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Day2 #30daysongchallenge

曲名に数字が入っている好きな曲。

『72億人分のあの人』/岩見十夢作詞・中村佳穂作曲

72億分の”1人”でもなく、”君”でもなく”僕”でもなく、「あの人」。”この”でも”その”でも”どの”でもなく、「あの人」。
「あの人」という言葉だけで、だれもが誰かを想像する。

岩見十夢さんと、中村佳穂さんの共作で、Eテレ『シャキーン!』(2008〜2022年放送)の企画で生まれた曲。それぞれが演奏したバージョンが発表されていて、メロディは同じだけど、アレンジと一部の歌詞が違う。どっちもいい。どっちもが歌うからいい。

岩見さんが歌うあの人はこんな人。歌詞の情景をほほえましく思う。

あの人は考えるときあごひげを撫でる癖がある
あの人はようやく寝返りうてるようになった
あの人はパジャマを16着も持っているし
あの人はお札も小銭もズボンのポケットに突っ込んで歩く

もはや、自分も知っている人かのよう。
だから何?と言われればそれまでで、そんな人がいる、それ以上でもそれ以下でもない。君も僕も72億人分のあの人、でしかない。だけど、だからこそ。という曲。

中村佳穂さんver.のあの人はこんな人。

あの人はフクロウと一緒に暮らしています
あの人は食べればアンコの産地がわかります
あの人は先生を辞めて生徒になりました
あの人は15年ぶりに再会した中学時代の同級生と結婚しました

誰かを想像する。誰かの1日を想像する。生活を想像する。きっと、想像以上のことも、想定外のことも起きている。わからない、わからないけれど、想像する。

この曲は、だから"人それぞれだね”とか、”手をつなごうよ”とか、わざわざ価値や意味をあえて与えることはしない。
どちらかというと淡々としている。つぶやくみたいな歌い方で、歩くようなはやさで、背伸びしない声で、ごきげんに、歌っている。

72億人分のあの人がいるね。で、だから何?って言われれば、やっぱりそれまで。だけど、だからこそ、を想像する気持ち、忘れたくないなあと思う。

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