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大真面目なのが可笑しくて怖い〜「歌わせたい男たち」二兎社〜

こんにちは。閲覧ありがとうございます。
読書会の告知をさせてください。

第3回子どもの権利ハンドブックゆるゆる読書会
◇日時   12月11日(日)10:30〜
◇場所   ぼっとう&よはく  
 コワーキングスペース ぼっとう&よはく
◇参加費 800円
(お菓子とワンドリンク付き、高校生以下無料)
◇テーマ
「愛してくれる人と暮らす権利」(全文、8〜11条、18条、20条、21条) 
本は読んでいても読んでいなくてもOKです。子供たちの意見を聴きたいので、お子さん連れ大歓迎です。ゆるゆるとおしゃべりしましょう。



さて、先日こちらを観てきました。

(コロナの関係で公演が中止になってる!奇跡的なタイミングだったのですね)

HPよりの作品紹介はこんな感じです。

【以下引用】
ある都立高校の保健室を舞台に、卒業式での「国歌斉唱」をめぐる教師たちの攻防を描き、大きな反響を呼んだ二兎社の代表作が14年の時を経て現代に甦ります。2005年にベニサン・ピットで初演した際には、連日立ち見の出る大盛況となり、極限状況に追い込まれた教師たちの織り成すドラマに、観客の目が釘付けになりました。以下、当作品への評価です。
第5回朝日舞台芸術賞グランプリ(二兎社)・秋元松代賞(戸田恵子)第13回読売演劇大賞最優秀作品賞(二兎社)・最優秀女優賞(戸田恵子)・優秀演出家賞(永井愛)
『歌わせたい男たち』が描く公立学校の卒業式をめぐる状況は、学校だけでなく、職場やサークルなど、大小の差はあれどんな組織でも起こりうるものです。重要な問題が発生しても正面から向きあわず、論点をずらしたりその場を取り繕うのに躍起になったり。その結果、何も解決しないどころか、当事者の心が少しずつ壊れていくことも……。この作品に登場する保健室の扉の向こう側は、まさに私たちの生きる社会そのものと言えるでしょう。
 はからずも自分自身の生き方を試される状況に陥ってしまった人たちの攻防がリアルタイムで展開する、驚愕の「笑える」悲劇にどうぞご期待ください。
【引用終了】

教育になんだか微妙な風が吹いているような気がしている今、
卒業式のでの国家斉唱がテーマのお芝居って!
これは観ないとならないでしょう!
二兎社は若いころ観たいと思って観見られなかった劇団なのです。永井さんと大石さんの二人芝居、すごーく観たかったのに見逃し続けていいました。永井愛さんの脚本も「ら抜きの殺意」とか、もう気になって気になって仕方なかったのに観られず。今回、やっとやっと観ることができてうれしい限りです。感想はネタバレありです。すみません。

私、音楽の先生が伴奏するのをためらう話かと思っていたのですが、
音楽の仲先生(キムラ緑子)は、元シャンソン歌手で学校現場のことはさっぱりわかっていないのでした。この様子がなかなかに笑えます。何より声と佇まいが美しくて見とれてしまいました。卒業式の国歌斉唱の場面で立たない・歌わないを表明しているのは社会科の拝島先生(山中崇)で、彼はそもそもは猫の話をしたり、カフェでスイーツを食べたりするのが好きで「軟派」だったはずなのに、不起立を表明・実行しただけで「ゴリゴリの左翼」と言われることに戸惑いを感じつつも内心の自由を貫きたいと思っています。そんな拝島先生を歌わせたいのは校長先生(相島一之)と若手の英語科・片桐先生(大窪人衛)。「起立して!」「いえ、しません!」の攻防は保健室で繰り広げられます。養護教諭の按部先生(うらじぬの)は校長派なのかな、、、?とまあ、とてもシンプルな作りなのです。とてもわかりやすくて、歌わせたい派の解釈の変更や上(社会)からの要望に応えることこそ正義と考える姿が大真面目なのだけど笑えます。そう。コメディなのです。
でもドタバタはしていなくて、校長先生の台詞の中に「木蓮」が出てくるのもなんとなく学校っぽい。でも、笑っているうちに、、、校長先生の土下座や片桐先生の「国旗や国歌を愛することでグローバルな生徒を」というセリフを聞くうちに、怖くなってくるのです。国旗に敬意を表し、国歌を起立して歌う厳粛な卒業式に「自由がない」という拝島先生に校長先生が「自由はある。来賓の祝辞も送辞や答辞も紅白幕を出すか出さないかも答辞も自由だ!」と胸を張る校長先生のあたりがピークで(後でパンフレットで読んだら、これ、実際に国歌斉唱で起立せずに処分された教員の裁判であった発言なのだそうです。)怖い。吹き出すほど面白いんだけど、大真面目なだけに、怖い。そして、こういうことはたくさんあると思ったのです。「時代に合わせて」解釈を変えて、何か変だ・強引だと思ってもなんとなくそういうことにして日常が流れていく感じ。教育だけではないのかもしれない。他のいろいろな場面でも、空気を読むとか、和を大切に、とか言われがちな私たちだから。心の中くらい自由でありたいと思うけど、それすら難しい時代になってしまっているのかな?などとも考えました。それにしても観終わった後に誰かとしゃべりたかったです。

そうそう、パンフレットを読んでいたら初演の仲先生は戸田恵子さん、校長先生は大谷亮介さんだったのですね。観たかったなあ!二兎社の他の作品もまた観てみたいです。


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