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大したこと無いだろうと思っていた「Custom instructions」が凄かった

ChatGPTの新機能として、 「Custom instructions(カスタム指示)」が提供されました。これはChatGPT Plusユーザー向けの、まだベータ版の機能です。

自分は使い方を限定せず、結構いろいろChatGPTにやらせているため使わなくて良いだろうと考えていましたが、いざ使ってみたところ、期待以上に良い結果が得られたので、その経験をまとめてみました。

また冒涜的かも知れませんが、自身の職業や立場を偽れることから、非常に興味深い視点からの回答が得られることも分かりました。
そのため、この機能の可能性をものすごく感じています。


Custom instructionsとは

「Custom instructions(カスタム指示)」は、AIの行動をより具体的に指示するための機能です。

設定方法

Settings→Beta featuresのCustom instructionsをONにします。

赤枠箇所

そうしますと、以下の赤枠の選択肢が増えるので、ここをクリックします。

赤枠箇所

すると、以下のような入力画面が表示されます。
一番上は「より良い回答を提供するために、ChatGPTに何を知ってもらいたいですか?」
その下は「ChatGPTにはどのように対応してほしいですか?」
となっています。

こういう所も日本語化してほしいですね

どうやって入力するのがベストか

この辺も基本的には、ChatGPTとやりとりをする要領で良いと思います。
ChatGPTに聞いたところ、以下のことに気をつければ良い、とのことでした。

1.What would you like ChatGPT to know about you to provide better responses?

このセクションでは、ChatGPTがあなたについて知っておくべき情報を提供します。これにより、AIはよりパーソナライズされた応答を提供することができます。以下にいくつかの例を示します。

  • 職業:「私は医師です。」

  • 興味:「私は宇宙科学に非常に興味があります。」

  • 言語:「私の母国語はスペイン語ですが、英語も話します。」

  • 場所:「私は日本に住んでいます。」

ただし、プライバシーに関する考慮から、個人を特定できる情報(氏名、住所、電話番号など)を提供することは避けてください。

2.How would you like ChatGPT to respond?

このセクションでは、ChatGPTの応答スタイルを指定します。以下にいくつかの例を示します。

  • フォーマルまたはインフォーマル:「私はフォーマルな応答を好みます。」または「私はカジュアルなトーンでの応答を好みます。」

  • 応答の長さ:「私は短くて簡潔な応答を好みます。」または「私は詳細な説明を好みます。」

  • 特定の視点:「私は科学的な視点からの応答を好みます。」または「私はビジネスの視点からの応答を好みます。」

これらの指示は、ChatGPTがあなたのニーズと好みにより適合した応答を提供するのに役立ちます。

こうやって入力してみた

自分は以下のように入力してみました。
また、入力したパターン、入力しなかったパターン、プロンプト自体に組み込んだパターン、立場を変えてみたパターンの4パターンを検証してみます。

入力内容

プロンプト

ちょっと主張強めですが、以下のメッセージを送ります。理由として、あえて賛否両論的な内容の方が面白い返答を期待できそうだったためです。

新しい文化の誕生についてブレストをしたいと思います。
新しい文化というものは、多かれ少なかれ既存の文化の影響を受けているものと考えます。
それに伴い、既存の文化の一部でも削り取ってしまう効果があると考えます。

例えばAIによって作成された絵は、人間によって作られた絵の市場を大なり小なり奪うでしょう。
それは、人間によって作られた絵か、AIによって作られた絵かを重要視しない人が一定数おり、 単に自分の目的に合致していればどちらでもよい、という人々が流れる傾向にあると考えます。

ゆえにAI絵を忌避する人々、特にこれまで提供してきた側が一部で嫌っている傾向にありますが、 しかし、市場全体で見た際に、AI絵がこれまでイラストに興味を持っていなかった層を引き込む可能性があります。
そうしたときに、一概に有害とは言えないのではないでしょうか。

アイデアをお願いします。

プロンプト

custom instructions OFFの場合の返答

新しい文化の誕生についてのブレストとのこと、興味深いテーマですね。以下、いくつかの視点とアイデアを提供します。

1. 既存の文化の進化: 新しい文化は、既存の文化が進化したものであるとも捉えることができます。例えば、伝統的な落語が進化して現代落語となり、さらにはアニメや漫画といった新しい媒体にも適用されています。既存の文化の進化を促す要素として、新しい技術や社会的な変化が挙げられます。

