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Printbite+のレビュー

1.はじめに

 以前、Printbite+というビルドシートが大変定着性に優れている、という話を聞いたことがあり中々試す機会がなかったのですが、ようやくPrusa i3 mk3sで使う事が出来ました。PEIのシートとやや勝手が違いますが、幾つかの点でPEIより優れていると感じた点がありましたので、レビューという形で紹介します。


2.Printbite+について

 そもそもPrintbite+とはF3Dというメーカーが販売しているビルドシートです。3Dプリンターで使われる素材のほぼ全てに対応したり、損耗もなく3Dプリンターそのものの寿命が尽きるまで使う事が出来たりすると謳っています。

 また、購入時にグリッド付きやクリアorブラック、サイズの指定など使用する3Dプリンターに合わせた仕様を細かく選択する事が出来ます。今回はPruas i3 mk3sで使用する為、サイズは253x228(Prusa mk2と同サイズ)のものを選択しました。送料込みで約5000円になります。ちなみにaliexpressにてPrusa i3 mk3s用のPEI無しのビルドプレートがありますので、それを別途購入して貼り付ける事にしました。


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 サイズは印刷面ピッタリです。Printbite+自体厚みがあるので少しずつ剥離紙を剥がしながら貼り付けていきます。説明書によれば、貼り付けた後ヒートベッドを加熱する事でより強固に接着される、との事です。


3.幾つかの使用時の注意事項

 さて、いざPrintbite+を使うにあたり注意する点が幾つかあります。

3-1.ヒートベッド温度の調整

 通常のヒートベッド温度でも問題ないようなのですが、ABSはヒートベッド温度を通常110℃に対し、115℃上げたほうが定着しました。少なくとも100℃では吐出したそばから反り返っていきます。ブリムも併用した方が良さそうです。実際、説明書にも温度を通常より+5℃もしくは+10℃にするよう記載があります。ただし、フレキシブル系のフィラメントはその限りでは無いようです。

3-2.印刷面の清掃

 決してイソプロピルアルコールを使わないように、と注意書きがあります。清掃時には石鹸水や窓拭きクリーナー等を推奨しています。


 その他にも注意書きがあるのですが、特にIPA使用の厳禁は驚きました。最悪の場合、表面が傷ついて使い物にならなくなるようですので特に注意が必要だと思います。


4.印刷テスト

 前置きが長くなりましたが、いつもの船を使い印刷テストを行います。

4-1.PLA

 ヒートベッド温度を60℃から65℃に変更して出力。ブリム無しでも最後まできっちり定着したままでした。 定着面は鏡面仕上げで、PEIシートよりも光沢があります。

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 使用したフィラメントはReprapperのPLA、赤です。



4-2.ABS

 こちらは幾つかの設定パターンで出力しました。すべてヒートベッド温度115℃です。使用フィラメントはRepRapperのABS黄色です。

 まずはブリム無し、ドラフトシールド無しのPLAと同条件です。結果、定着面の反りが大きくなり、途中で剥がれてしまいました。

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 続いてドラフトシールド有り。途中で剥がれる事はありませんでした。反りも抑えられています。

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 最後にブリム有り、ドラフトシールド無しです。途中で剥がれる事もなく、ドラフトシールド有りの時よりもさらに反りも抑えられました。

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※印刷直後の状態

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※ブリム除去後

 結果、ブリム有りの状態が一番安定して出力出来ています。PEIシートの時はのりも追加していたのですが、少なくとも船のテスト印刷ではのりは使わなくても問題ない事がわかります。


 その他、PLAで幾つか大きめのものを出力しました。いずれもしっかり定着されており、定着面がキレイに仕上がっています。

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5.所感

 送料も含めると、やや割高のように思えますが、使ってみると下記のように多くの利点があると考えられます。

・ABSでも安定した定着力

・印刷終了後の造形物の取り外しやすさ

・接着面の美しさ

 ABSのように反りやすく、印刷を失敗しやすいものでも安定して出力出来ます。また、ヒートベッド温度が下がると造形物がすぐに外れるようになります。この点はPEIシートよりも遥かに優れており、ビルドプレートを曲げて外すという事をしなくて済むようになるのは大変素晴らしいです。

 i3 megaのULTRA BASEでも温度が下がってからしばらくしないと取り外す事が出来ませんでしたが、Printbite+は温度が下がると(ものによっては下がり始めた時点で)すぐに取り外しが出来るようになります。このスムーズさは印刷終了後の煩わしさを開放させるものだと言えます。

 なお余談ですが、Printbite+の表面はグリッドなどの印字も出来るのですが、ビルドプレート自体に補助線など印字されている場合やそもそもカットする予定の場合は無地の方が貼り付けた時に見た目がすっきりします。

 


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