オタクが推しについて語るだけ(ジュエルペット編)

※本記事はタイパー Advent Calendar 2020の3日目の記事です。
2日目の記事はかり~さんの『タイパーインタビュー01』です。
4日目の記事はpogiさんの『のんびり長く続けるタイピング』です。

はじめに

みなさまこんにちは、タイパーサンリオ部所属のたのん(@tanon_710)です。
昨年は数多あるサンリオネタの中から悩みに悩んで「シナモロール」のキャラクター、ポロンのお話を選んだのですが、今年もそんなサンリオネタの中から選りすぐった1本をお届けします(と言いつつ今年がメモリアルイヤーのキャラクターが多いので1本で済まないかもしれませんが…)。

…というわけで今回お届けするのは、2010年代に女児(と大きなお友達)からの大きな支持を集めたキャラクターシリーズ「ジュエルペット」についてのお話です!
(以降、テンションが上がりすぎてトータル15000文字を超えてしまったので、ぜひ気長にお読みください…!!!)

「ジュエルペット」とは?

まず、「ジュエルペット」というキャラクターシリーズ全体についての説明をさせてください。
「ジュエルペット」はサンリオとセガトイズの初のコラボレーションにより生まれたキャラクターシリーズで、企画当初は33種類、現在は42種類のジュエルペットのほか、姉妹キャラクターとして13種類のスウィーツペットが存在しています。
当初からぬいぐるみなどのグッズ販売をはじめとしたメディアミックスが盛んに行われており、企画当初からブラウザ上で遊べるグッズ連動のオンラインゲームが稼働していたほか、2009年から2015年にかけて7作のTVアニメーションシリーズが放映され、一部シリーズではOVAや映画も制作されました。
ほかにも、サンリオキャラクターのテーマパークであるサンリオピューロランドでは「ジュエルペット」を題材としたショーが4作も上演されていたり、ニンテンドーDS・3DS向けに計6作ものゲームが発売されていたり、当時アーケード筐体で遊べたサンリオのカードゲーム「まほうのエプロン」シリーズでカードイラストに取り上げられていたりと、当時のTVシリーズの人気に押される形で、「ジュエルペット」は様々なプロモーションを行っていました。

そうした努力の甲斐あってか、サンリオキャラクター内での人気の有無のバロメーターとなっているサンリオキャラクター大賞において、「ジュエルペット」は6位を1回、7位を2回獲得しており、TVシリーズ放映当時、非常に高い人気を誇っていたことが分かります。
ちなみに、TVシリーズが放映されたからといって簡単に高い順位を得られるわけではないので、過去に好順位を収められたのはそれだけジュエルペットの魅力が優れていることの証だといえます。
(あるいは、TVアニメーションの訴求力が相対的に落ち込んだという解釈もできそうです。「ジュエルペット」以前にアニメが放送されていた「おねがいマイメロディ」シリーズに登場するクロミや「ウサハナ(こちらはむしろ人気が出たからアニメ化されたという恰好)」「シュガーバニーズ」はそれぞれキャラクター大賞で好順位を収めていますが、それ以降にアニメ化された「リルリルフェアリル」「アグレッシブ烈子」「まるもふびより(こちらはWEBアニメと少女漫画誌での連載)」「ミュークルドリーミー」はそうではないので…)

「ジュエルペット」の各キャラクターには、それぞれ誕生日などのプロフィールが設定されています。
たくさんのキャラクターがいるため、アドカレ期間中の12/1~12/25にもお誕生日を迎えるキャラクターが何人かいるのですが、その中でもTVシリーズ第6期『レディ ジュエルペット』で初登場し(主にケモナーたちの)心をわしづかみにしたかわいいかわいいホッキョクギツネの女の子、ラリマーのお誕生日に合わせて記事を公開することにしました(この前フリだけだとラリマー推しに見えそうなので一応断っておきますがガーネット推しです、最高にかわいいので…)。

2019年はジュエルペットのアニメ放映開始10周年のおめでたい年。
それを記念して、これまでどの配信サイトでも配信がされていなかった「ジュエルペット」の全7シリーズが、なんとYouTubeのサンリオ公式チャンネルで全話無料公開されています!!!!!
https://www.youtube.com/user/sanriojapan/playlists?view=50&sort=dd&shelf_id=1
サンリオありがとう…。
また、「ジュエルペット」の共同開発者であるセガトイズのYouTubeチャンネルで、TVシリーズ終了後に製作されたショート作品『ジュエルペット あたっくちゃんす!?』が無料公開されています!!!!!
https://www.youtube.com/watch?v=bNg9ujMr68Q
セガトイズありがとう…。
さらに、過去ピューロランドで上演されていた「ジュエルペット」のショー4つも、有志の方が撮影したものがYouTubeにアップロードされています。
どれも非常によくできており、特に『ジュエルペット きら☆デコッ!ミュージカル』は見事などんでん返しが待っている傑作です!
これらの作品がいつまで公開されるかは不明なので、ぜひぜひぜひぜひぜひ年末年始は「ジュエルペット」シリーズをお楽しみください!!!!!