2. 融合文化:異なる文化が交流することによって新しい文化が生まれることもあります。たとえば、異なる料理文化が融合して新しい料理が誕生したり、音楽やファッションでもそれは見られます。AIの世界でも、異なるAI技術や視点が結合することによって、新しい表現が生まれる可能性があります。

3. 参加型文化: 近年のテクノロジーの発展により、消費者が作り手になる機会が増えてきました。例えば、ソーシャルメディアでのコンテンツ作成、ブログの執筆、自分自身の音楽や映像作品の制作等です。AIもこの一部となり、より多くの人々が芸術作品を作る手段となります。

4. AIによる新文化の創出:AI自体が新しい文化を作り出す可能性もあります。AIが人間の感情や思考を学習し、それを表現する新しい形式を創り出すかもしれません。これは人間がまだ見つけられていない新しい文化の可能性を開くかもしれません。

新しい文化の誕生は既存の文化に影響を与えますが、それは新しい視点や可能性をもたらすことで、文化全体を豊かにするとも言えます。それは市場競争の観点からも、結果的には多様性と選択肢の増大を促し、全体としての文化の発展を促進します。

ChatGPTの返答

custom instructions ONの場合の返答

確かに、あなたが提出した視点は興味深く、この話題に対する多角的な見方を提供します。新しい文化が誕生する過程で既存の文化が変革するという視点は非常に重要です。その中で、AIと芸術が交錯する現象を考えると、さまざまなアイデアが浮かび上がります。

1. AIとアーティストの共創:AIはアーティストの新たな協力者となる可能性があります。アーティストが描きたいイメージをAIに伝え、それを元にAIが絵を描く。これにより、既存の絵画の技術や技法に依存しない新たなアート形式が生まれるかもしれません。

2. 感情認識に基づくAI絵画:AIがユーザーの感情を認識し、その感情に反応する絵を描く。ユーザーが喜んでいるときは明るい色調の絵を、悲しんでいるときは暗い色調の絵を描くなど、絵画がより対話的なものになるかもしれません。

3. AI絵画のパーソナライゼーション:AIが個々のユーザーの好みや興味を学習し、それに合わせた絵を生成する。これにより、芸術体験がよりパーソナライズされ、個々の観客に合わせた作品が提供されるようになるかもしれません。

4. AIによる歴史的・文化的背景の絵画再現:AIがある地域や時代の特定の芸術スタイルを学習し、そのスタイルで新しい絵を生成する。これにより、消えゆく芸術スタイルを再現し、新たな視点でそれを解釈することが可能になるかもしれません。

これらのアイデアは、新たなAI文化がどのように既存の文化に影響を及ぼし、またそれ自体がどのように進化するかについての考察を深める一助となるかもしれません。

ChatGPTの返答

プロンプトに組み込んだ場合の返答

最後に「これらについて、独創的にかつ、創造的になにか意見をお願いします。」を加えたものです。

非常に興味深いトピックですね。新しい文化の誕生は、古いものと新しいものが交差する中で起こるという観点は私も同意します。そして、それはしばしば混乱や葛藤を引き起こすかもしれませんが、同時に新たな価値観や視点を生み出す可能性も秘めています。

たとえば、AIによる絵画の制作が人間のアーティストから市場を奪うという観点は確かに理解できます。しかし、別の角度から見ると、AIの絵画は「アートとは何か?」という質問を再定義する可能性があります。AIが作る絵画が一般的に受け入れられるようになれば、それはアートの範囲を拡大し、新たな文化の形成を促すかもしれません。さらに、AIによる絵画は、新しい創造の手法や視覚言語をもたらし、アートの世界に新しい風を吹き込むかもしれません。

また、AIの存在が人間のアーティストに新たなインスピレーションを提供する可能性もあります。AIが作った絵画から人間が学ぶことは多いでしょう。新しい技法、新しい視点、新しい表現方法など、これらは人間のアーティストが自身の作品を進化させるための新たな道具になりえます。

さらに、AIによる絵画が広く受け入れられることで、アートに興味を持っていなかった人々をアートの世界に引き込む可能性があるという点は特に興味深いです。これは、新たな観客層を形成し、より広範な人々がアートに触れる機会を提供する可能性があります。その結果、アートという文化がより広範で包括的なものになる可能性があります。

