【童話】司書さんと初恋のゆきさき
ちょっぴり田舎の小さなみなと町に、あるとき二十五年ぶりの大雪がふりました。古いと新しいがまざりあう町なみは、きれいな白一色にうもれて、おひさまがもどると、みなとの向こうにひろがる海は青くひかりました。空と海のさかいめには、うすい雲がとおい雪景色をながめるように寝ころんでいました。
いっぽうで、町に暮らすひとたちは、のんびりしている暇はありません。てんてこまいで雪かきをしました。大はしゃぎの子どもたちもお手伝いをして、どうにか会社や学校まで行けるように道をととのえました。