さらに、2020年2月に「ジュエルペットシリーズ」完全新作『ジュエルペット あたっくとらべる!』が公開予定…だったのですが諸般の事情(察してください)により公開日未定となってしまいました(これとハーモニーのメルイベが消し飛んだのは本当に堪えました…)。
→こちらの作品に関して、2022年5月にニコニコ生放送において先行試写会が実施され、同年7月発売のBD-BOXに収録されることとなりました!
内容の出来は(察してください)という感じではありましたが、2016年公開のWEBアニメーションシリーズ「ジュエルペット あたっくちゃんす!?」以降6年越しでの新作ということ、そして何より一度はお蔵入りになりかけた作品が公開されたことそのものが本当に嬉しかったです。

「ジュエルペット」全TVシリーズ紹介

「ジュエルペット」についての簡単な紹介がすんだところで、ここからは「ジュエルペット」全7シリーズについて、作品の簡単な紹介とみどころの紹介をしていきます。
もちろん、「ジュエルペット」シリーズの大きな魅力である、かわいいかわいいジュエルペットたちにもフォーカスしていきます!!!!!
「ジュエルペット」シリーズは作品によって毛色が大きく異なるため、必ず好みの作品が見つかるはずです。
それでは、早速はじめていきましょう!

『ジュエルペット』(第1期)

記念すべき「ジュエルペット」TVシリーズの第1作であり、「ジュエルペット」シリーズの魅力を存分に味わえる作品です。
挑戦することに臆病になっている主人公が、不思議な生き物「ジュエルペット」との出会いをきっかけに世界の命運をかけた戦いに巻き込まれていく…というお話で、最序盤で主人公の前に現れる協力者が総理官邸の首席秘書官だったり、敵役が地球に巨大な隕石を落とそうとするなど、設定のトンデモさがこの作品の持ち味になっています。
基本的にコメディ展開の一話完結の構成になっている点、毎回仲間を増やしていく点、終盤にかけてスポ根要素や強大な敵との戦いが主軸になる点など、第1作の時点で「ジュエルペット」全シリーズに共通するフォーマットが確立されています。
本作は「ジュエルペット」シリーズの中でジュエルペットたちが最も人間くさいシリーズであり、良くも悪くも小さな女の子に媚びるという姿勢に乏しい作品なので、男性の方にも入りやすいシリーズになっています。
そのほか、主題歌はOPが浅香唯さん(なぜ…???)、EDが堀江美都子さんの歌唱となっており、特にEDは80年代アニソンバラードが好きな方には間違いなく刺さる名曲になっています。
また挿入歌の「ストロベリータイム」も可愛さ全開の名曲ですので、ぜひ耳を澄ませて聞いてみてください。

『ジュエルペット』は「ジュエルペット」シリーズのなかでも、特にジュエルペットたちを丁寧に描いているシリーズであるため、レギュラー・準レギュラーのジュエルペットに愛着が湧きやすいシリーズとなっています。
例えば、ぐうたらポンコツキャラが愛おしいルビーやシリーズ第1作にしておいしいポジションを確立し主役回まで与えられているキング、以降のシリーズでもネタキャラとしての役割をいかんなく発揮するペリドットなど、たくさんのジュエルペットが魅力的に描かれています。
そのなかでも、特に魅力的に描かれているのが敵役として登場するダイアナで、敵としての厳しさや、女の子らしい愛らしい部分など、内面の見せ方が非常に巧みで、思わず好きになってしまうこと間違いなしのキャラクターとなっています。
また、レギュラー出演はこのシリーズのみであるフローラも主人を思いやる健気さが本当に素敵で、声のかわいらしさも相まって、ダイアナに負けず劣らずの魅力的なキャラクターとして描かれています。

主人公の声優が当時のモーニング娘。のメンバーだったり、アニメーションの出来がお世辞にもよいとは言えなかったりと少なくない欠点はあるものの、力強く前向きな作風がそれを補っており、大きな魅力に溢れた作品になっています。
第2期以降に初登場するジュエルペットたちを除いた36キャラクターが全員登場するため、ジュエルペットたちの特徴を把握するという意味でもおすすめのシリーズです。

