【映画】あちらにいる鬼 に思う
元々、瀬戸内寂聴さんを少なからずリスペクトしていることもあって、その寂聴さんの実際の恋物語を描いている映画を観たいと思ったので、時間を作って観にいった。
あと、映画の中で寺島しのぶが、自分の本物の髪の毛を剃髪しているシーンが予告編等で流れているときから、気になっていたこともある。
このシーンは、女優 寺島しのぶの本気の女優魂を魅せてくれた気がした。
この映画は、まさに、その女優 寺島しのぶの怪演、妙演、艶演と言ったところだろう。
見事に寂聴さんの若い頃、四十路の恋女を演じていた。
まさに恋する乙女の部分を演じており、オンナの部分を遺憾無く魅せていた。
四十路の女性なのだが、恥じらうときに、女子中高生のように、少女のように頬を染める。(ように、わたしには観えた)
この寺島しのぶの演技に、エラく感心した。
わたしは決して、寺島しのぶを美人とは思わないが、この映画の中での演技は、素晴らしいものがあったと思う。(超上から目線ですみません。)
そして、もう一つ書いておきたいことがある。
みなさんもご存知だと思うが、この映画の原作小説を寂聴さんの不倫相手の長女さんが書いているということだ。
実の父親の不倫を、その実の娘が物語にすることは、普通ではなかなかできないことだ。
原作小説の執筆にあたり、寂聴さん本人にも何度も取材したそうである。
寂聴さんは、不倫をしていた当時の自分の恋愛観やそのとき抱いた感情などのことを、惜しげもなく、赤裸々に、時には大笑いしながら語ったそうだ。
このことはシンプルにスゴイと思う。
自分だったら、当然、取材を丁重にお断りしたと思う。
それほどまでに、このトヨエツが演じた、どうしようもなくオンナ好きの作家の男性を、心の底から愛しきったのだろう。
この、世間では不倫と呼ぶこの恋愛を、心の底から、なんというか適切な言葉が見つからないが、情熱を燃やし堪能した、味わい尽くしたのだろう。
このように、寂聴さんを寂光として、見事に演じて魅せてくれた、女優 寺島しのぶに感嘆の拍手を贈りたい。
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