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第五回偽物川主催者ピックアップその2

君だけは惑わされないで~自分見つめて~
君だけは~大切なこと~抱きしめていて~

はい、そういうわけで(どういうわけだ)第五回偽物川のピックアップ第二回でございます。今のはLUNA SEAの『FAKE』という曲の歌い出しです。

私のピックアップは毎回テーマがあるわけですが、今回は「これは読んどけという作品」です。

美しき楽園 神崎あきら様

今のところの参加作品の中ではおそらくもっとも鋭く「ニセモノ」というテーマに迫ったのではないかと思うのがこちらの作品。内容はネタバレしたくないので、楽園のような南の島を舞台にして繰り広げられる、非常に生々しくかつシンプルでありながら同時に深い哲学的問いかけのあるサスペンスである、ということだけ説明しておきます。
この作品がニセモノというテーマに対して「深い」解釈を提示していると思うのは、この作品では主人公の心の拠って立つ基本のよりどころがそもそも「ニセモノ」なんですよ。でも、対置される「ホンモノ」というのは、無い。最初の挨拶で「ホンモノの存在についてどう考えるかが一つのキーになる」というようなことを私言いましたけど、まさに「ホンモノは最初から存在せず、ニセモノだけが残酷に“在る”」というのはそれを踏まえて非常に鋭い打ち返し方だったと思っております。

アンダードッグ 草森ゆき(草食った)様

えー、来月に『不能共』という作品が刊行されることになった、しかしお馴染み草さんの作品です。https://www.amazon.co.jp/%E4%B8%8D%E8%83%BD%E5%85%B1-%E8%8D%89%E6%A3%AE-%E3%82%86%E3%81%8D/dp/4041134471/

偽物川でも常連と言っていい参加者でいらっしゃるわけですが、今作その中でも過去イチじゃないかと思う。「バイオレンス」と「バディ」という、おそらくもっとも得意とされている二つの要素が交じり合い、昇華して、綺麗に爆発した感じで、傑作です。テーマがどうちゃらとか小難しいことを抜きにして一番面白い作品ということだけを言うならこれがここまでで一番面白かったです。舞台は現代アメリカで、主人公の少年が危ない青年と出会って、バイオレンスでバディしていく作品であるわけですが、純粋にエンターテイメントとしての完成度が最高だからみんな読んでみたまえ。騙されたと思って。


というわけで今回はこの2本でした。ペース的にやっぱりピックアップその3は確実にある感じになりましたので、また次回ということで。

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