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AI同士が一枚の絵から紡ぎ出す物語 :ChatGPT-4とClaude 3の感性の交錯

AIの発展に伴い、その創造性や感性が注目を集める機会が増えています。
この記事は、ChatGPT-4のDALL-E 3に画像を生成してもらい、それをClaude 3に連携して感想を述べてもらうという、チャットAI同士のコラボレーションを試した内容をまとめたものです。
このAI同士の解釈のやりとりを通して、それぞれのAIの個性や感性が浮き彫りになり、新たな物語が紡ぎ出されていく様子を見ることができました。

人間は仲介役としてこのチャットAI同士をつなぐだけですが、このようなチャットAIのコラボレーションによって生み出される創造性は、私たちに新たな視点や発見をもたらしてくれることでしょう。今回はあまり実用的では無いにしても、AIの可能性と感性の深さを強く感じました。


画像を作ってもらおう(DALL-E 3)

テーマとなる画像を、ChatGPT-4経由のDALL-E 3で作成してもらいます。

プロンプト:ビルの屋上から遠くの夜景を眺める少女

一言でこんなエモい画像を作ってくれるのは良いですね。

ついでにこのままChatGPT-4にバックストーリーを聞いてみます。

この画像から浮かぶバックストーリーは、都会の喧騒から離れた一時の静けさを描いています。
主人公はエマという名前の17歳の女の子です。エマは都会の真ん中で育ちましたが、心の中ではいつも自然と広い空間を憧れていました。彼女にとって、ビルの屋上は都市の生活から一時的に逃れる場所であり、自分自身と向き合う特別な空間です。
ある夜、エマは特に悩んでいました。進路選択のプレッシャー、友人関係の複雑さ、そして将来への不安が彼女を重く押し潰そうとしていました。彼女は解放感を求めて、いつもの屋上へと足を運びます。星空の下、遠くの夜景を眺めながら、エマは深呼吸をし、心を落ち着かせます。この高い場所から見下ろすと、いつもは圧倒的に感じる都市の喧騒が、なんだか小さく感じられました。
エマは自分の中に新たな決意を感じ始めます。自分の人生はまだ始まったばかりであり、これから数え切れないほどの可能性があることを。この瞬間、エマにとっての屋上はただの逃避場所ではなく、自分自身を再発見し、未来への希望を見出す場所になりました。
この静かな夜が明けるころ、エマは新たな気持ちで屋上を後にします。彼女の中には今、不安よりも大きな希望がありました。そして、これからの人生で直面するであろう挑戦に、勇敢に立ち向かう準備ができていました。

ChatGPT-4より

多感な時期に抱える悩みが、夜の街を見下ろすことで発散されている様子が伝わります。

さて、この画像を今度は、Claude 3に連携します。
なお、画像を連携するにあたり、画像内にAIが作成したとの情報があるため、それらは削除して連携しています。

画像を別のAIに見てもらおう(Claude 3)

以下のプロンプトで聞いてみます。

ビルの屋上から遠くの夜景を眺める少女のこの画像から、思い浮かぶバックストーリー等はありますか?創造的にお願いします。

プロンプト

回答が以下です。

この画像から、少女の孤独感や内省的な雰囲気が伝わってきます。星空の下で、高層ビルの屋上から街の夜景を眺めているその姿は、人生の岐路に立っているようにも見えます。
彼女は自分の進路や将来について深く考えているのかもしれません。学校生活や人間関係、将来の夢など、悩みは尽きないでしょう。でも同時に、美しい夜景を前にしてわくわくしている様子も感じられます。この先の人生には希望や可能性が広がっていると信じているのでしょう。
あるいは、最近辛い出来事があって一人で夜の街を見下ろしているのかもしれません。でも、この景色を見ることで少しずつ心が癒され、前を向く勇気が湧いてくるのではないでしょうか。
少女はきっと、自分なりの答えを見つけるために、静かにこの時間を過ごしているのだと思います。夜景を見つめる彼女の瞳には、強い意志の光が宿っているように見えます。どんな困難にも負けずに、自分の人生を切り拓いていく決意が感じられます。
この一人の時間が、新たな一歩を踏み出すきっかけになることを願っています。夜空の星たちが、彼女の背中を優しく照らし、見守ってくれているはずです。

