世界中に突如としてダンジョンが溢れ出してから、数年が経った。 ダンジョンはすっかりブームとなり、誰もがダンジョンの攻略へと勤しんでいる。 けど、俺は一度もダンジョンに足を踏み入れたことがない。 委員長に親睦会もかねてクラスのみんなとダンジョンに行くよう誘われてしまった。 最初は断っていたが、渋々行くことに……。 でも、不安だ。 だって、なぜか俺だけ、ダンジョンに出現するモンスターを認識できないのだから!! ステータスもダンジョン産の剣もポーションも俺にはなぜ
「今日、クラスのみんなでダンジョンに行こうって話をしていて、それでめぐみくんも一緒にどうかなって、思ったんだけど」 帰り支度をしていると、話しかけられた。 振り返ると、クラスの委員長が立っていた。 クラスでみんなでダンジョン……。 新学期が始まったばかりなので、親睦を兼ねて、皆でダンジョン攻略をしよう、ってか。 「ごめん、遠慮させもらうよ」 「え……、でもせっかく仲良くなる機会だよ! 一緒に行こうよ!」 断ったんだから、諦めてくれよ。 きっと俺のために誘って
あらすじ 育人は特殊な環境下で育った。 妖怪はいると豪語する父親のもとで、霊感を身につける修行をさせられてきたのだ。 だけど、一度も妖怪を見ることができなかった。 結果、無能と蔑まれ勘当させられてしまう。 理不尽な目にあった育人はこう結論づけた。 この世に、妖怪はいない。 育人はバイトをしながら高校に通っていた。 ある日、友達と肝試しをすることに。 そこで、妖怪を退治しにきた霊能者と出会ってしまう。 その霊能者は育人にこう語りかけた。 「まさか触れ
安河内伊那の右手には、霊刀と呼ばれる銀色に輝く刀が収められている。 「まるで素人みたいな立ち方だね。私は本気で君を殺す気だよ」 対面に立っている三階滝育人を見て、そう思う。 彼は刀を向けられているにしては随分と余裕がある表情をしていた。 どんな熟練者だって刀を見せられたら、警戒して表情がこわばるはず。それがないってことは、彼はよほどの素人か、それともこの刀が全く怖くない狂人か。 この様子だと、恐らく前者だろうか、と安河内は結論づける。 「えっと、そろそろ帰りた
「おっ! 育人、やっと来てくれたか!」 翌日を新聞配達のバイトを終えた後、登校しては教室へ入るなり、明が俺に声をかけてきた。 俺のことを待っていたようだが、どうやら彼はたくさんの生徒たちを集めてなにかしている。 「なにしてるんだ?」 「昨日のこと話していたんだよ」 そういえば、俺たちが夜の校舎に肝試しに行くことはクラス中に知れ渡っていたな。 つまり、クラスのみんなは肝試しの結果がどうだったか、心待ちにしていたというわけか。 「なぁ、育人からも言ってやってくれよ
まだ幼いときときの記憶だ。 俺たち兄弟は白装束を身につけ正座をさせられた状態で、なにかを見せられていた。 「あそこに妖怪がいるのが見えるか?」 父親がそう質問する。すると、弟は「はい、見えます」とハキハキした口調で返事をする。 「そうか。霊感を身につけたな」 満足そうに頷くと、今度は別の兄弟へと順々に同じ質問をしていく。 誰もが「見える」と答えていった。 そして、最後は俺の番だ。 「育人、お前はどうだ?」 「……み、見えます」 そう返事するも声が震え
はじめまして、北川ニキタです。 小説家になろうで主に活動しているラノベ作家です。 こちらのnoteでは今までの活動をまとめています。 【出版物】魔力ゼロの最強魔術師〜やはりお前らの魔術理論は間違っているんだが?〜 レーベル:TOブックス コミックコロナにてコミカライズ連載中 最弱な僕は<壁抜けバグ>で成り上がる ~壁をすり抜けたら、初回クリア報酬を無限回収できました!~ レーベル:Kラノベブックス マガポケにてコミカライズ連載中 虐げられた奴隷、敵地の天使なお嬢様に拾わ