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WE二次試験出題品種を10年間分分析してみた。

どうも、丹治-Ricky-です。

 WE試験もそろそろ追い込みの時期になりましたね。私は6/14から類問マラソンに着手したので、まだ間に合います、頑張ってください。

 さて、今回のnoteでは、J.S.Aワインエキスパート試験にて出題された品種を10年ほど遡り、それらにどのような特徴があったのかを分析したものです。今年ソムリエ・ワインエキスパートを受ける方が対象のnoteですが、二次試験は一次試験を通過しないと受けることができません。そのため、受験者は流し読み程度に済まし、一次試験に注力しましょう。

 一次試験を通過しましたらまたお会いしましょう。このNoteに「スキ」、X(Twitter)でポスト、シェア、ブックマークなどを利用し、いつでも見返せるようにしておいてください。


備考:

 私は試験対策を専門にした講師ではないため、コアな話はできないですが、二次試験通過にあたって、「ブラインドテイスター」「有名バンドの披露宴に引っ張られるようなソムリエ」「ワインスクールの講師」「野生のソムリエ」など多方面の方々にご教授いただき、個人でもブラインドティスティングを教えた実績があるため、ある程度の粒度の情報を提供できると思います。

 私の投稿したWEに直接関連する記事は以下3点です。ご参考ください。



外部の分析記事

 各記事とも独自の分析をしているので面白い。

■ワイン受験.com

 基本品種と呼ばれる主要6品種(カベルネ・ソーヴィニヨン、シラー(シラーズ)、ピノ・ノワール、シャルドネ、リースリング、ソーヴィニヨン・ブラン)が不可欠


■ADV

 出題品種はあらかた決まっていて、出題される価格帯は2000~4000円。


■WBS

 2011~2023年を分析。白ワインは出題者の意図を汲み取って品種まで当て、赤ワインは品種よりその前の表現を当てる必要があるとのこと。


■エノテカ

 2017年以降、配点が発表されるようになり、当初と比較して今は産地・品種に対しての配点の割合が上昇した。



過去十年間の出題品種を出力してみた。

 ここからが私の内容です。他の誰も記事にしていなかった品種、収穫年(VT)、生産国の表を作成し、過去10年分遡りました
 
 分析した所、2018年を境に出題情報に変化があったように見えます。これはおそらく2016年2月に田崎会長が就任したことでテコ入れが行われたためです。二次試験の出題ワインはおよそ1年前には発注しているようで、2018年より変化したように見られ、配点が公開されたのも就任した1年後の2017年です(この頃に一次試験の内容も変化がありました)。この2017年と2018年間を「シンヤ・タザキライン」と勝手に命名します。

 となるとマクロな分析をするなら過去10年、ミクロな分析をするなら2018年以降を見るのがベターとなります。その上で以下をどうぞ。

白ワイン

黒字:WE出題品種、赤字:ソムリエ出題品種、():収穫年で、何年前のVTが出題されたか。

 白ワインの特徴としては、シャルドネ、SB(ソーヴィニョン・ブラン)/リースリングのいずれかは必ずと言っていいほど出題されていることです。また、甲州とSBはタッグで出がちであることも気になります。

 白のVTは出題年の1~3年前が多く、ボリュームゾーンは2年前です。アロマティック品種代表であるゲヴェルツトラミネールは2011年に出題されていますが、最近は身を潜めています。VTは2019~2023が想定されますが、困ったら2年前を選択しましょう。

 ただし、2018年以降、低頻出の品種がちらちら存在しているので、ここで品種による点数の差をつけているような感じがします。

 品種がここまで偏っているということは、出題者的にも品種本来の特徴を素直に受け止め、回答してほしい意図が伝わります。ただし、昨今の配点事情的に、新世界か旧世界かの選択を間違えないことが合否の分け目になる印象です。

 勉強するべきテーマは以下です。気分転換でトロンテスやゲヴェルツトラミネール、ヴィオニエにもチャレンジしてみましょう。

■シャルドネ:MLF有無と樽特徴、新旧世界比較
・マコン(フレンチオーク)
・MLFしていない村名シャブリ
・豪シャルドネ(多くがステンレス)
・米シャルドネ(アメリカンオーク)

■SB:新旧世界比較
・ロワール(※2023出題)
・ニュージーランド
・チリ(※2023出題)

■リースリング:新旧世界比較
アルザス
・ドイツ
・オーストラリア(※2023出題)

■甲州、ミュスカデ:品種の二択間違えると10点以上減点リスク
日本の甲州
・フランスのミュスカデ


赤ワイン

黒字:WE出題品種、赤字:ソムリエ出題品種、():収穫年で、何年前のVTが出題されたか。

 赤ワインは白ワインには無い製法である果皮の漬け込みがあることで、果皮に含まれるスパイス成分が抽出され、より複雑な味わいになる傾向があるため、品種の絞り込みが厄介です。それが反映されているかのように、品種が分散しています。そのため、白ワインのような品種を当てる、というより赤ワインの中に含まれる特徴を1つ1つ汲み取って部分点を積み上げていくことが重要になっていきます。

