フルスクラッチで?

以前に書いた会社に入社する際に、待遇は課長級で部下2名+αというものでした。
1名はHTMLからPHP、JavaScriptまでなんでもござれのプログラマー寄りのWeb制作担当。ちょっとデザインは苦手意識のある男性A君。
もう1名が前任のディレクターのB君でした。

入社前の週にその前任Bが失踪しちゃってたんです。
蓋を開けてアレコレ理解し始めると「そら、逃げてもしゃーないわな」という感想しか出てきませんでした。

当時はECサイトを作るというのがブームな時期でした。大手企業から独立した若手の意識高い系男性がクライアントで、その大手企業の役員からの紹介を受けて受注せざるを得ない案件でした。

要望は
・国内旅行用の予約サイト
・海外旅行用のカスタムツアー用サイト
・旅行に絡むグッズの販売サイト
を半年で同時リリースしろというものでした。
企業の規模から考えると受けた時点で詰みの案件です。

このクライアントの男性の組んだ予算は1000万円。
どう考えても半分以下の予算なんです。
当然、外注するほどの予算もないので、ありものからのカスタマイズしか選択肢はありません。
で、納期まであと1ヶ月。

でも、前任者は『紙』出身のD(ディレクター)なので、クライアントに「全部自前で作ってくれ」と言われて「はいはい」と軽く受けてしまってました。

社長「入って早々すまんけど、先週からB君とは連絡がつかんのや・・・」
ワタシ「え?何があったんですか????????」
A君「こうこうかくかくしかじかで・・・」
ワタシ「ああ・・・それはやばい案件ですね・・・無理ですよね」
A君「そうなんですよ。今もクライアントから電話鳴りっぱなしで・・・」
ワタシ「A君はどう目論んでるん?」
A君「少なくともグッズの販売サイトはなんとかなります。でも、カスタムツアーは個別のアイテムを買ってもらって、カートに入れていく方法しか難しいと思うんです。それ以上になると、手に負えないです」
ワタシ「そらそうやんな・・・」
社長「それでもやらんとあかんから、とりあえず顔合わせに行こか」

ワタシとクライアントの初回顔合わせから大炎上。
クラ「今日来てすぐに分かるはずがない!!前任者出せ!!」
ごもっともです。
クラ「できるって送ってきたメールも残ってる!!無理やったら損害賠償請求や!!」
ですよねー。

帰社して、ワタシと社長でどう風呂敷をたたむかの作戦会議。
ええ、初日から終電ですよ・・・。

採る戦略は
・簡易バージョンのリリースでしのぎ、なんとか段階的にリリースすることで納得させる
・遅延による逸失を考えても大した金額にはならんので遅延交渉する
・前任者を探し出して、とりあえず頭を下げさせる
という程度のもの。

まぁ収まるはず無いわな・・・とか思いながらも、こういうのは大好物でもあるし、なんとかせんとなんともならんよな・・・と思って、そのままそこで働くことにw

なんやかんやで300万円ほどの赤字を生んで、社長が個人的にかぶることで収まったんですけど、二度とこんな仕事はしたくないですよねw

そんな泥水を頭からかぶるような経験もしているので、今の仕事は本当に精神的にも負担が少なくありがたいです。

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