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【俳句】【短歌】の記事

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俳句・短歌関係の記事をまとめました。
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#佐藤佐太郎

【短歌】誠の言の葉と詩情

詩を論ずるは神を論ずるに等しく危険である。持論はみんなドグマである。(西脇順三郎著『超現実主義持論』より) 事件的真実と「詩」とは本来別次元のものである。「詩」はいつでも純粋に、個々の要素に従って真実でなくてはならない。 (秋葉四郎著『完本 歌人佐藤佐太郎』より)  本稿は、歌人の佐藤佐太郎氏に師事した文学博士・歌人、秋葉四郎氏の論考(戦時下の光と影―第三歌集『しろたへ』論)をもとに、短歌を一流から二流、三流へと落としてしまう一要因を私なりに述べたものである。秋葉四郎氏の

短歌による旅路の目的地

 旅という経験は、身体が目的地へ行くことのみを意味しないと私は考えている。私個人の告白で恐縮ではあるが、幼少期より乗り物が苦手であり、必然的に旅も苦手である。三半規管の機能が未熟であるのか、精神の弱さなのか思い当たる節は多くある。しかし、私は不幸とは感じていない。なぜならば、言葉により世界を旅することができるからである。世界どころか宇宙も―異世界すらも可能である。光ですら到達しえない宇宙の遥か彼方でさえも、言葉は私を「運ぶ」のである。けだし、目的地を「思い出す」という表現が適