの人生をゆっくり過ごしてほしいと思っていたが、結局また仕事をはじめたものだから親のバイタリティには感服する。

とは言っても、両親も若くはないし、祖母はもっと若くないし、あと何度顔を見せられるかなと考えていた次第だ。
何はともあれ、久しぶりに顔を見せることができてよかった。

今回の帰省は限られた時間でもあったし、両親と祖母、それから親戚に久しぶりに顔見せできればそれで良いと思っていた。

ただまあ上手く予定が合って、高校時代仲が良くて、現在は地元に残っている友人たちにも会う機会があった。

高校時代とさして変わらない会話をして、懐かしさを感じたと思えば、今後の将来の話などもして、あぁなんだかんだみんな大人になってきてるんだなとしみじみした。

両親にも祖母にも親戚にも友人にも会うことができて、それだけでも良い時間を過ごすことができたが、今回の帰省で本当にうれしかった出来事をここに記しておきたい。

ある友人から一本の電話があった。その友人は高校時代の部活のチームメイトだった。
彼曰く、当時の部活の監督を務めていた先生の退職祝いをやっているらしい。

その先生が今年度限りで退職することは聞いていた。高校を卒業してからもうすぐ7年、この間一度も会う機会がなく、これを逃すともうこんな機会ないと思った。

自分自身の部活での活動を思い返すと、その先生には本当に迷惑をかけてばかりだったと思う。
その先生は自分たちの代が2年生の時に赴任され、その後卒業まで2年間ご指導いただいた。

当時のぼくと言えば、食に対する過度なストレスから、急激な体重増減を繰り返していて、身体管理もままならない時期だった。
太ってからの方がいくらか体力的にはましだったものの(栄養は摂っていたので)、走れないし、動けないし、スタミナはないし、メンタル的にも弱く、本当に扱いづらい選手だったと思う。

今となっては笑い話だが、高校最後の大会は、試合に出場して十数秒、負傷して交代した。(鼻血が出ただけで全く重傷ではないけど)

本当にどうしようもない教え子だったな...

そんなことを考えると、どんな顔して会えば良いのか、そもそもぼくのことなど覚えているのか、不安に思いながら挨拶に向かった。

先生とその一行がいるというお店につき、会が催されている個室に入った。
入って早々、自分の同期や後輩たちが出迎えてくれて、懐かしがってくれたり、高校卒業時より20〜30kgほど痩せた姿を面白がったりしてくれた。

そうこうしているうちに、奥に座っている先生を見つけ、少し不安を抱えながらも先生の前に座った。先生は全然変わっていなかった。

先生はぼくを見るやいなや、「お前○○か!痩せたなあ!誰かと思ったよ」と笑いながら声をかけてくれた。
もうこの時点で正直泣きそうだった。あぁ、こんなどうしようもないぼくを覚えててくれたんだなと。
その後もぼくの親の話やぼくの近況を笑顔で聞いてくれた。(この先生とぼくの親は元々知り合いだった)

それから先生は、続けて高校時代の思い出話もしてくれた。

「最後の大会もお前、鼻血だしてほんとに...!(笑)」

あぁ、あのときのこと、覚えててくれたんだ...

まさか先生とこんな風に話せる日がくるとは思わなかった。涙を流しながら話した。(泣いていることは必死に隠したけど)

先生が退職する前に、顔を見せることができて、挨拶することができて、本当に本当によかった。


いろいろとまだ落ち着かない状況ではあるけれど、今回帰省して本当に良かった。

おかげで、高校時代を思い返すことができた、というか高校時代に戻ることができた、良い時間を過ごすことができたから。

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