『ジュエルペット てぃんくる☆』(第2期)

「ジュエルペット」シリーズの第2作であり、前作から一転、脚本原案に児童小説家を迎えるなど小さな女の子を意識したつくりの作品です。
優秀な姉にコンプレックスを抱えた引っ込み思案な少女が、偶然手に入れた不思議な力をきっかけに少しずつ前を向けるように成長していく、という少女向けの作品としては王道の構成で、見ていて少し気恥ずかしくなる部分もありますが、親子愛・家族愛というテーマを子どもの目線と親の目線の両面から描いたシリーズとなっており、大人が見ても楽しめる作品に仕上がっています。
また、少女の初恋や、魔法少女ものにありがちなシリアスな戦闘シーンもしっかり備えており、前作と比べて声優の演技力も作画力もぐっと良くなっているため、「ジュエルペット」シリーズとして、を超えて1つのアニメ作品として高く評価できる作品になっています。
(…これは余談ですが、「ジュエルペット」シリーズのなかで人間キャラクターの年齢層が一番低い作品になっており、加えて水着などのサービスシーンがあるなど、当時の大きなお友達に大人気の作品だったということを書き添えておきます)

OPは増山加弥乃さん、EDはシリーズで唯一メインキャストの声優さんたちによる歌唱となっており、こうした点にもこのシリーズの異質さを見ることができます。
また挿入歌の「Little☆てぃんくる☆Star」も本当に名曲なので、作中で流れた際は耳を澄ませて聞いてみてください。

『てぃんくる☆』は「ジュエルペット」シリーズのなかでも特に人物描写に重きを置いたシリーズとなっていますが、主要なキャラクターが魅力的に描かれているからこそ、そのキャラクターたちのそばにいるジュエルペットたちもまた魅力的に見えるようになっています。
特に、ガーネット、サフィー、チターナの3キャラクターは、パートナーのキャラクターたちを親身に支える姿が胸を打ち、お気に入りのキャラクターになること間違いなしです。
また、マスコット的な立場としてたびたび登場するルナとミルキィ、以降のシリーズで大活躍するラブラなど、脇を固めるジュエルペットも魅力に溢れています。

「ジュエルペット」全シリーズのなかで、第6作の『レディ ジュエルペット』と並んで女の子向けな雰囲気の漂うシリーズになっていますが、心温まる、泣けるお話がたくさんのシリーズになっているため、敬遠することなくぜひ見てみてほしい作品です(ちなみに自分は全52話中30話くらいで泣きました)。
このシリーズが本当に素晴らしかったことが自分が「ジュエルペット」を推そうと思った直接的なきっかけになっており、完走直後に関連グッズを10万円分くらい買い集めたり、当時の感想記事やまとめブログを読み漁ったりと、一時期『てぃんくる☆』漬けの生活を送るほどに入れ込んでいました(その結果、テレビ番組で『てぃんくる☆』のBGMが使われていると瞬時に反応してしまうようになりました…w)。

完走当時のツイートにもあるとおり、「心のデトックス」にぴったりの作品だと思いますので、ぜひ見ていただけると嬉しいです!

『ジュエルペット サンシャイン』(第3期)

シリーズ第3作となる『サンシャイン』は前作から一転、女児版『銀魂』と呼ばれるほどにパロディが豊富な作品となっており、あの手この手で視聴者の笑いを誘ってきます。
本作は熱血教師であるピンクのイルカ(!)が問題児だらけの高校に新しく赴任し生徒たちを熱く導いていく…という(一昔前の学園ドラマにありがちな)導入から始まるものの、そのノリは1話で瓦解し、以降は過剰なまでのパロディを軸にしつつも、コメディ、SF、メロドラマ、ホラー、果てはミュージカルまで、A/Bパートの2話構成、お話が基本的に1話完結という性質ゆえのなんでもアリな作品になっており、登場人物も人間とジュエルペットのみならず、ロボットや2足歩行のワニ、普通の山羊やハエ(!?)まで、多岐に渡るキャラクターが登場します。

登場人物の異常さ、もとい多様さもさることながら、本作は親世代ですら分かるかどうかがギリギリのパロディを大量に繰り出してくるという点でも女児アニメとして異色のつくりになっています。
TV放送版では数多くのヒット曲の原盤を挿入歌として流しているのがその一例で、爆発に合わせてエアロスミスの『ミス・ア・シング』がかかる、火災現場のシーンで『バックドラフト』のメインテーマがかかるなど、ともすれば悪ノリとも思えるようなパロディがなされています(ちなみにこうした挿入歌はDVD版では無関係なBGMに差し替えられています)。
数あるパロディの中でも、本作において「オレたちひょうきん族」の1コーナー「ひょうきん懺悔室」の再現にまるまる1パートが費やされたことは特筆すべきでしょう。「オレたちひょうきん族」が放送開始したのは約40年前ということで、こうしたパロディの一部(あるいは大半)がスタッフたちの攻めた姿勢によって成り立っていることが分かります。

