万引した本を古本屋に売ると著作権の侵害になるのか
ニセモノであることを知って商品を仕入れ、ニセモノを第三者に売ることは知的財産権の侵害.
これは理解できる.
ニセモノと知らないで仕入れた商品を第三者に売る.
この場合はどうか.
知らなかったから仕方がない.
と言いたいところだが、法律は知っていた知らなかったは関係なくニセモノを第三者に売ることは知的財産権の侵害.
本と著作物は似て異なる
本を買うと本の所有権が買った人に移転する.
本を買った人は所有権に基いて、その本をどう処分しようが自由.
本を転売する、本を貸す、本を廃棄する、何れも自由.
ところが本に収容されているコンテンツは著作物.
著作物を保護する著作権は、厄介なことに本の所有権が買った人のところへ移転しても著作権は移転しない.
本を買った人が古本屋に売ると、著作権を持っている著者や出版社が権利の侵害だと主張することができる.
自分が買った本を売ることができないのはおかしい.
知的財産権と所有権が分離していると、このような厄介なことが起こる.
本を買ったら著作権は消える
そこで登場するのが、消尽または用尽という考え方.
この考え方は、本を買った時点で著作権は消えたものとして扱う.
本を買った時点で著作権が消えたのだから、買った本を古本屋に売っても、著作権の侵害だと追求されることはない.
買った本を古本屋に売るのとは違う
ここで注意しておきたいのは、消尽または用尽が適用されるのは、本の所有権が正当に移転した場合.
正当に移転したというのは、お金を払って本を買った、著者や出版社から献本された、などという場合。
万引きして本を入手した、無断で複製した本を入手した、というような場合は、正当に所有権が移転していない.
正当に所有権が移転していないから消尽または用尽は適用されない.
万引きした本や無断で複製した本を古本屋に売った場合は、著者または出版社から著作権の侵害だと追求される.
ニセモノを仕入れて売った場合も侵害
万引きした本や無断で複製した本と同じように、ニセモノの商品を仕入れた場合も、正当に所有権が移転していない.
正当に所有権が移転していないから知的財産権は消尽または用尽することはない.
ニセモノの商品を売ると知的財産権の侵害になる.
ニセモノと知っていれば当然、ニセモノと知らなくても、仕入れたニセモノの商品を売ると知的財産権の侵害になる.
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?