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第四回偽物川主催者ピックアップその2

 はにほー。夏真っ盛りだけど今日は涼しいので機嫌がいい偽教授でございます。さて、「愛」をテーマに掲げた第四回偽物川小説大賞、その主催者ピックアップ第二弾をやってまいりたいと思います。
 その1もそうであったように、「それぞれ毛色の違う作品」を選んでいくことが多いわたしのピックアップですが、今回は違います。今回は「女同士」縛りで三本、ご紹介してまいりたいと思います。紹介順はエントリーの順、作者名は敬称略です。

ラブ・ガン 南沼

 一本目はこちら、セックス&ドラッグ&ロックンロールとでもいうか、一本目から強烈なサイバーパンク暴力小説です。
 少しはあらすじ的な紹介を試みますが、文明が滅び暴力の支配する未来の世界、身を寄せ合って(そして銃に縋って)生きる少女たちの物語です。
 性描写ありありのありで、個人的には「百合」とか「GL」とかいうよりもっとダイレクトに「レズビアニズム」という印象を受けた。たいへん破滅的な、タナトスの匂いがする作品なのですが、かといって厭世的というわけでもなく、どっちかというと生への執着は強く示唆されているところが面白い。
 あとレビューの数が結構多かったりなんかして、いわゆる一つの刺さる人には深く刺さるタイプの作品だと思います。

魔女と令嬢、猫を殺す花 ぎざぎざ

 これは百合です。ええ、一片の曇りもなく百合ですね。男が間に挟まろうとするとプレスされるやつです。はい。
 大筋としては、魔女(といっても若い。実年齢上も少女)と病弱な貴族の令嬢が出会って、でも令嬢には親の決めた年上の婚約者がなんじゃらほい、という、実に清々しいまでに王道を行く構成となっております。純愛というほど純愛ではないような気はしますが、性描写はありません。ありませんけど、ある意味ではエロいです。そう思わない人もいるかもしれないがおれがそうだと言ったらそうなのだ。
 これ書いてる今の時点で、もちろんNLの作品もほかにあるんですが、いちばんコテコテに「恋愛小説」やっているのはこれだと思う。
 これも主観で書いているんですが、思うにこれ、主導権握ってるの令嬢の方で、魔女(ギリ年上)の方が振り回されてる。そういう感じ。それがいい。 

Best girls On Board 森本 有樹

 これも女同士の小説なんですけど同性愛ではないと思います。ガロマンス、ないしロマンシスというやつですね。ブロマンスの女性版。
 とりあえず作品ページを開いてもらうとあらすじ解説で面食らうこと請け合いなんですが、正直申しまして、世界背景とかはあんまり重要ではないです。
「本物の戦闘機を飛ばしながら映画を撮る」。
プロットとしてはほぼそれだけで成り立っている作品です。で、主人公の女性パイロット(プロの軍人)と、役者の女(本職の女優)が、その合間に心の交流を持つ、そこに作品としての神髄があります。
 一万二千字あまりの文字数のほとんどはメカと飛行の描写に費やされていて、テーマである「愛」について記述されている部分は文字数としては非常に少ないのですが、この作品について言えばそれが「良い」です。かなりの高等テクニックなので無闇に真似るのはおすすめしませんが(俺もやれる自信ない)、ぎゅっと絞り込まれた描写であるが故の良さ、というものがこの作品のガロマンス描写からは感じられました。
 あー。いいなあ。しみじみ。俺もこういうの書いてみたい。


 さて、というわけで主催者ピックアップ第二回でした。さすがに次は間を置くかもしれませんが必ずまたやります。ではでは。アディオス。ばいちゃ。


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