【俳句】文芸上の真とは 水原秋櫻子をよむ
俳句は、現実を”ありのまま”に書くことのみが正しいだろうか。
例えば暑い季節、山中へ赴き、一本の滝を目の前にしたとする。水しぶきや滝の巻き起こす風が涼しいだろう。岩には青々とした苔が繁茂し、天は緑の木々に覆われている。
この景を俳句にしたい。滝、苔、木々、風も水しぶきもすべて込めた句にしたいと思うのが人である。しかし、およそ俳句は一点に絞ったほうがいいらしい。五七五のわずか十七音にいろいろと盛り込むのは難しいからだ。焦点がぼやけて、何が言いたいのか分からなくなってしまっ