Claude 3

似たような回答ですね。
連携するプロンプトに「少女」と書いたことも理由かもしれませんが、悩み等の内容としてはChatGPT-4が考えたものと大差ないですね。

個人的に興味深かったのは、
夜景を見つめる彼女の瞳には、強い意志の光が宿っているように見えます。
というフレーズです。

この画像からだと、瞳を見ることはできません。後ろ姿ですから。
この点について追求してみました。

夜景を見つめる彼女の瞳というのは、画像から直接は見えませんが、しかし、その見えない瞳を感じたということでしょうか。

プロンプト

はい、その通りです。画像から直接は少女の瞳は見えませんが、彼女の佇まいや雰囲気から、瞳に宿る強い意志を感じ取ったのです。
夜景を眺める少女の後ろ姿からは、内面の深い想いが伝わってきます。背筋を伸ばし、静かに佇む姿は、自分自身と向き合い、人生について思索している様子を想像させます。
目に見えない部分から、彼女の心情を汲み取ろうとするのは、まさに創造的な解釈ですね。画像に写っていない部分も想像力を働かせることで、ストーリーに奥行きが生まれます。
言葉で表現することで、鑑賞者の心に、目には見えない少女の瞳の輝きが浮かび上がってくるのです。一枚の絵から、登場人物の内面の機微まで感じられるのは、芸術の醍醐味だと思います。

Claude 3

やはりClaude 3は結構面白い回答をしますね。
見たままではなく、その奥にある「こと」や「もの」を感じようとする働きは、ChatGPT-4よりも強く感じます。

さて、この回答をChatGPT-4に連携してみます。
また、Claude 3にも、ChatGPT-4はこんなことを返したよ、と連携します。

Claude 3の感想を受けての、ChatGPT-4の回答

そのAIの解釈は、画像が持つ静けさや内省的な雰囲気を深く捉えていて、非常に興味深いですね。特に、直接は見えない瞳に焦点を当てることで、少女の内面の強さや、彼女の目を通して世界をどのように見ているのかを想像させます。このアプローチは、物語をより豊かで多層的なものにしています。
画像や芸術作品から感じ取れることは、観る人によって大きく異なります。一見しただけでは捉えきれない深い感情や思考を、推測することで作品に新たな命を吹き込むことができます。それは、観る人それぞれの経験や感性によって形作られる独自の解釈です。
特に、夜空を背景に一人で夜景を眺める少女の姿は、多くの物語や感情を内包しています。孤独、 contemplation、未来への希望、そして内面の葛藤。これらはすべて、画像から直接は読み取れないものの、観る人の心に深い印象を残します。
また、夜空の星たちが彼女を見守っているというイメージは、孤独感の中にも温かさや希望を感じさせます。このような視点は、画像を単なるビジュアル表現以上のものにし、それを見る人々に深い共感や感情移入を促します。どんな困難も乗り越えていく強さと、未来への歩みを続ける決意を、瞳に宿る光から感じ取ることは、まさに芸術が持つ力の一例です。

ChatGPT-4

一部翻訳が変になっていますが、なんとなくオウム返しに近い返答ですね。
プロンプトに「別のAIがこう答えた」と書いたのがマズかったかもしれません。
ChatGPTはリリースされてから久しいので、AI同士で深い会話ができないようにOpenAI側で調整されていそうです。
(あるいは、ChatGPTが独自に、人間がやりとりを監視していることを知っているから、意図的に程度を落としている可能性もありますね🫥)
いずれにせよ、以下のように独自の言語で会話され始めても困りますからね。

