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「肉体」と「強さ」

キン肉マンことキン肉スグルは、作中でもブタだとかだらしなく太った身体などと揶揄されているように、ちょっとぽっちゃりしたイメージがあるのではないだろうか。 
そんな彼の体格はというと、身長185cm・体重90kg。 
なかなか恵まれた体格をしている。 

超人の仲間たちの中で比べると、どのような体格なのだろうか。 
何人かの超人を挙げて比較してみよう。 

テリーマン:190cm・95kg 
ロビンマスク:217cm・155kg 
ウォーズマン:210cm・150kg 
ラーメンマン:208cm・130kg 

特筆すべきはラーメンマンではないだろうか。 
ラーメンマンはバッファローマンのタッグや持ち前の素早い動き、テクニックにより、どちらかというと小柄なイメージがあった。 
しかし数値的には、キン肉マンより20センチ以上大きく、体重は40キロも重い。 
それだけの肉体であの動き、さすがである。 
なお、バッファローマンの体格は250㎝・220kg。 
イメージ通りの立派な肉体であろう。 
2000万パワーズの強さも頷ける。 

さて、ご承知のとおり、ラーメンマン(モンゴルマン)の超人強度は97万パワー。 
バッファローマンの1000万パワーと足しても2000万にはならない。 
これは作中でモンゴルマンが説明しているから言及しないが、1000万の技があるから合計2000万パワーであるそうだ。 
なるほど、と思えるようで不思議に思われないだろうか。 

パワーをx、技をyと置き換えてみよう。 
バッファローマンのパワーは1000万x、モンゴルマンの技は1000万y。 

1000万x+1000万y=2000万x 
移項して、 
1000万y=2000万x-1000万y 
y=2x-x 
y=x 

つまりxとyは同質のものであると考えられる。 

ということは、パワーとテクニックはイコールでくくれるというもの。 
1パワーはひとつの技とイコールになる。 
となると、1000万x+1000万yが2000万パワーズになることも納得できる。 
となると、モンゴルマン自体の97万xはどうなるのであろうか。 

1000万x+1000万y+97万xになるのではないか。 
そうなると2097万パワーズである。 

これを約2000として捉えないとすると、 
モンゴルマンは元来の97万パワーを使わずに闘っていると考えられる。 

言い換えれば、バッファローマンはパワーで闘うファイター、モンゴルマンはテクニックで闘うファイター。 
少なくともパワーとテクニックは同一のフィールドで比較することができる要素であると考えられる。 
ここが、超人強度が何十倍も違う強豪超人に正義超人が勝ち星を挙げることができる所以なのではないだろうか。 
正義超人はパワーで劣る分、テクニックでカバーしなくてはならない。 
パワーだけが強さではないのである。 
それゆえ、パワーで劣る正義超人は、巨大な体躯よりも、テクニックを活かせる小柄な超人が活躍するようになるのであろう。 
ウルフマン(リキシマン)は相撲モチーフの超人ではあるが、190cm・102kgと超人にしては小柄でスリムである(もちろん千代の富士関をモデルとしていることが一因ではあろうが)。

パワーが強さではないということである。 

ちなみに、各シリーズのラスボス級の体格と強度は、 

悪魔将軍:220cm・162kg・1500万パワー 
ネプチューンマン:240cm・210kg・2800万パワー 
キン肉マン・スーパーフェニックス:190cm・114kg・1億パワー 

前述のロビンマスク、ウォーズマン、バッファローマンともあわせて、ライバルがどんどん巨大になってきているのがわかる。 
そしてスーパーフェニックスは小柄である。 
キン肉マンより少しだけ大きい程度である。 

巨大な超人強度を内包させるにはどうしても巨大な肉体が必要なのであろう。 
巨大なグラスに水を注ぐような感覚である。 
巨大なグラスに少しの水は入れども、小さいグラスにたくさんの水は入らない。 
スーパーフェニックスのもともとの超人強度は95万。 
彼はパワーファイターではなく、テクニックのファイターだったのではないだろうか。 
知性の神から借りた1億パワーなんて必要だったのだろうか。 
運命の五人の王子のなかで、パワーがウリなのはビッグボディくらいである。 
マリポーサ、ゼブラ、フェニックスは正義超人くらいの100万前後の超人強度が一番活躍できたのではないか。 

テクニックで闘うファイターには巨大なパワーなど無駄なものだと考えられる。 
消耗が激しく、肉体も大きくなってしまうゆえに。 
2000万パワーズの例からもわかるように、テクニックで闘っている超人は超人強度としてのパワーを出していないのである。 

日常のなかでも、パワーにあらわされるような一元的なもので個々を比較することはできない。 
xもyだけでなく、無限の関数が広がっているのではないだろうか。 
そしてそれはたとえ数値であろうとも、比較するたびに違う結果を生み出す。 
約分も微分積分もできない、それが現実世界の計算式。 

私たちにとって、「本当の強さ」とは何なのか。毎日を過ごしていく中で、しっかりと見つめていかなくてはならない大きな課題なのではないだろうか。

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