 シンヤ・タザキラインの前後で、品種が絞り込みづらくなった、という声を聞いています。また、多方面で主要品種として挙げられているCS(カベルネ・ソーヴィニヨン)、PN(ピノ・ノワール)、シラーの傾向に違和感があります

 まず、CSは新世界以外出ていません。これはかの有名産地ボルドーでCS単一品種を用意していないためです。CF(カベルネ・フラン)を用いることで分散を図っているように思えます。また、昨今の価格高騰の結果からか、PNの出題頻度は激減し、旧世界からの出題はありません。シラーは単純に出題頻度が他の品種と分散した印象があります。

 逆に出題率を上げているのがテンプラニーリョ、サンジョベーゼとメルローです。ただ、隔年出題が見受けられるため、24年度の出題率は低めの印象です。おそらく点数の差がつかないMBA(マスカットベーリーA)はもう出ないでしょう。

 ちょっぴり怖いのはラングドックのCSとPN、しかし、そこを選んでまで出すか?と言われると微妙ですが、個人的に気になってはいます。

 ソムリエ協会的には、外面⇨香り⇨味⇨総合評価⇨品種で回答してほしく、佐◯木メソッド(試験に出ない選択肢を選ばず部分点を取っていくスタイル)に対しては否定的なのですが、佐々◯メソッドが一番合格に近いのは皮肉です。

 2020年の米カベルネは火災の影響で収穫量が減ったので選択肢としては出ない、などVTでの絞り込みもできますが、個人的に要注意の国は頻出の「オーストラリア」のCSとシラーと、直近でラズベリーレッドの色調とされる品種が2021年以降から出ていないことから、「フランス」のガメイ、「イタリア」のネッビオーロです。VTは2018~2022が選択肢になると考えられます。

その上で勉強するべきテーマは以下です。

■ピラジン香を知る
・カベルネ・フラン(ロワール)
・カベルネ・ソーヴィニヨン(アメリカ)

■ラズベリーレッドの品種を知る
・仏ガメイ
・伊ネッビオーロ
・NZピノ・ノワール
 ※その他はダークチェリーレッドとお考えください

■シラーを知る
・仏シラーと豪シラー




品種特性を知れる安ワインx選

 基本的に横のみをお勧めしますが、今このタイミングから比較検討やっても間違いなく忘れると思いますので、一般流通している1000~2000円ワインの中から品種特性を取りやすいものをいくつかピックアップしました。ざっくり「こういう味がするんだな」程度の予習ができると思います。

随時更新していきます。


カベルネ・ソーヴィニヨン

ワールドディスカバリーシリーズ カベルネ・ソーヴィニヨン
学べる要素:ピラジン、甘草
■ラングドックのCS。アルコール度数12%であり、香りが開くのに1時間以上待つ必要があるが、CSの品種個性がしっかり取れる優良ワイン。これより濃いと思ったら新世界に振るべき。セブンイレブンで購入可能。


ベンド カベルネ・ソーヴィニヨン

■学べる要素:新世界の果実感、アルコール感、バニラ
■新世界のカベソー。アメリカンオークのバニラ感と重厚な果実感をシンプルに感じることができるため、新世界の赤ワインのイメージを鮮烈に残すことができる。ザ・セラーズで購入可能。


シラー

ワールドディスカバリーシリーズ シラー
■学べる要素:ロタンドン(胡椒)、カシス、鉄、ユーカリ
■オーストラリアのシラーズ。ロタンドンは冷涼な地域の方が発現するが、その香りは20%の人間は知覚できないとされているので、分からなくても落ち込む必要は無い。ロタンドンは胡椒そのものではなく胡椒の中に含まれる成分のため、知覚するときは口に含んだ後、喉から鼻腔に空気を通した際に胡椒に似たスパイス要素を探してあげると良い。セブンイレブンで購入可能。



シャルドネ

インドミタ グラン レセルバ シャルドネ
■学べる要素:MLF、バニラ、白桃(ストーンフルーツ)
リカマンの最強安うま白。1000円で新世界のシャルドネの魅力を余すことなく表現できている傑作。


トロンテス

クマ オーガニック トロンテス
■学べる要素:マスカット、アロマティック品種
■日本で唯一気軽に手に取れるトロンテス。トロンテスはアルゼンチンのワインで比較的量を確保しやすいため、過去に試験でも数回出ています。昨今の価格上昇や流通を鑑みても(ナチュラル)ローソンで購入できる入手難易度のトロンテスはぜひ一度は挑戦してほしいです。


ゲヴェルツトラミネール

コノスル ゲヴュルツトラミネール ビシクレタ・レセルバ
■学べる要素:ライチ、白檀、アロマティック品種
日本に入ってくるゲヴェルツトラミネールの中で一番安く美味しいワイン。このワイン自体単一では無いが、ゲヴェルツトラミネールという品種特性を理解するには十分な味が存在する。トロンテスと混同しがちなので飲み比べるのも良い。トロンテスとの大きな違いは果皮の色に起因するワインの色合いと果実のニュアンスとされている。



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