【俳句】助詞「の」の効用
俳句を俳句たらしめるものは何であろうか。ひとつに、意味の次元に留まらず、音韻、詩情の世界へ飛翔する点である。
俳句は五七五、わずか十七音で構成される世界最短の詩型である。そのため、一音に重みがあり、散文の場合のそれよりもはるかに与える影響が大きい。そして、俳句には、切れ字の概念が存在し、例えば「に」を「や」に変えるだけで、立ち上がる風景が大きく変わってくる。よく引き合いに出される芭蕉の「古池や蛙飛びこむ水のおと」と「古池に蛙飛びこむ水のおと」の違いである。後者は散文を五