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『チャイの旅」ができるまで

第二章:カンテでの楽しかった日々
その10:カンテ資料館 <思いつきで作ったコラージュパネル>

 僕が雑誌好きだということは前にお話しました。
古本や新本を買い漁っては、僕の気に入った写真やイラストを切り抜いて保存し、貯まったらスクラップブックを作ったり、クリアホルダーに分類したりするのが高校時代からの僕の趣味でした。

 1992年頃、ある一つのアイデアが浮かび、早速その制作に取りかかりました。
東急ハンズとかに売ってるA2サイズぐらいの厚紙のパネルを買って来て、そこに僕が集めた写真たちを貼ってしまおうと考えたんです。その貼り方にちょっと細工をしました。

 まず、当時、カンテで売っていた小さな雑貨(神様人形とか動物とか)を入れるPP袋で大きさの違うのを何個か持っていたので、それに写真たちを入れます。
 その後、袋の幅に合わせて紙を切り、二つ折りにしてホチキスで留めます。
 その紙の裏面に両面テープを貼って、A2サイズの紙に、気分でアバウトに貼っていくのです。

 やっていくうちに隙間ができますから、そこに今まで作って来たブックマッチやカンテで撮った写真や雑誌で切り抜いた写真を貼って埋めていきます。
 そうしてできあがったのが今回の写真のパネルで、自分でも気に入ったのでもう1枚作って撮影をしました。

 その後、このパネルはオーナーに気に入られ、アメリカ村店の入口の壁に貼ってお客さんに見てもらうことになりました。

 どういう反応があったのかは全然僕には伝わってはきませんでしたが、「どこかに貼り出したかった衝動」が実現したこと、それだけで満足でした。

コンセプトは要らない。それが僕の(昔っからの)流儀。
ただし、こんなのでは直接には商売とは繋がりません。
というか、僕の頭の中では、「商売」という言葉や回路が欠如しているのです。
一方的な作品(表現)にしかすぎない。

これって、波長が合うと理解できるんだけど、ほぼ理解されないことの方が多い。
「チャイの旅」は、これとは真逆の方法で作ってもらいました。

僕の本が売れるように。

特定の人にではなく、誰もが分かりやすい本を目指して。
読者をチャイへと誘(いざな)うように。
僕の「ひととなり」をも絡めて。

かなり緻密な計算を、編集の松田くんはしてくれました。
だから、この本は売れています。少しずつ。

ウルフルズのトータス松本の文章にも助けられて、出版から半年が過ぎた2017年9月26日、Amazonの「飲み物のランキング」で6位でした。
(僕の最高位は2位です。現在、5,000冊は完売。絶版となっています。)

松田くんを信じてよかった。
松田くん、ありがとう。

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