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楽書き〜たのしする〜

今週、人手が足りないとの事でお手伝いさせて頂いていた仕事を辞めた。元の職場はコロナくぅ〜!!(カビラ風)の煽りを受け閉店中。だが、昨日新たのしな仕事が決まった。

ピンチはたのす

たのするたのし

さて、そんな事は挨拶レベルなのだが。印象的な出来事があったので残しておくとする。

最初に記した辞めた仕事というのが、デイサービスという場所であった。別にえっちな場所ではない。デリでもない。デイサービスだ。じいちゃん、ばあちゃんの話し相手をしたり、身体の不自由な方や認知症の方など、様々な人のケアをしたりする。デイサービスだ。そこで送迎や、中の仕事もお手伝いさせて頂いた。

そこの利用者 SUNの、

ある

おばあちゃんとの

最後の

おはなし





そのおばあちゃんは齢90を越えていて、神戸の大空襲も経験されていた。同じ神戸出身ということもあり、たくさん、たくさんお話しを聞かせて頂いた。ばあちゃんだけに、ここでは【B】としておこう。


認知症があり、同じ事をよくお話されるので、

B『あんたぁどこぉの人?』

T『三宮っす!』

というやり取り、3万回はしたなぁ。。オセロゲームではルールを忘れ?、自在に覆すので最強だった。しかしながら、戦時中の話はしっかりと、そして多岐にわたって伝えてくださった事が強く残っている。

そんなBちゃんは、声を出して喋れはするが、耳があまり聞こえないので筆談で会話をしたり、身体はというと、ファミコン世代なら周知であろうかの有名なテレビゲーム【くにおくん】で言うところの、ごうだ君ばりの頭突きを常かましてる角度なのだが、まだまだお元気で。

僕がわざとBちゃんの通り道を塞ぎ、ケツをぐぅ〜んとあげていると、いつもちゃんとお望みどおり杖で【ぺちんっ!!】してくれる。いつも朗らかで、働いている間一度も怒った事を見た事がない、誰かに負の感情を投げられてもすっと抱きまいらせる。そんな、たのしあふれるおばあちゃんであった。


さいごの日

色色な人にお別れの挨拶をすまし、Bちゃんにも伝える番がやってきた。小さなホワイトボードを手にし、書き記す。

T『僕今日でここ辞めます。今までありがとうございました!』

B『あんた辞めぇんのぉ!?』『自分で決めたん?』

唐突であったが故にクビにされると勘違いして危惧してくれたのか、、認知症特有のループなのか、、はたまた僕の意志を強く確かめたかったのか、、。僅か数分で10数回、このやり取りを繰り返した。

それを見ていた他の職員が、[私も辞めます〜〜冗談です〜〜!]というボケをかました。その渦に飲まれ僕も退職しないテイになってしまったのだが、僕は退職する。という事実を勘違いさせてしまった職員は、何度も伝えた。Bちゃんは疑心暗鬼になったのか、何度も何度も繰り返し聞き返し


そして

初めて怒りの感情を見せた



もちろん悪気はないのだが、Bちゃんにとっては心ない冗談。受け入れ難い事実。そう思うと、深い感謝を覚えると共に、少し複雑な感情になった。


そうこうしているうちに最後の送迎の時間。

Bちゃんはルート上最後の1人。


時間はあっさりと流れBちゃんの自宅へと到着した。

車を降り、改めて今迄の感謝を精一杯伝えた。


Bちゃんはすっと泣いていた。

口頭なのでBちゃんにはほとんど聞こえないはずなのだが、Bちゃんはちゃんと理解していた。

涙をつたわせながら、でっかいでっかい声で、飛ばしてくれた。

B『まぁたぁいつでも来ぃ〜やぁ〜!!!』

T『俺耳よう聞こえるから、声でっかするん俺の方やでぇ〜!』

という必死に返したボケきれてないボケが空を切る


これはヤバいな。。溢れそう。。

何故かどうにか悟られまいと、早々と車に乗り込み、発進させようとシートベルトを閉めると、バックミラーに深々とごうだ君ばりの礼をするBちゃんが映っていた。

最早崖っぷちの心的内面張力。あかんて。あふれちゃうて。。び〜いんらぶが溢れちゃうて。。

最後にイキってブレーキランプを5回点滅させようかとも思ったが、万が一の事も考え、静かに車を発進させた。



いつもふざけてばかりいた。こんな僕に対して、ありえない、ありがたい、感情を抱いてくれたばあちゃんに、本当にありがたのし。


しばらくたっても。俺の事覚えてくれてるかなぁ?
あの言葉も、覚えてるんかなぁ?
あの涙は、ループしてしまうんかなぁ?
感情も繰り返してしまうんかなぁ?


何かを振り払うように

感動を運転しながらふいに見上げた空は

今迄に見たこともないくらい透き通っていた。









事もなくめっちゃ曇りやった。



誰にも知られる事もなく

心のアクセルをぐぐっ!っと5回踏んだ



【た・の・し・す・る】


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