ニューホライズン読解「1991年、夏~新たなる地平~」3

すこしづつ、距離感を変えていく由美、健、マイク、ルーシーの4人。 
エゴイズムに友情の殻を被せ、悲願成就せんと欲する。 
さあ、物語も佳境へと。 


レッスン8 

由美、ついにルーシーを呼び出して直接対決。 

「ルーシー、あなた日本語上手ね。学校で勉強してるの?」 
なんという皮肉だろう。 
「ええ、週3で日本語の授業があるのよ」 
「あらそうなの。マイクもじょうずに日本語話すわよ~」 
女って怖いわー。 
結局、私の方がマイクと親しいのよ、っていうアピールやんか。 
それが言いたいために、ルーシーの日本語ほめただけやん。 
てか、マイクもルーシーも日本語なんか使ったことないやんか…。 

そして、由美はルーシーの家庭環境を調べはじめる。 
「あなたのお母さんは日本語しゃべるの?」 
「ええ、母にはたくさんの日本人の友達がいるわ」 
「あなたのお父さんも日本語しゃべるの?」 
「いいえ、父はいつも英語よ」 
由美め、また何かたくらんでやがるな。 

「ねえ由美、あなた着物は持ってるの?」 
今度はルーシーの口撃だ。 
「いいえ。でも母はいくつか綺麗な着物持ってるわよ」 
「あなたのお父さんはどうなの?」 
何の意図かは分からないが、きっとさっきの仕返しだ。 
「父は持ってないわ」 
「ホントに!? ふーん。私の父は素敵なハッピを持ってるわよ。父はいつもハッピを着てハッピーよ。キャハハハ!!」 
ルーシーも怖いわ。 


レッスン9 

マイクと健の不毛な会話。 
「健、おめー何時に登校すんの?」 
「8時だよ」 
「どうやって学校行くん?」 
「歩いてだよ。君は?」 
「俺バス。7時半に出発して、8時半に学校始まるねん」 

女子たちが高度な皮肉の応酬してるちょうどその時、男子のこのやり取り。 
中1くらいの頃って、女子に比べて男子は数段アホだよね。無邪気やよね。 


レッスン10 

マイクは、由美とルーシー双方にいい顔をして、二股を狙っているようだな。 
今度はルーシーを家に呼んだよ。 


「マイク、カワイイ仔犬を飼っているのね」 
「ありがとう。僕はこいつが大好きなのさ。こいつも僕が好き。僕らは素晴らしい友達なんだ」 
イヌをダシにルーシーの気を引こうとするマイク。策士としか言いようがない。 
「この子の名前は?歳は?」 
「コロだよ。歳は十ヵ月さ」 
えらく日本的な名前の犬だ。 
つまり、ナンパのために、最近用意した犬ということだろう。 
末恐ろしいわ。 

「私は猫を飼ってるのよ。この写真見て」 
「とってもカワイイ猫だね。どっちがキミの?」 
「白い猫が私のよ。名前はキティっていうの」 
「じゃあこっちは?」 
「妹の。私たち猫ちゃんたち大好き。いつもいっしょに遊ぶのよ」 

「動物好きの優しい娘」路線で攻めることにしたらしいルーシー。 
しかしどうやらマイクはその計算に気づいているようなフシがあるね。 


物語もいよいよ盛り上がってきたよ。 
4人のひと夏の淡いラブ・ストーリー。この先、どうなってしまうのか! 
衝撃の展開が4人を待つ…のか? 


つづく。

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