しかし、本作において真に語られるべき点は、こうした子どもたちはおろか子どもたちの両親にすら伝わるか怪しいパロディをふんだんに盛り込みながらも、複雑な家庭事情の絡む恋愛模様やキャラクターたちの進路選択につながる描写を細かく積み重ね、キャラクターそれぞれの成長を見事に描いているというシナリオの巧みさにあります。
冒頭では学園ドラマにありがちなノリは1話で瓦解し~と記しましたが、最終話まで見終えると見事に学園ドラマを描き切っていると分かるところが、本作をただのパロディアニメに終わらせない一番の魅力だと思います。

OPは五條真由美さん、EDは増山加弥乃さんと望月美寿々さんによる歌唱で、どちらも明るく楽しい楽曲に仕上がっているのですが、パロディやギャグに溢れた本作の主題歌がただの楽しい楽曲に終わるはずがありません。
『サンシャイン』の主題歌の魅力は曲と映像の掛け合わせにあるので、ぜひ映像もチェックしてみてください!

『サンシャイン』はキャラクターの多様性がシリーズ随一であり、結果として人間とジュエルペットの関係もシリーズで最も近くなっています(その結果として、人間がジュエルペットに恋したり、逆にジュエルペットが人間に恋したりと、当然のように異種恋愛の描写が登場します)。
それゆえに、シリーズ第1作である『ジュエルペット』とはまた違った意味合いでジュエルペットたちが人間味を持っており、苦学生ながら夢に向かって奮闘するガーネット、大きな目標を叶えるべく研究に打ち込むサフィー、ヒロインの1人である花音に忠誠を誓うチターナ、不器用ながら学級委員としての役割を果たそうとするオパールなど、全体として努力の跡が見え隠れするキャラクター描写が多くなっています。
また、シリーズのマスコット的存在であるラブラとエンジェラが本格的に活躍するのも本作からで、2人が旅をするだけの回がA/Bパート両方に渡って展開されるなど、両キャラクターの当時の人気をうかがい知ることもできます。

本作は過剰なパロディなど目立つ要素が多いものの、そうした派手な要素を丁寧に紡がれるストーリーが支えており、ジャンクかと思いきや味わい深い作品になっています。
特に、キャラクターたちの進路が決まっていき、同時に数々の謎が明かされていく終盤の展開は見どころが多く、きちんと学園ドラマとして締めてくれるため、見終わったときに不思議な感動を得られるのではないかと思います。
学生の夏休み期間に合わせる形で1か月かけて展開された無人島でのサバイバルストーリーが(個人的には)退屈極まる内容であったこと、(以降のシリーズでより顕著になりますが)ラスボスとの戦いが茶番に見えかねないことなど、もちろん欠点もあるにはあるのですが、作品の持つパワフルさがそうした欠点を吹き飛ばしてくれています。
1話ごとに大きく作風の変わる非常に忙しい作品なため、決して万人ウケするとは言えませんが、そのぶん刺さる人には強烈に刺さる作品になっています。
まずは1話だけ、試しに見ていただけると嬉しいです(ちなみに自分はトータル5日で本作を完走してしまいました、それくらいに強く惹きつける力のある作品だと思っています)。

『ジュエルペット きら☆デコッ!』(第4期)

当時の大人気子役であり、「ジュエルペット」シリーズのファンを公言していた芦田愛菜さんを主題歌の歌唱に迎えるなど、飛ぶ鳥を落とす勢いだった「ジュエルペット」シリーズが、改めて子どもの視聴者を掴もうと勝負に出た作品となっています(結果的にこのシリーズを期にジュエルペットの人気低迷が始まるため、この戦略が正しかったのかは疑問符がつきます)。
ジュエルペットたちの住む世界「ジュエルランド」に人間界の危機を救うための手がかりがある…という理由で主人公たち5人がジュエルランドへと送りこまれ、ジュエルペットたちと少しずつ心を通わせながら手がかりを集めていく、という設定で、主人公たちのキャラクター設定が戦隊ヒーローもののパロディであり、男性が4人、女性が1人の構成になっているなど、女児アニメとしては非常に珍しいつくりになっています。

