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『チャイの旅』ができるまで

第二章:カンテでの楽しかった日々
その12:カンテ資料館 <「ゴム印」に寄せる想い>

 僕はカンテに入る前から「スタンプ好き」で、スタンプそのものは持っていませんでしたが、スタンプのデザインとか「スタンプを押したい!」という気持ちが強く、アメリカの色んなスタンプを集めた洋書を持っていたりしたんですね。その本には、動物やアルファベットのかわいいスタンプがいっぱいで、木のスタンプをたくさん押せば森になるといったアイデアも詰まっていたんです。本当はそういうスタンプがたくさん欲しかったのですが、当時の日本には安く手に入るお店がなかったのです。

カンテの領収印や住所印は、正規の判子屋さんで作ってもらったりしていましたが、値段が意外に高かったので、「安くスタンプを作るにはどうしたらいいんでしょう?」とよく行く文房具屋さんで相談したら、「うちで注文ができますよ」と言われ、自分でデザインしたものや、インドの木のハンコから起こしたものを原稿にして、持っていきました。原稿の面積で金額を割り出していたので、3cm角で1個700円ぐらいだったと思います。

左のビンにはインドのブロックプリント用の木のハンコが入っていて、
その中から好きな図柄を選んで原稿を作っていました。
木はインクが乗りにくく原稿作りは少し難しいですけど。

 スタンプを作ると、ホールの女の子たちは喜んでそれを使ってくれました。一時ケーキの箱に模様のようにスタンプを大量に押すというのが流行ったことがありますね。中々みんな個性的でした。なかには、砂時計に魚のスタンプを押したものがあったりして、これ専用に印刷したみたいでよく馴染んでいました。

 僕が作ったハンコたちはヨックモックの缶に入れられ、新しい店ができると、そこにもらわれていったりもしました。

『チャイの旅』にも僕がコレクションしたスタンプが使われています。

僕のコレクションとして瓶に保管していた木のハンコたちは、さて、今はどこに行ったのか・・・行方知れずです。

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