【小説】家族の存在証明 -後編-
中学二年の冬、苗字を変えて、母と二人で暮らし始めた。住まいは日当たり不良の安アパートの一角で、風呂とトイレを別々に備えていたが、古畳の部屋が二つあるだけで、延べ床面積はこれまでの五分の一ほどになった。驚くべきことに、俺が通っていた中学校の側だった。
一部で物笑いの種にされていただろう。世間体を大事にしてきた母が、そんなことを気にしていたら生きてはいけないと言い放ち、俺にも強くあることを求めた。
ある日、スーパーマーケットの外で働く母の姿を見た。段ボールを片付けているよ