【小説】ふられて尚、単純につき
修一郎は、実に単純な男だ。故に、定職に就いていないにも関わらず、恋人と僅か二か月の交際で結婚を確信した。早とちりした報告は、親や友人に留まらなかった。バイト先でも得意満面に触れ回った。そして、交際開始からの日数を律儀に数え、百日目の記念日にプロポーズを決意したが、あまりにも虚しく、その五日前に別れを告げられた。
青天の霹靂の彼に、去りゆく恋人は言った。「女みたいにトイレが長すぎる男は嫌いなの」
翌々週の日曜日、クリスマスイブを迎えた。修一郎は、バイト先のシフト表を休み