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安心をカタチにする

構造安全性の確保とは・・・
構造体は住まいのシェルターとして、堅牢で、経年変化の少ない、初期強度が持続する、長持ちする構造体が基本です。
【熊本地震から学ぶ】地震に強い家の構造的な対処
耐力壁の壁量は建築基準法の1.25倍を基本とし1.5倍を目標とする。
偏芯率(重心と剛心のズレ)は0.15以下にする。
③耐力壁の直下率50%確保を目標とする。

①耐力壁の壁量について
地震対策として、壁量の安全率をまず確保したいものです。
かと言って壁だらけで暗く風通しの悪い住まいというのは心地よいものではありませんので、適切な場所に適切な量を確保することが大切です。このようなバランス感覚は、設計者の知識と経験を活かさなければなりません。
・安全率(存在壁量/必要壁量)を高めに設定し耐震性の向上を図る。
耐力壁の壁量は建築基準法の1.25倍を基本とする。
・耐震等級が求められていなくとも、安全率1.5以上、偏芯率0.15以下を確保した上で、構造計画を実施すること。これは近年増えている台風や突風時の耐風圧の安全率にも連動しております。

②偏芯率とは
簡単に言うと、建物全体の重さの中心と、建物全体の耐力壁から計算する剛性の中心が、どの程度ズレているかを割合にして表したものです。偏芯率が高いという事は、建物に加わる縦横無尽な地震の力が、一部の弱点に集中してしまうことになります。
よって偏芯率は0に近ければ近いほど建物の安全性が高くなる数字ではあります。建物に作用する力と建物の中心がズレていると、作用した力がより大きくなり建物の一部に加わることにもなります。
更には地震の力というのは水平にだけ働くものではないので、建物全体を俯瞰して弱点になりそうな場所や、力が集中する場所を捉え、的確な補強をするところまでを初期から想定しておく必要があります。

③耐力壁の直下率と建物の安全性
熊本地震の報告の中で、耐震等級2の住宅が倒壊したという例が日経アーキテクチャーに掲載されています。その住宅は前震(震度7)で耐えたものの、本震(震度7)で倒壊しました。報告書には、その住宅の柱の直下率が47.5%耐力壁の直下率が17.8%という数値が記載されています。
また瑕疵担保保険制度を利用した、登録木造軸組構造55万戸に対する事故事例の割合は、耐力壁の直下率が50%を境にして急増しています。このことから、統計としては直下率は50%以上にすることが安全の確保につながると考えられます。
また、地震力を上手に地盤まで伝えるためには床剛性が高いことも必要です。耐力壁が上下でズレているときに床を硬く作っていれば、適切に下階に力を伝達することが出来ます。更には吹き抜けや階段、中庭などの構造的な弱点を理解し、力を伝達させる流れを設計することも大切です。

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