本作は監督が「サンリオの狂気」として(一部のオタクに)有名な『おねがいマイメロディ』シリーズや、(同じく一部のオタクに大人気の)女児アニメ『プリパラ』と同じ森脇真琴氏であり、作品全体を通してナンセンスなギャグが散りばめられている一方、ストーリーは教育的な配慮が行き届いており、主人公たちが戦隊ヒーローもののパロディになっていることも合わせて、シリーズで最も(幼い)子ども向けの要素が強い作品になっています。
そのぶん、第2作の『てぃんくる☆』で顕著だった女の子向けな要素は薄まっており、男性でも入りやすい作品になっていると思います(実際には第2作の『てぃんくる☆』と第6作の『レディ ジュエルペット』のみが強く少女向けに作られている、という見方が正確なのですが)。

主題歌はOP、EDともに芦田愛菜さんの歌唱となっており、子役ならではの一生懸命さを見事に活かした良曲に仕上がっています(ちなみに、本作品の放映中に上映された映画の主題歌も芦田愛菜さん歌唱となっています)。

本作は、ジュエルペットたちだけの世界に主人公たちが訪ねてくるという設定のため、これまでのシリーズとはまた違った形でジュエルペットが描かれています。
特に、ジュエルペットたちが暮らす町の様子が描かれているのは本作がシリーズ唯一で、豊富な私生活の描写と相まって、人間と変わらない生活を送るジュエルペットたちの様子を楽しむことができます。
また、前作に引き続き人間とジュエルペット間の恋愛要素も残されており、主人公の1人に恋するガーネット、主人公の1人と生活を共にし仲睦まじく暮らすサフィーなど、前作とはまた違った関係性が見られるようになっています。
ほかにも、ヒロインとルビーとの結びつきはこれまでのシリーズで見られたパートナー関係とは一味違い、友情や信頼感を軸にした協力関係が築かれています。
主人公たち5人に対し、それぞれ1人のジュエルペットがパートナーになるという関係上、物語で中心的に描かれるジュエルペットの種類は少ないのですが、そのぶん、メイン格のジュエルペットが魅力的に描かれていると思います。

そして、本作で初登場となるカピバラのジュエルペット、コールの活躍も見どころの1つになっています。
コールは第1作での敵役であるダイアナと同様、当初は闇の組織の一員として主人公たちに攻撃を仕掛けてきますが、コールは「ただの悪役」というポジションを超え、様々な形で物語に登場し、本作におけるもう1人の主人公と言って差し支えないキャラクターに成長していきます。
様々な痛みや悩みを抱えながら、それでも前に進もうとするコールの姿勢は、現代社会を生きる視聴者に少なからず通じる部分があり、本作をただの子ども向け以上の作品にすることに貢献しています。

同じギャグテイストの作品である前作『サンシャイン』と比較すると、過剰なパロディをしっかりとしたストーリーが支えていた前作に対し、本作はあっさりめのストーリーに逐一ギャグやパロディが挿入されるという構造になっており、『サンシャイン』同様、人は選ぶものの刺さる人には刺さる作品になっていると思います。
正直に言うと、自分は「ジュエルペット」シリーズの中で本作だけはどうにも受け入れられず、9日間という駆け足なペースでなんとか完走した格好でした。
個人的に一番辛かったのがストーリーの淡白さで、終盤の展開も相まって52話のTVシリーズとして編むには無理があったのではないかと思っています(こうした点は以下の完走ツイートでも触れています)。

とはいえ、本作は決して悪い点ばかりではなく、ジュエルペットが中心の世界が舞台でありジュエルペットが非常にいきいきと描かれていること、いくつかの回のシナリオの完成度が非常に高いこと、傷つきながらも前に進もうとするコールがかっこよく描かれていること(、ガーネットの朝チュン(!?)があったりサフィーが人間と仲睦まじい様子を見せていたりするなどジュエルペットの描写が(いい意味で)踏み込んでいること)など、評価できる点もたくさんあります。
本作の監督が手掛けた『おねがいマイメロディー』シリーズも『プリパラ』シリーズもあまり肌に合わなかったため、本作の作風がそもそも自分には合わなかったと考えるのが妥当だと思っています。
こうした(個人的な)事情もあり、全体的にネガティブな評価になってしまいましたが、コールのかっこよさは本作を見る動機として十分だと思うので、ぜひ一度は作品に触れていただけると嬉しいです!

