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ルル

ルルは気高い犬だった
散歩すれば皆んな振り返った
馬のように走り
主人の膝の上に誇らしげに座った
誰にでも尻尾を振らず
ほとんど鳴かない
気にくわない時には容赦なく咬みつく

毅然としていて美しい犬だった

ルルはホームセンターで1万円で買われた
その家の末っ子がランドセルを買いに行った日、ランドセルを買わずにルルを買ってきた

その家庭で面倒を見切れなくなりウチへ来た。
ルルはグレーの毛色美しい成犬だった

ウチに来たルルは子どもの頃と違った
よく吠え、部屋のあちこちをあさり散らかした
近づくだけで咬みつく気難しさに俺も悩んだ

ルルもウチになれはじめ
両親や祖母にはベッタリ甘えていた
両親と眠り、俺より早く起き目覚まし代わりが仕事になった
郵便配達のバイクに容赦なく吠え、いつも家を守っていた

ある晩からだが異常に熱いことに気づき
次の日に病院へいった
入院して帰ってきた

この辺りから不具合が多くなる
目に瘡蓋ができ、失くなってしまう
家族全員ショックだったが
元気にエサを食うので変にホッコリした

膠原病という病気で
自分の身体の組織を敵と勘違いした免疫が
攻撃して壊すのだという

身体中に瘡蓋が拡がっていき膿んだ

免疫を、抑える強いステロイドを飲ませて
生き長らえさせた

瘡蓋が、治ったらその部分は石灰化し硬くなる
遂には気管まで石灰化しだし
獣医に尋ねたことがある

「この傷は痒くないでしょうか
身体に痛みはあるのでしょうか」

先生は無いと断言してくれたけれど、今思い返すと優しさだったのかもしれない

自分達のエゴで生きさせているのではとおもっていた
だけど後悔を残すのだけは絶対に嫌だったので
よく観察し、少しでも異変があれば病院へ連れて行った

最後の日も病院に行った次の日だった
息苦しそうにしていたので病院で注射を打ってもらったそう

昨日の朝は、いつものように俺より早く起き朝食のウインナーをおねだりした
膝の上に前脚をのせる、可愛いポーズをみせ
ウインナーをわけてやった

気のせいかもしれないけれど、昨日の朝はやけに近寄ってきた
いつもより沢山撫でた気がする
挨拶しにきていたのかな

昼に電話で死んだと聞いた時には本当に信じられなかった

よぼよぼのルルを介護するものだとおもってた

理性的には後悔ないし、
ルルも楽になれたとおもっているけど

感情的にはとても悲しい
勝手に悲しくなる

最初から最後まで人のエゴに振り回された一生だった気がする

けれど、母に抱かれ呼吸をとめたと聞いてから少し安心した

沢山の思い出をありがとう

ルルが居たことを残しておきたかったんで
書いた。
読んで悲しい思いになった人はゴメン!
いつその時が来ても後悔しないような付き合いを皆んなにしてほしい。

#犬 #イタリアングレーハウンド 
#ペット
#ペットロス 

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