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3Dプリンターのトラブルシューティング

1.はじめに

 3Dプリンターに限った話ではないのですが、使用していてトラブルに遭遇する事は常に起こりえます。「いつもどおり使っていたら不具合が発生した」に始まり、「何もしていないのに壊れた」などその事情は様々です。

 ここでは、普段使用している3Dプリンター(Prusa i3 mk3s、Anycubic i3 mega)で発生したトラブルと、実際に自分が対応した方法について随時まとめます。


2.トラブル事例

2-1.電源が入らなくなった

 ここで言う「電源が入らなくなった」とはホットエンドを加熱中に突然電源が切れてしまいスイッチを押しても稼働しなくなったケースです。調べてみたところ、原因はマザーボードのヒューズが飛んでしまった事にあり、ヒューズ自体を外付けする事で対応しました。内容は別記事にまとめました。

2-2.フィラメントが定着しない

 これはその都度原因が異なるので、原因に合わせた対応が必要です。

対応1.ビルド面との距離は適切か?

 ノズルとビルド面との距離が適切でないとフィラメントは定着しません。例えば、ノズル先端にフィラメントが溜まってダマのようになっている場合は離れすぎている可能性があります。i3 megaの場合はカスタムファームウェアでメッシュベッドレベリングが出来るようになりますので、導入するのも一つの手です。

 また、ABSなどの場合はビルド面の温度が適切でないと定着しません。それぞれのフィラメントの推奨温度に調整します。

 一方で、フィラメントは定着していないがフィラメントの跡のようなものがついていたり、エクストルーダーから「ゴツゴツ」というようなノック音が聞こえる場合はノズルとビルド面との距離が近すぎる可能性があります。この場合も距離を修正する必要があります。別の可能性として、ノズル温度が低い事も考えられます。その場合はノズル温度を5℃刻みで調整します。

 ノズルとビルド面が近い場合、ノズルからフィラメントが吐出されず最悪の場合ホットエンド内で詰まる危険性もあります。まずはレベリング調整をする事が望ましいでしょう。

対応2.ビルド面を清掃する。

 油など、定着の妨げになるものがビルド面に付着している場合もフィラメントの定着不良を引き起こします。普段は水拭きで十分ですが汚れが目立つ場合はガラスマジックリンやイソプロピルアルコールを使います。イソプロピルアルコールは非常に強力にビルド面の汚れを除去しますが、使いすぎるとビルド面自体が痛みますので普段使いするのではなく、定期的なメンテナンスの一貫とて行います。


2-2.積層面が荒れている

 積層面が一定でなく、触るとガサガサになっている場合があります。3Dプリンターの機種や、他の印刷パラメータによっても結果が変わってきますので一概にいえないのですが、一つの原因としてノズル温度が適正値より高い可能性があります。5℃刻みで下げて調整します。


2-3.フィラメントが詰まって吐出されない。

 フィラメントが定着しない事と並んで、原因が複数あるトラブルです。

対応1.ノズル先端から針を通す。

 ホットエンドを加熱し、ノズル径に合わせた針を通します。Amazonで複数本まとめて販売されているものあります。

 ノズル先端から、針が根本まで入ればノズル内部の詰まりは解消されます。手動でフィラメントを送り、吐出される事を確認します。次回以降、印刷時のノズル温度を上げて吐出がスムーズになるかどうかも確認します。


対応2.コールドプルでノズル内部の付着物を取り除く。

針が通しても吐出が悪い場合、コールドプルでノズル内部を清掃します。

 ボーデン式の場合はボーデンチューブを取り外す必要がある等、ノズル針を通すよりもやや作業が面倒です。

対応3.ノズルを交換する。

ノズルが外れるのならばノズル自体を交換します。この時、しっかりノズルを加熱している状態で最終締めをします。力を込めすぎるとノズルが折れる危険もあります。E3Dの場合は3Nmのトルク(スパナ一本を指先で押す力程度)が適切との事です。


対応4.ホットエンドを分解する。

そもそもフィラメントがホットエンド内部まで入らない等、コールドプルでも問題が解決しない場合は溶けたフィラメントがノズル内部から、ヒートブレイク付近まで詰まっている場合があります。また、冷却フィンの内部でフィラメントが折れてしまってフィラメントが入っていかない場合もあります。

 このような時は、ホットエンド自体をバラします。ヒートブレイクを冷却フィンから取り外すと、どこまでフィラメントが詰まっているのかが判明します。ヒートブレイク先端までフィラメントが詰まって取れなくなっている状態もありましたが、その時はホットエンド加熱を行いフィラメントが柔らかくなったタイミングでペンチで引き抜きました。

対応5.ホットエンドを交換する。

ほぼ最終手段です。物によっては手に入りにくく、一ヶ月程度かかる場合もあります。


2-4.積層がずれる

いくつかの原因により、脱調を起こしている可能性があります。

対応1.ベルトのテンションを調整する。

 ベルトを指先で押して、抵抗を感じない程度に緩んでいる場合はテンションスプリング等を使ってテンション調整をします。

aliexpressで「タイミングベルト テンション」等で検索するとまとめて購入できます。

それ以外にもthingiverseにも同等の機能を有するものがあります。

対応2.モーターを冷却する。

 ベルトのテンションに問題がなかった場合は、ベルトを動かすモーター自体を冷却します。


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