『ジュエルペット ハッピネス』(第5期)

シリーズ第5作である『ジュエルペット ハッピネス』は、学園ものの日常系萌えアニメやそれに倣った女児向けアニメに近いつくりの作品となっており、学生である主人公・ちありとその友人たちが、同じ世界で暮らすジュエルペット・ルビーたちとの日常を過ごす様子が描かれ、アクセントとして恋愛要素を交えつつ、終盤に突入するまではシリアス要素の少ない日常系なお話が続く形になっています。
本作の監督は「デ・ジ・キャラット」シリーズや近年では『まちカドまぞく』を手掛けたことで知られる桜井弘明氏で、本作も氏の持ち味であるハイテンポながらゆるやかな空気感を感じることができます。
一方、終盤に入ると物語が大きく動き、主要キャラクターたちが黒幕と対峙するがっつりシリアス展開になるというシリーズ特有の流れは健在で、ハラハラする内容が待ち受けることになります。

OP・EDはavexのガールズユニットであるフェアリーズが担当しており、3クール目まではOP・EDが共通、4クール目のみOPが新しい曲に変わります(この曲は次期作品『レディ ジュエルペット』でも使用されています)。
どちらの楽曲もパワフルな歌声が魅力的で、4クール目でお披露目されたOPは壮大な世界観、EDは弾むような可愛らしい世界観を感じさせてくれる名曲です。

本作は、これまでの「ジュエルペット」シリーズとは違い、人間とジュエルペットたちの住む世界が明確に区別されていない初めての作品となっています。
そのため、本作と同様に人間とジュエルペットがクラスメイトとして過ごす『ジュエルペット サンシャイン』や、ジュエルペットの住む世界で人間が暮らすことになる『ジュエルペット きら☆デコっ!』ともまた異なる、人間とジュエルペットとの新しい関係性を見ることができます。
また、「ジュエルペット」シリーズは当初5ヵ年計画で制作されていたこともあり、本作にはシリーズの集大成としての要素が随所に見られ、そうした要素も作品の楽しさにつながっています。
特に、本作はシリーズ第1作である『ジュエルペット』のフォーマットを踏襲しており、基本的に1話完結の形で、毎回異なるジュエルペットを主役に据えた物語が展開されます。そのため、シリーズでなかなか日の目の当たらないジュエルペットたちにも活躍の機会が与えられています(初期のシリーズで活躍していたジュエルペットに再びスポットライトが当たるところにも、過去の作品へのリスペクトを感じられます)。
フローラのかわいらしさが存分に描かれていたり、プレーズが演劇指導で出てきたり、ダイアナさまがネタ要素を保ちつつも魅力的に描かれていたり、サンゴにゃんが学園の保健室のナースとして描かれていて非常にあざとかったりと、ジュエルペットの描き方にこれまでのシリーズの経験が活かされており、非常にズルい作品となっています。
また、本作から登場する新ジュエルペットであるローサも、新顔ながら様々な役回りを担当し、作品中のアイキャッチでもいろいろなコスプレを披露するなど、既存のジュエルペットに負けないよう愛情たっぷりに描かれており、ローサの活躍も本作のみどころのひとつとなっています。

シリーズの集大成を意識して作られた作品である『ジュエルペット ハッピネス』は、第1作である『ジュエルペット』のフォーマットや雰囲気を強く踏襲しながら、以降のシリーズの要素もまんべんなく取り入れ、日常もののテイストを中心に「ジュエルペット」シリーズを再構築した作品となっています。
キャラクターの成長に寄り添っていた第1・2作、一転ギャグに寄っていた第3・4作とは異なり、本作は「何か起きそうで何も起こらない」日常ものの空気感が強いため、シリーズのなかでも強く人を選ぶ作風になっている本作ですが、個人的には本作の独特の雰囲気が強く刺さったため、シナリオの完成度が図抜けている『ジュエルペット てぃんくる☆』と『レディ ジュエルペット』を超えて、一番好きな「ジュエルペット」シリーズになりました。
日常ものが好きな人には特に入りやすいシリーズになっているので、まずは1話だけでも試していただけると嬉しいです!

『レディ ジュエルペット』(第6期)

シリーズ第6作となる『レディ ジュエルペット』は、物語の舞台であるジュエルランドを守る女王役「レディジュエル」を目指しレッスンを重ねる少女たちを描いた作品となっており、『ジュエルペット てぃんくる☆』と同様かそれ以上に女の子向けの要素がふんだんに散りばめられています。
物語の序盤から中盤にかけては、主人公・ももなとその友人たちがレディジュエルになるためのレッスンを通して切磋琢磨しながら、レディを支える「キング」を目指す男の子たちのラブロマンスを繰り広げる、という甘い展開が続きます。本作ではこれまでのシリーズと比べても恋愛要素が色濃く描かれているため、少し抵抗を感じる方もいるのではないかと思います。
本作はがっつりした恋愛ものとしてスタートするものの、中盤のとあるできごとをきっかけに物語は一気にシリアスな方向へと舵を切り、主人公たちは世界を揺るがす大事件を引き起こそうとする首謀者を探すために奔走することになります。後半のサスペンスパートは非常に丁寧に作りこまれており、主人公のライバルであるリリアンの抱える秘密、主人公たちを襲う危機の黒幕など、予想しがいのある要素が多く盛り込まれています。