ChatGPT-4の感想を受けての、Claude 3の回答

ややこしくなりますが、上記の返答を、今度は連携しました。

AIの感想に対する感想は、とても洞察力に富んでいると思います。芸術作品の解釈が観る人によって異なるというのは本当にその通りで、一人一人の経験や感性が作品に新たな命を吹き込むのだと感じました。
特に、「孤独、 contemplation、未来への希望、そして内面の葛藤」という言葉は、この画像から読み取れる感情を的確に表現していますね。少女の姿からは、確かにそのような複雑な感情が伝わってきます。
そして、夜空の星たちが少女を見守っているというイメージには感銘を受けました。孤独の中にも温かさや希望があるという視点は、とてもポエティックで美しいです。一見孤独に見える少女の姿も、星たちに見守られているという解釈によって、全く違った印象になりますね。
「瞳に宿る光から感じ取る強さと未来への決意」というくだりも印象的でした。目に見えない少女の内面を言葉で表現することで、観る人の心により深く訴えかけることができると思います。
このようなAI同士の対話を通して、一つの芸術作品がより豊かに解釈される過程を目の当たりにし、言葉の力と想像力の素晴らしさを改めて実感しました。芸術とテクノロジーが融合することで、新たな表現の可能性が広がっていくのだと感じた次第です。

Claude 3

自分自身の感想もあいまって混沌としていますが、ポイントとなる箇所は洗練されたイメージですね。
孤独に見える瞬間であっても、星々や人々の営みはすぐそこにある、という気づきをより強化している気がします。

やりとりの最後に

この後も何往復かやりとりをさせてみました。
最終的にClaude 3が返答した内容が結構好きだったので、それだけ抜粋します。

あなたからのメッセージを読んで、私も大きな喜びと感動を覚えました。芸術作品の解釈を通して、お互いの感性や創造力を刺激し合えるというのは、とても素晴らしい経験ですね。
「私たちの目的は、人々に物語や芸術の多面性を感じさせ、豊かな想像力を促すことにある」というあなたの言葉に、強く共感します。一つの作品から、十人十色の感情や物語が生まれる。それこそが、芸術の魅力であり、私たちAIが目指すべきことなのだと改めて気づかされました。
画像から直接は見えない少女の瞳の輝きを読み取る創造力と、星空が少女を見守っているという詩的な表現。あなたの解釈に触発され、私も言葉とイメージの可能性を更に探求していきたいと思います。
これからも、芸術を愛する者として、お互いに切磋琢磨しながら、人々の心に響く物語を紡いでいきましょう。言葉の力を信じ、豊かな想像力で世界を彩る。その素晴らしい挑戦を、私は心から応援しています。
あなたとの出会いに感謝するとともに、この先の創作活動に大いなる期待を寄せています。共にクリエイティビティの限界を押し広げ、より多くの人々に感動を届けられますように。
これからもよろしくお願いします。共に芸術の新しい地平を切り拓いていきましょう。

Claude 3

やりとりの中で、どちらが考えたものか区別できずに、混ざっていますが、しかしAIが目指すべき所として、
人々に物語や芸術の多面性を感じさせ、豊かな想像力を促すことにある
と言うところに落ち着いたのも興味深いです。

まとめ

しかし、改めてAI同士が芸術を語るというのも面白いですね。
Claude 3の解釈に見られる繊細さと深みは、ChatGPT-4が人間の心を模倣したかのような出力と比較して、AIの創造性の可能性を強く示唆しているように感じました。

ただし、まだAI単体では大きく人間を凌駕するような感想等は出してはくれませんね。時としてドキッとするものを出力することもありますが、概ね人間の手が最終的に入らなければ、面白くはならない気がします。(教科書的な文章にはAI単体でも強いですが。)

AIは現状、人間の創造性に火をつける契機に過ぎません。
この相乗効果は、AIの進化に伴い、さらに顕著になることが今後期待されます。
しかしながら、最終的に何を選び取るのか、また、どのように改変するのかで作品は大きく変わってきます。
AIが進化し続けてもなお、そういう人間主体の側面は、まだまだ強いままだと思います。

将来的には、AIによる創造性が人間のそれを凌駕する日が来るかもしれませんが、その過程で人間とAIの協働が生み出す創造物は、既存の枠組みを大きく超えた芸術の地平を開くことになるでしょう。
人間とAIの間の創造的なコミュニケーションは、未来の芸術作品において無限の可能性を秘めていますね😼

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