MCバトルと"SAVE THE HIP-HOP"

「『アイツらのHIP HOPは異端だ』昔からずっとそう言われ続けてきたが
 巷散らばるBitchしか踊らん 淫らなHIP HOP 異端はいい加減どっちかな 」
 (THA BLUE HERB/HIP HOP番外地)

去る 9/22、東京公演が平日で行けなかったので、宇都宮まで行って見てきたんですよね。「THA BLUE HERB RELEASE TOUR」

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ILL-BOSSTINO、御歳48歳。
「今が全盛期」と語り、3時間のワンマンライブをノンストップで駆け抜ける前人未到のラッパー。異次元すぎる。

僕は「HIP HOP番外地」がすごく好きなんですよ。
無骨でストイックなスタンス、TBHの美学、ボスが日本のヒップホップに向ける愛憎が詰まっているというか、僕も多少なりともヒップホップに関わる人間として、聴くたびに背筋が伸びる気持ちになります。

そしてライブでボスが歌い始めたあの瞬間、改めて僕は一つの刃を喉に突きつけられた気がしました。
いつもとリリックが違ったんですよね。

「『アイツらのHIP HOPは異端だ』昔からずっとそう言われ続けてきたが
 巷散らばる "ガキが罵り合うHIP HOP" 異端はいい加減どっちかな 」

「別に俺たちは罵り合うのがヒップホップだと思ってるわけじゃない」

僕もMCバトルにちょこちょこと出てるんですが、まあ「罵り合い」がガンガンに繰り広げられていることは事実なわけですよ。
人格否定、性差別、暴力的な表現、、、普段言えないようなワードがポンポン飛び出てくるカタルシスがMCバトルの盛り上がりに繋がっていることは、否定できない一つの側面だと思います。


「でも、本当にそんなラップがしたかったんだっけ?」


多分、この悩みにそれぞれが答えを出そうとしている、出し始めているのが、今のMCバトルシーンなんじゃないかなと僕は思います。


MCバトルって、基本的には直接民主制です。
お客さんの支持で勝者と敗者が決まり、1日の終わりにはその日最強だったMCが一人決められていきます。

このシステムはかれこれ10数年に渡って続けられてきたものですが、MCバトルブームによる「オーディエンスの変容」が大きくこの意味を変えたように思います。
ざっくり言えば「ヒップホップヘッズ&プレイヤー」から「バトルヘッズ」に主権が交代していったわけです。イベントや地域によってもちろん差はありますが、これ自体は止められない大きな流れだと言えると思います。

ラップが好きで、ヒップホップが好きで、パーティーが好きでマイクを握るMC達。
MCバトルが好きで、刺激的なぶつかりあいが見たくて、その日しかできない体験を求めるオーディエンス。

もちろんどちらが正しくてどちらが間違っているなんてことはないです。
ただ、両者のギャップが”引退宣言”に見られるような「MCバトル疲れ」を生み出している現状はある種の悲劇だと僕は捉えています。
それぞれが自分の楽しめる場所、仲間とヒップホップを楽しむこと、当たり前なのかもしれませんが、「自分のヒップホップを自分で守ること」がすごく大切な時代なんじゃないかなと思います。

REHERB 〜SAVE THE HIP-HOP PROJECT〜


そんな2019年、先日10周年を迎えたヒップホップパーティー「REHERB」で2年半ぶりにMCバトルが復活することになりました。

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==REHERBとは==
2009年春、DJ YUTAKA とDJ KENSEIの呼びかけで始まったSAVE THE HIPHOP プロジェクト「REHERB」(読み:リハブ または、リハーブ)。 最近のヒップホップのクラブシーンに疑問を抱き、本来のHIPHOPクラブの姿に戻そうと、その主旨に賛同したREAL DJ's が集結し、実際にその姿を再現して「本来のクラブの楽しみ」を伝え続けようという、プロジェクトです。

正真正銘、ヒップホッパーによる、ヒップホッパーのための、ヒップホッパーのイベント。エキシビジョンマッチも凄まじいメンツですが、日本最高峰のB-BOYとMCが、この2019年にフュージョンすることは、これから先の日本のヒップホップにとって、一つの分岐点になる可能性を多分に秘めてるんじゃないでしょうか。

この数年、それぞれが考え、向き合ってきた日本のヒップホップの未来を考えていくために。「SAVE THE HIP-HOP」のワードに何かを感じてもらえたMCの方々、ご来場お待ちしております!

MCバトルエントリーもまだまだ募集中です!!


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