本作はラブロマンス色の強い前半パート、サスペンス要素の色濃い後半パートのどちらもしっかり作りこまれており、単体として楽しめるレベルの完成度を誇っています。
しかしながら、本作の最大の魅力は、前半のラブロマンスが後半のサスペンスを引き立てるために存在し、そしてそれらの物語すべてがラスト2話のワンショットのために存在する、という大胆不敵な構成にあります。
たった2話のために50話をかけるという構成上、完走に時間がかかるという難点はあるものの、それだけの時間をかける価値がある素晴らしいラストが待っています。

OP・EDは前作に引き続きフェアリーズが担当しています。本作のEDは前作のOPと共通となっており、新曲はOPのみとなっていますが、ラップ調ながら本作の雰囲気に合う独特の魅力を備えた楽曲に仕上がっています。

本作では主人公のライバルのパートナーという形で新ジュエルペットのルーアが登場します。物語の展開上、どうしてもルーアは好意的に描かれない部分が多いのですが、とはいえ目もとや足にハートマークが描きこまれているなど、かわいらしさよりもセクシーさを強調したデザインはジュエルペットのなかでも異色となっています。
また、作品の終盤では同じく新ジュエルペットのラリマーも登場します。ラリマーは物語での重要な役割を担っていることもあり、作中では神秘的な存在として描かれるのですが、こうした扱いもこれまでの「ジュエルペット」シリーズには見られなかったため、非常に魅力的に映ることうけあいです(実際、シリーズ最終盤に登場したキャラクターであるにもかかわらず、ラリマーには多くのファンがついていたりします)。
一方、本作においてはレギュラー格のジュエルペットを除くほとんどすべてのジュエルペットは言葉を発することすらなく、一部のジュエルペットに至っては荷物運びなどの雑用を押し付けられているなど、悪い意味でこれまでの「ジュエルペット」シリーズとは異なるジュエルペットの描かれ方をしている面もあります。
よくも悪くもジュエルペットの描き方が異色であるという点でも、本作はシリーズのなかで独自の立ち位置にあるといえるでしょう。

緻密なストーリーが描かれるという点や、特に女の子向けに編まれた作品という点など、第2作の『ジュエルペット てぃんくる☆』との共通点が多い本作ですが、ジュエルペットとのふれあいにも重きを置いていた『てぃんくる☆』とは異なり、ジュエルペットをあくまで人間のメンターとして位置づけ、ストーリーの描写に注力しているという点で、これまでの「ジュエルペット」シリーズのなかでも最も大人向けな作品となっています。
特に、物語の結末を見据えてたくさんの時間を積み重ねていくという構成が特徴的で、個人的には『けものフレンズ』や『ケムリクサ(TVシリーズ版)』を彷彿させる内容だと感じました。
52話の完走が前提となるため、なかなか気軽におすすめしづらいのですが、シリーズでも随一の作りこみがなされている本作をぜひお楽しみいただけたら嬉しいです。

『ジュエルペット マジカルチェンジ』(第7期)

シリーズ第7作である本作は「ジュエルペット」シリーズのラストを飾る作品で、人間界に落ちてきたジュエル城をもとあったジュエルランドに戻すべく、主人公・あいりとジュエルペットたちが奮闘するという物語となっています。
シリーズの集大成的な作品である『ジュエルペット ハッピネス』ともまた違う、シリーズへのリスペクトを詰め込んだ作品です。
本作の制作の経緯として、ネット上では「もともと前作の『レディ ジュエルペット』で打ち切り予定だったところを、追加で3クール新作を放送できるようになった…」などという噂がささやかれていたりもします。
この経緯の真偽は定かではありませんが、本作では随所に過去のシリーズへの言及やセルフパロディが盛り込まれており、基本的には1話完結の明るいコメディが展開されることもあり、ボーナストラック感のある楽しいシリーズになっています。
一方、お話の構造は「ジュエルペット」シリーズの終わりを否応なく意識させるつくりになっており、終盤に近づくにつれてシリーズの持ち味であるシリアスな面が顔をのぞかせます。こうしたシリアスさと「ジュエルペット」シリーズが終わるという事実が合わさり、これまでの作品と同様に、ただかわいいだけでは終わらせない丁寧な作品に仕上がっています。

