水滴のすべて chapter three
12.恋は終わらないひかるの母は光瑠という名だった。読みはひかると同じだったので、彼はよく自分の父母に、
「別の名前にしてほしかったなあ」
と愚痴をこぼしていた。そう言われと父は、
「ドリーファンクジュニアみたいでいいだろう?」と、昔全日本プロレスによく来日していたプロレスラーの名前をあげて笑った。
ママの光瑠は、
「あら、わたしは気に入っているのよ」と言って、これまた笑った。「宇多田のファンだし」
そんな父母はいつもオプティミズムとともにあった。それは、父が癌で