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さらに良寛の書の真贋について

良寛の楷書で「善言懺謝」から始まる作品がある。ある経文の一節で、修行者のありかたを説いたものとされる。
この書は新潟の良寛の里美術館にある。もとはその在の大矢家が所蔵されているもので、美術館でみることができる。

野島出版の「良寛の書 第一巻 楷書」より

じつはいまこの書とほぼ同じものがヤフオクに出品されている。文章は全く同じだが、文字間の空白がいくらかちがう。文字のかたちはほとんど変わらない。
これについてどう考えるか。

・模写である
・二つ目の真作である

ややこしいのは、このヤフオクの出品作には堀江知彦という古筆鑑定家の識がついていることだ。この識がほんものであれば、

・堀江氏の見立てのように真作である
・堀江氏の見立てがまちがっている偽作である

となるし、堀江氏の識があるいは偽作だとすればひっくるめて偽物になる。
さてどうなのだろう。

文字は似ているが、3行目の字間の空きが微妙にちがうのがおわかりだろうか。上の3文字にくらべて、下の3文字が窮屈になっている。大矢家所蔵のほうはバランスはわるくない。


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