たぬきの弟子育成講座・憲法

たぬきの弟子育成講座、憲法編です。全5回にわたり、以下のテーマにそって、講義を行います。

⑴概要
①平等権(H23)
平等権の2段階審査を扱います。1段階目はそもそも差別があるのかどうかという審査であり、2段階目は差別を正当化する合理的根拠があるかという審査です。2段階目はさらに目的審査をクリアした場合に、比例性審査に進むという多重構造があります。

②自由権総論・信教の自由(R1)
自由権の審査は、3段階審査が基本です。権利の保障範囲を確定し、その制約の有無・程度を論じ、制約の正当化を論じます。保障の程度と制約の程度は相関関係にあり、これによって審査密度が決まってきます。そして、この審査密度を規範においてどのように表現するかは、法令違憲・憲法適合的解釈・処分違憲のそれぞれの場面で変ってくることに注意が必要です。

③表現の自由(R3)
表現の自由においても、間接的・直接的制約の区別はありますが、メインは直接的制約の中での制約態様であり、いわゆる事前・事後規制、表現内容・内容中立規制の区別が重要です。また、表現の自由の保障範囲は判例で徐々に拡張されてきた歴史があるため、これらをフラットに並べるのではなく、保障の中核部分と拡張された周辺部分を意識する必要があります。

④経済的自由(H29 )
財産権・職業選択の自由も、権利の中核部分があります。職業選択の自由であれば「職業」が中核であり、営業の自由は遂行手段にすぎないため、権利の周辺部分にすぎないのです。一方で、従来的な規制目的二分論を採用しないとしても、規制目的をどのように考慮するか、制約態様を中心にみる現在の思考枠組みの中で、どのように位置づけるか明確にしておいた方がいいでしょう。

⑤制度上の人権(H25)
憲法の難しさの根本は、従来のアメリカ的な違憲審査基準論に対し、最近のドイツ的3段階審査論がミックスされて、どっちつかずの判断枠組みが構築されていることにあります。答案においては、ドイツ的な比例原則の枠組みを採用し、権利の性質の考慮の仕方をおさえれば、未知の問題にも対応できるようになります。

⑵講義(動画・資料)

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