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2019年のゼルビア ②設計

1億人のゼルビアサポーターの皆さんこんにちはこんばんは。TanaLifeです。お待ちかねの振り返り記事その2でございます。

前回のあらすじ

CAに経営権を譲渡することで
J1ライセンス獲得に目処が立つFC町田ゼルビア。
目標をJ1昇格に設定し期待感が高まる
…が昇格相応の人件費投資は出来ていなかった。
全ては相馬監督の手腕に委ねられた

前回の記事はコチラをご覧ください。

サマリー (こんなはずではなかった)

淡々と結果からです。相馬監督でも今年のチームを昇華させることはならず、順位はご存知の通り18位でした。勝ち点と順位の推移をグラフ化しましたので見てみましょう。

勝ち点は優勝ラインのおよそ半分であり降格ラインギリギリでした。9節までのペースで行けたらもう少し苦しまずに済みましたが、いずれにせよ昇格を狙える状況ではありませんでした。10節以降の勝ち点ペースは非常に危険で、いくつかの攻守パターンの変更を試しつつ夏の補強も行い、辛うじて残留を果たします。

極論、人件費的には妥当な順位で昨年4位が見事すぎる。と結論するのが全てですが、自分は"見事と無惨の落差"はなぜ起きたのか?を最終的には掘り下げられたらなと思います。

テーマ 「設計」

さて、選手のコメント(抜粋&意訳)を参考にすると、チームの心境が以下の様に変遷していきました。

①自分達のサッカーに手応えはある
 相手が嫌がるプレーはできている
②新しいことにチャレンジしている 結果に繋げる
③相手の嫌がる所が何処か分からなかった

自分達のサッカーが通用せず迷走していくさまが見受けられ辛いシーズンでした。自分達のサッカーと言うとあまりよろしくない表現かもしれませんが、ここではゼルビアがチーム内で共有してきた設計図のようなものを指します。今回は相馬監督がチームに落とし込みたかった「設計」を整理して2019シーズンをどの様に戦おうとしていたのかを振り返ります。

ゼルビアの設計図

2019年のシーズン開始当初の戦い方や、郡司聡 氏著『不屈のゼルビア』の相馬監督の章を参考にしながら整理すると、おそらく相馬監督は以下の設計を選手と共有しチームを構築していたと推測します。

スローガンと目標

実際の2019スローガンは『+1 すべては掴み取るために』でしたが、相馬監督は我々は「チャレンジャー」と発言して苦境を乗り越えるための意思統一をしていました。また、勝利のためゴールに直結する手段は躊躇なく選択・固執します。ですので「挑戦」と「勝利」のワードは多用していたと思います。

その他相馬監督は「一戦必勝」を唱え、その積み重ねの上に昇格があるとし、目の前の試合に集中させていました。設計時に勝ち点や順位の長期・中期・短期的な目標を立てるチームも多いと思いますが、ゼルビアにはそのような目標設定は無いと考えています。

プレースタイル

ボール保持/非保持の局面における大まかなスタイルはゼルビアの代名詞とも言えるのでここでは説明を省きます。このようなスタイルを採る理由は個の不利を数で補うためであり、リスクを抑えるためでした。

そして相馬監督はメンタリティーを重視する思想らしく、相手の嫌がるプレー(得点、高さ、時間、スペース、数)を徹底することで試合を優位に運びたいと考えます。例えば立ち上がりから飛ばしていくのは先にスコアを動かし、その後にカウンターを発動させやすい状況を作りたいためです。

プレー原則

ここからはプレースタイルに対するもう少し具体的な内容となります。それぞれの項目の文章について、半分くらいは参考記事としているfootballistaの森保ジャパン特集内に出てくる記述をそのまま引用しています。

その理由はゼルビアのサッカーはアトレティコとかライプツィヒの様だと言われたりしますが、私はそう感じておらず、オシム氏以降の日本サッカーが示してきたプレースタイルからの集合知+応用だと思っており、参考記事で説明している内容に酷似している部分が多いためあえて同じ部分と思う箇所は同じあるいは似た記述をしました。

