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台湾ひとり研究室:映像編「映画《青春18×2 通往有你的旅程》に見る台日交流の深化」

台湾ではホワイトデー封切りの前日、台日合作映画《青春18×2通往有你的旅程》の劇場試写会に参加してきました。邦題は『青春18×2 君へと続く道』として5月3日に劇場公開が予定されている1本です(日本公式サイト)。

台湾では本日(3/14)公開ということで訪台していた藤井道人監督、主演の清原果耶も加わり、ダブル主演で今や韓国でも大人気のシュー・グァンハン(許光漢)、そしてエグゼクティブプロデューサーのチャン・チェン(張震)も揃っての舞台挨拶がありました。ひと言で言って「贅沢」。

「初恋のことを思い出していただける作品になったと思います」

ストーリーは、現代と18年前が交錯しながら、主人公のジミーと旅行客でやってきたアミとの物語を紡いでいきます。不意の出会い、そして抱いた思いが、どんなふうに変化し、人生に影響を及ぼしていたのか——主演ふたりの紹介どおり、遥か遠くの記憶を呼び起こすような、切なくて甘ずっぱい作品でした。

作中には、日本と台湾の間の文化交流の足跡が色濃く感じられます。

90年代台湾でも大人気となり、アニメは今も再放送され、さらに去年の映画もひと際好評を得た「SLAM DUNK」、さらに台湾の方が「お元気ですか」と口にするところまで認知された岩井俊二監督の『Love Letter』といった日本作品が織り込まれていました。

そうそう、物語の途中でジョセフ・チャン(張孝全)が登場すると、会場から小さな笑い声が聞こえました。ふとよぎったのは、これまた台湾で大人気作となったドラマ「深夜食堂」の出演です。そういえば、同作の出演者があちこちに出ていたので、台湾の方たちにとっても親しみやすいのかも。

台湾作品の中での日本作品の描写はよくあることとはいえ、本作は監督にプロデューサー、演者にスタッフまで、台湾と日本ががっつり四つに組んで連携したことが見て取れるスタッフロールで、これまた台湾でも大人気のMr.Childrenのピアノ音響く主題歌「記憶の旅人」をバックに、しみじみと見入ってしまいました。

先日紹介した中国ドラマ《繁花》も描かれたのが90年代でしたが、なんていうか、90年代はある種のメルクマールになっているような気がしました。

さて台湾での主な舞台となるのは、近年、旅行客にも人気上昇中の台南です。劇中、とても印象的なシーンがあったのですが、(これってどこだろう?)と思わせてくれるに十分なもので、素直にこの景色を見てみたくなりました。

台湾では本日公開。台湾版の予告編も素敵なので、紹介しておきます。日本と台湾のエンターテインメントが力を合わせた本作、たくさんの方に届きますように。

勝手口から見た台湾の姿を、さまざまにお届けすべく活動しています。2023〜24年にかけては日本で刊行予定の翻訳作業が中心ですが、24年には同書の関連イベントを開催したいと考えています。応援団、サポーターとしてご協力いただけたらうれしいです。2023.8.15