気になるOP・EDは(なぜか)すべてアイドルユニットによるもので、EDは1クールごとに持ち回りで3種、OPは3クール共通で各EDを歌った3ユニット合同の曲になっています(どれもアイドルソングらしい前向きでポップな曲に仕上がっており、個人的にはDorothy Little Happyが担当する1クール目のEDがお気に入りです)。
なんで最後の最後にアイドルに頼んだのかは謎ですが、第1作では元モーニング娘。の方が主人公の声優を務めていたり、OPの歌唱が元アイドルの浅香唯さんだったりしたことを思うと、原点回帰と言えるのかもしれません。

本作では新規のジュエルペットは登場しないものの、前作でお披露目されたルーア・ラリマーがレギュラーとして登場しており、両キャラクターの魅力が深掘りされています。前作では不幸なキャタクターとして描かれていたルーアや神秘的に描かれていたラリマーが、コメディ色の強い明るい本作の雰囲気に引っ張られる形で前作とは好対照に生き生きと描かれており、両キャタクターへの愛着が自然と湧くつくりになっています。
また本作ではルナがシリーズで初めてレギュラー枠で登場しており、ルナの存在も本作の明るい雰囲気づくりに一役買っています。
一方で、これまでのシリーズでレギュラー皆勤であったサフィー・ガーネットが準レギュラー扱いとなっており、本作がシリーズの最終作であることを踏まえると、少し残念に感じてしまう部分となっています(個人的にガーネット推しなので余計にそう感じてしまいます)。

また、本作はシリーズ最終作ということで振り切った描写が多いところも着目すべきポイントとなっています。
これまでのシリーズでは基本的に避けられていた要素をギャグとして用いていたり、ジュエルペットから人間への告白シーンがあったり、極めつけとしてジュエルペットが擬人化され人間の姿に変身するという要素もあったりします(タイトルの「マジカルチェンジ」はこの要素を表しています)。
これらの要素がシリーズのファンにどう受け止められたのかは難しいところですが、個人的にはよいはっちゃけ方だったのではないかなと思っています。
というのも、本作はシリーズの最終作というところを強く意識して作られているものの、こうした要素を織り込むことでシリーズで最も明るい作風になっており、ここから「ジュエルペット」シリーズに触れることも可能になっているからです。
実際、筆者はリアルタイムで見た「ジュエルペット」シリーズは本作が初で、本作で「ジュエルペット」シリーズへの魅力を感じていたからこそ、YouTubeでの全シリーズの無料公開でジュエルペットに触れてみようと思うことができました(ちなみにリアルタイムで本作に触れた時点でガーネット推しでした、人間の好みは変わらないものですね…)。
本作特有の空気感は現代にも通じる部分があるため、まずはここから「ジュエルペット」シリーズに入ってみるのもいいと思います。シリーズ最終作ではありますが、ぜひ明るく楽しんでいただけたら幸いです。

さいごに

以上、ここまで「ジュエルペット」シリーズの紹介を行ってきました。みなさまの気になった作品はあったでしょうか?
個人的に好きなシリーズは、ジュエルペット ハッピネス(5期)→ジュエルペット てぃんくる☆(2期)→レディ ジュエルペット(6期)→ジュエルペット サンシャイン(3期)→ジュエルペット(1期)→ジュエルペット マジカルチェンジ(7期)→ジュエルペット きら☆デコッ!(4期)の順ですが、どの作品も「ジュエルペット」の魅力がたっぷり詰まっており、どこから見ても楽しめるようになっています。
作品紹介でも触れたとおり、どのシリーズも大切にするテーマは共通しているものの、作品のジャンルはそれぞれ異なっており、必ず好みのシリーズが見つけられるはずです。
また、冒頭でも軽く触れましたが、「ジュエルペット」のTVシリーズだけでなく、ピューロランドでのショーも非常に魅力的な作品となっています。こちらもぜひご覧いただけると幸いです。

この記事では自分の目線でのジュエルペットのおすすめをしてきましたが、サンリオ好き芸人としても知られる、「馬鹿よ貴方は」の平井"ファラオ"光さんによる「ジュエルペット」TVシリーズ紹介記事(https://note.com/hirapoyopharaoh/n/n0f795749591b)を合わせて読むことで、より一層「ジュエルペット」シリーズの魅力が伝わるものと思います(両方の記事を合わせると3万字を超えるので、お時間のあるときにぜひ!)。

今見ても楽しめること間違いなしの「ジュエルペット」シリーズ、この年末年始にぜひご鑑賞ください!!!!!

明日の記事はpogiさんの『のんびり長く続けるタイピング』です。
こちらの記事もぜひお楽しみください!