不登校がはじまる。

曾祖母みっちゃんが亡くなり、納骨も済ませいつもの日常が戻って来たと思っていたら

父ジュンの借金が発覚する。

「○○○さーん。居るんでしょー?出てきてくださいよー」

毎日決まった時間に取り立てにくる借金取り。

ここ数年で闇金ウシジマくんを見て
「ウォォォ!これこれぇ!まさにこれぇ!」ってなりました。

あれ、怖いですよ。まじで。

取り立てにくる借金取りとは別に
鬼電してくる金融屋もいた。

何件に借りてたんだよ、ジュンさん。

借金取りの対応に追われ
居なくなったジュンの行方を探し
私にかまってる暇などなくなった祖母。

だんだん学校に行かなくなる私。

小学校5年、不登校のはじまりでした。

なかなか学校にこない私を迎えにくる友人

ありがたいけど、学校行く気なんてさらさら起きなかった。

仲の良かった子達ともだんだんと疎遠になっていく。

ジュンが帰ってきて、借金取りが来なくなり

学校に行き始めた頃、またジュンが居なくなり借金取りがきて、不登校になり、ジュンが帰ってきて……この無限ループで小学校生活が終わりそうだった。

その時期に、従姉妹がデキ婚した。

相手は従姉妹の一個下、たか兄は私を可愛がってくれた。

何故か家に遊びに行くたびに、たか兄と同じ眉の形に整えられていたのを覚えている。
当時の私は両津勘吉並のカモメ眉毛だったのでありがたかったが…。

小学校の卒業式、どうせ父ジュンは来ないだろうと、たか兄と従姉妹が親代わりに出席してくれる事になった。

そして当日、約束通り従姉妹とたか兄は来てくれた。

卒業式では、卒業証書をもらった卒業生が席に戻る時に両親に感謝の一言と共に一輪の花を渡す事になっており
私は、祖母に渡す事を決めていた。

私が証書をもらい、祖母は何処にいるかとキョロキョロしていると
保護者席の後ろの方で立ち上がりこちらに向かってくる人影…

ババァそこにおったんか!!

その人影が近寄ってくる
段々とハッキリしてくる人物像。

……ラクダ色のコート、変なハット、口ひげ。

うん。ババァじゃない。

そこに居たのは、来る予定のなかった父ジュンの姿だった。

何故そんなドヤ顔で、感謝の言葉を待ち侘びているのか。

スルーする訳にもいかず、花だけ渡して自分の席に戻る私。

未だに「なぜ来た」だし、腑に落ちていない。

式が終わって、保護者も入っての集合写真

私の同級生の皆さん
きっと出来上がった写真を見て
上段の真ん中に、やけに若い夫婦がいる事に「誰だよコイツら」となった事でしょう。

あれ、私の従姉妹夫婦です。
スッキリした?

あと、口ひげの妙に渋い顔した見慣れないオッサン。
あれ、私のクソ親父です。
スッキリした?

私も出来上がった写真を見て
「…不登校児の保護者出席人数が4人て、どういうこと。せめて集合写真に入るの断れや。」

ってなったからね。安心してください。
ごめんなさい。

記憶に残る卒業式を終えて、不登校児は中学校へと上がったのでした。