ちょっと前の代表を知る方しか分からないかもですが、私はゼルビアのサッカーは要は南アW杯期の岡田ジャパン(と言うより大木武 氏)が提唱した「接近・連続・展開」(※) から展開を取り除いたスタイルがベースだと思っている節があるのです。(※ 元はラグビーのアイデアらしいです)

<攻撃>

なのでゼルビアはフィジカルコンタクトによるボールロストを避けるためサイドでショートパスのコンビネーションを駆使して前進します。また、ザック期の前田遼一の様と言えば良いのでしょうか。FWが相手サイドの奥行きを狙う動きで相手を押し込む手段も多用します。

ゼルビア固有の特徴としては、ボールを前方に進めることを阻まれた場合、相手に当ててセットプレーからリスタートすることを推奨している点です。これは相馬監督の勝利へのこだわりが表れている部分だと思います。

そのため前記事に掲載した図の様に二段階進行となる攻撃(ボールの進み方)が増えます。また、原則に含めるか微妙なところですが、ゴール前ではニアサイドを狙うことを重視しています。

<ネガトラ>

攻撃の質の関係上、ゼルビアは被カウンターが多くリスキーです。しかし攻撃時の同サイドの数的優位を活用し即時奪取を狙うことで相手の速攻を制限します。守りへの切り替えの早さはゼルビアの生命線の一つであり醍醐味です。

それでも被カウンターを喰らうこともしばしばありますが、基本的には4枚でカウンター対応します。4枚は微妙に少ないのですが、ハイラインを敷いてオフサイドを狙い相手が高い位置でボールを受けることを制限します。勇気あるライン設定に非常にハラハラするのがゼルビアの醍醐味です。。。

<守備>

日本代表でもオーガナイズされる傾向にあるゾーン2でのグループ守備は、ゼルビアにおいても新加入選手が町田は守備のチームの印象と発言するくらい特徴のある部分です。守備での数的優位、グループ守備を維持するために超縦横圧縮で守るのがゼルビアの最たる特徴でしょう。

また、ハリル期の様にサイド守備ではデュエルも求められます。サイドの選手が飛び出した際は元いた場所をカバー役の選手が埋めます。例えばSHが前にいったら3-4-3に可変し、ブロック守備でSBが飛び出したらCHが最終ラインをケアします。

<ポジトラ>

攻撃への切り替えに関しては、縦に素早くという優先事項はあるもののカウンター設計ができているかと言えば無いと思います。footballistaの"ボールを奪った選手のキャラクターによってその後のプレーが決まる印象が強い。"の記載そのまま当てはまるかもしれません。

ワンサイドアタックでの素早い縦志向は得意なので、カウンターからそのまま移行することが多いです。

<空中戦>

プレー原則に相当するか謎ですが、ゼルビアは空中戦を多用し4局面で取り扱うのが難しかったので別途抜き出してみました。いずれにせよゼルビアの生命線です。

<セットプレー>

スローインからの展開も含めてですが、18シーズンはセットプレーからの得点は総ゴール数の43.5%を占めていたようです。平戸に祈る🙏 のも当然でしょう。得点を稼いでいたのはスローインやCKで戦術的なパターン設計を行っていて、相手が防げなかったという理由が大きかったことによるでしょう。平戸は鹿島に戻りましたがセットプレー重視は変わりません。

評価基準

相馬監督は以上の推測されるプレースタイルと原則が実践できる選手の起用を優先してきました。また、ゼルビアのスタイル自体が球際や強度を求められます。そのため質が高くても適応していない新加入選手が先発するのは難しく、翌年から活躍するケースが目立ちます。

おわりに

以上が私が推測するゼルビアの設計図となります。もっとシンプルに整理できないか悩みましたが無理でした。相馬監督は当然これよりも超絶細かい設定をチームに仕込みトレーニングしてきた訳ですが、それでも勝利に繋げることはできませんでした。設計通りに実現できなかった部分があったのか、それ以外に原因があったのか。。。

設計編はここまで。筆が重いですがまた次回お会いしましょう。

参考文献

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