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【俳句】【短歌】の記事

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俳句・短歌関係の記事をまとめました。
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2021年8月の記事一覧

【随筆】なぜ俳句の感想文を書くのか

 俳句が五七五で表現する文芸である点を知っていても、切れだとか、詩情だとか、深くまで知っている人は、私の周囲にほとんどいない。それは全く問題のない至極当然の事実である。  好きなことは誰かに勧めたい。自分から主張しては、お節介極まりないが、聞かれたのであれば、俳句は面白いよ、と偉人らの名句をみせる。  堂崩れ麦秋の天藍たゞよふ 水原秋桜子  芥子咲けばまぬがれがたく病みにけり 松本たかし  芋の露連山影を正しうす 飯田蛇笏  ほとんどの人が「どういう意味?」という。他、

【俳句】南 うみを『入江のひかり』をよむ

 私は、角川『俳句』を定期購読している。収録句数が多く、俳人らの本格的な評論も毎号収録されている。また、俳人の新規発表作品も豊富で、今の俳句に触れられる点は大きな魅力だ。もちろん、他社の俳句雑誌のどれも固有の魅力がある。  今回は、角川俳句七月号に掲載されている、俳人・南うみを氏の『入江のひかり』16作品のなかより、そのいくつかをご紹介したい。選と解釈は私個人の感想であるためご参考程度にお読みくだされば幸いである。  鱊来る雪の鼻梁の若狭富士  原書に注がある。鱊(いさ