エイる(AIる):検索のあたらしい形
「ググる」という言葉が日本で一般的に使われ始めたのは、2002年頃だそうです。それ以来、しばらくの間はGoogleが検索エンジンの圧倒的な王者であり続けました。しかし、近年はGoogle検索をあまり使わなくなったという人が増えているのではないでしょうか。
その背景には、AIによる検索技術の進化や、Google検索の品質低下があると言えます。本記事では、自分が活用しているAI検索ツールを紹介しつつ、AI検索の今後の展望やその限界についても考察します。
「ググる」の時代は終わった
長い間、私たちは「いかがでしたか?」という一文で締めくくられる中身のないブログ記事に悩まされてきました。Google検索の上位に表示されるのは、信頼性の高い情報ではなく、SEOに最適化されたものばかりです。
もちろんGoogleも対策を講じていましたが、結局はイタチごっこのような状態が続きました。そうした中で、AIを活用した新しい検索エンジンが次々に登場し、Google検索の代替手段として台頭しています。
↑定期的に頑張ってはいますが……
AI検索の台頭
ここでは、自分が実際に使っているAI検索サービスを紹介します。他にも多くのAI検索ツールが登場しており、今後さらに進化していくでしょう。特定のサービスに固執せず、柔軟にツールを活用するのがベターです。
ChatGPTのブラウジング機能
ChatGPTの「ブラウジング機能」は、2023年9月に正式に公開されたGPT-4の一部として導入されました。この機能により、ChatGPTはリアルタイムでインターネット上の最新情報を取得でき、従来の固定された学習データに頼るだけではない検索が可能になりました。
このブラウジング機能は、以前はChatGPT Plusのユーザー向けにベータ版として提供され、色々あって公開と非公開が繰り返されていましたが、最終的に広く利用できるようになりました。
なお、現在のブラウジング機能は「Bing検索」をベースにしていますが、将来的には「SearchGPT」として独自の検索機能を開発中とのことです。(今は一部の限られた人にのみ公開中。)
Bing Search - Copilot(Bing Chat)
Bing Searchが再び注目されている理由の一つは、OpenAIが開発したGPTモデルを活用した「Copilot(Bing Chat)」と呼ばれるチャット型検索の導入です。この機能により、従来のキーワード検索に加え、自然な言葉で質問するだけで、文脈に応じた回答が得られるようになりました。
自分も今年からiPhoneのデフォルト検索エンジンをBingに切り替え、活用しています。従来の検索体験に比べて、Copilotによる検索は非常に直感的です。この辺りの精度、粒度が新しいスタンダードとなるでしょう。もっとも、専用のアプリもあるので、チャット目当てであればそちらを活用した方がよいでしょう。
Perplexity
Perplexityは、聞き馴染みのない方も多いかもしれませんが、こちらも対話形式の検索が可能なサービスです。無料版でも高速なレスポンスが得られ、Google検索に慣れたユーザーでも違和感なく使えるのが特徴です。加えて、有料版ではGPT-4やClaude 3.5など複数のモデルを選択することができ、さらに高度な要約や検索が可能です。自分は、スマホ(アプリ)からよく利用しています。
https://www.perplexity.ai/search/perplexityhatonoyounaaijian-su-Dp.xhAt2QuS7KnRCZlnc6Q
↑結果もこのように共有できます。
Genspark
最近、最もよく利用しているのがGensparkです。ベータ版ながら、非常に深い検索が可能で、検索開始時に複数のWebサイトにアクセスし、カスタムページを生成します。生成された結果をファクトチェックできる機能もあり、非常に強力なツールです。PCからはよく、こちらを活用しています。
ただし、結果が生成されるまでに数十秒〜数分かかることもあります。無料でこれだけの機能を提供しているのは驚きです。このレベルであれば、将来的に有料化されるのは避けられないかもしれません。(かなりコストがかかっていると思います。)
↑こちらも結果を共有できます。
AI検索の限界
AI検索は便利な反面、誰が作成したかわからないWebサイトの情報を参照するため、誤りや偏りが含まれる場合があります。また、検索エンジンごとに癖があり、特定の視点に偏った結果が表示されることもあります。これらの理由から、ユーザー自身がクリティカルシンキングを強化し、結果を盲信しないことが重要です。
さらに、プライバシーにも注意が必要です。AIが使用するデータセットに、意図せず自分の入力が含まれてしまう可能性もあります。AI検索は非常に便利ですが、情報の取扱いやプライバシーに関するリスクとどう向き合うかは、ユーザー自身の判断に委ねられます。
誤りについて具体的に、検索元の情報は正しい場合でも、それをAIが要約する際に誤りが発生する可能性があります。上記に連携した、Gensparkの結果から抜粋します。
そのため、今の時点では確認のため、結局二度手間になる場合があります。
未来の検索体験はどうなるか?
おそらく今後、従来の検索サービスが完全になくなることはないでしょう。対話形式での検索は便利ですが、従来型の検索に比べて時間がかかることも多く、双方の手法が共存しながら進化していくと考えています。
さらに将来的には、ChatGPTのメモリ機能のように、ユーザーの趣味や嗜好を把握し、よりパーソナライズされた結果を提供するAIエージェントのような存在が一般化するかもしれません。
例えば、夜寝る前に特定の論文を読んで眠ったとして、その間にAIが気を利かせて情報収集や要約を行います。朝起きた際にその補足情報をAIが提供する、といった未来も想像できます。(寝ている間に妖精が働くかのごとく——)
まとめと余談:「エイる」の可能性
AI検索が今後、より一般的な選択肢になる中で、どのように活用するかは個人の工夫次第です。しかし、AIの発展に伴い、従来の広告収入に依存するスタイルのWebメディアは厳しい状況に置かれるかもしれません。
今後は、人間に読んでもらえる記事だけでなく、AIにとっても「読みやすい」記事を書くことが重要になるかもしれません。AIと人間、双方に対して最適化されたコンテンツが求められる時代が来るかもしれません。
個人的にはHTMLも拡張が必要かなと思っていて、ハルシネーション(幻覚)が起きそうなところは、タグの中にAI用のアノテーション、キーワードを埋める必要があるのではと思っています。
その他、重要視しているのが「体験」です。プレスリリースをそのまま引用するのは難しくはありませんし、教科書的にまとめることは、AIが最も得意とすることです。ゆえに「人間」が使ってみてどうだったか、というのを主観的に書かないと差別化できないように考えています。
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