私たちが新しい文化の誕生に立ち会うとき、我々はその新しい文化が既存のものを脅かすと感じるかもしれません。しかし、変化とは必然的にそのようなもので、それが社会の進歩を駆動し、文化の多様性と豊かさを維持する要素でもあると理解することが重要です。だからこそ、新たな技術や文化がもたらす変化を恐れず、どのようにしてそれを最大限に活用し、理解し、受け入れるかを考えることが求められます。

ChatGPTの返答

美術教師とした場合

「私は美術教師であり、小学生全般に教えています。」
に変更して同じプロンプトを投げました。

あなたの観察に賛成します。新しい文化の創造は、しばしば既存のものを破壊し、代替することを含む。それはある意味で、クリエイティブな破壊とも言えます。

しかし、一方で、私たちは既存のものと新たなものが共存し、互いに影響を与え合う可能性も見落としてはなりません。例えば、AIと人間の絵画を一緒に展示する展覧会や、AIと人間が協力して作品を作るプロジェクトなどが考えられます。

また、AIの絵画が新たな視覚言語を創造する可能性もあります。人間が想像できないような色の組み合わせや形状、配置など、AIが生み出す独特の視覚表現は、芸術家や観客に新たな視覚体験を提供します。これは新しい芸術形式としてのAI絵画の魅力であり、その新規性が新たな視覚文化を創造するきっかけとなります。

さらに、AIが作る絵画が教育にも影響を与える可能性があります。例えば、AIを使用して美術の教材を作成することが考えられます。AIが人間の描く絵とは異なる視点や技法を教えてくれるかもしれません。これにより、生徒たちは従来の絵画の視点だけでなく、AIの視点からも芸術を理解することができます。

これらのアイデアは、新しい文化の出現が必ずしも既存のものを破壊するだけでなく、それらと共存し、互いに影響を与え合うことを強調しています。

ChatGPTの返答

結果

一部好みの問題もあるかもしれませんが、私個人としては「Custom instructions」をONにした方が、より理解しやすく、自分の好みに合った返答が得られました。
また、立場や職業を変えて返答を要求するというのは、ものによってはいささか冒涜的ですが、大変興味深い視点を与えてくれるものと感じました。

余談ですが、どういったカスタム指示を出したかというのも、モデルのところから確認できるのが良いですね。

「i」にカーソルをあてると表示される。

まとめ

推奨される使い方としては他に、「(Python等)コードの説明は不要」や「3年生担当の教師である」等を入れることで、返答の最適化を期待できます。
ただし、いつものやりとりにも言えることですが、プライバシーおよびセキュリティ上の懸念のあるものの入力は控えるようにしましょう。

「カスタム指示」は、AIの行動をより具体的に指示するための機能です。これを有効に使うためには以下の点に注意すると良いでしょう。

1. 明確さ: 指示は具体的で明確にすることが重要です。あいまいな指示は、AIが意図した通りの行動を取るのを難しくします。

2. 詳細さ: AIに何を求めるか、どのようにそれを達成するかを詳細に説明すると良い結果を得られます。例えば、「ウェブサイトから情報を抽出してください」という指示よりも、「このURLから最新のブログ記事のタイトルと要約を抽出してください」という指示の方が、AIには明確で理解しやすいです。

3. 段階的な指示: 複雑なタスクをAIに依頼する場合、それを小さなステップに分けて指示すると良い結果を得られます。これにより、AIは各ステップを順番に処理し、全体のタスクを達成することができます。

4. フィードバックの提供: AIが指示を適切に実行したかどうかを確認し、必要に応じてフィードバックを提供します。これにより、AIは次回のタスクでより良い結果を提供することができます。

5. 倫理と法律の遵守: AIに指示する行動は、常に倫理的で法律を遵守するものでなければなりません。不適切な行動をAIに指示することは避けてください。

6. プライバシーとセキュリティ: 個人情報や機密情報をAIに提供する際は、その情報のプライバシーとセキュリティを保護することが重要です。AIに敏感な情報を扱うよう指示する場合は、その情報が適切に保護されることを確認してください。

これらの点を心に留めて、「カスタム指示」を使用することで、AIとのインタラクションがより効果的で有益になることでしょう。

ChatGPTからの返答

おまけ(ChatGPTとのやりとり全量)

※プロンプトに組み込んだ場合の返答ですが、この後いろいろやりとりをしてしまい、公開するには適さない言い回しが多くあったため、省略させていただきます。


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