著作権登録の効果

創作と同時に発生する著作権.

権利は発生しても権利の存在を証明するのは簡単ではない.

著作権を使う場合は権利があることを証明しなければならない.

中国の著作権事情

中国で著作権の登録件数が増え続けている.

2021年の著作権の登録件数は6264378件、前年比24.30%の増加.

https://www.ncac.gov.cn/chinacopyright/contents/12228/356060.shtml

商標権や特許権と違い著作権は登録しなくても権利が発生する.

なぜこれほどまでに著作権登録が利用されているのか.

著作権紛争事件の増加

コピー商品が多い中国では著作権を理由に紛争に発展するケースが多いのが特徴.

実際、知的財産権紛争の半分以上が著作権の紛争.

特許権や意匠権よりも著作権が好まれる理由は著作権には無効というリスクがないから.

中国で侵害訴訟を起こす場合、裁判所に権利侵害を説明するための資料を提出する.

著作権侵害の場合は、創作者や創作日などの事実関係を証明する資料を提出する.

証拠の要件が厳しい中国では、紛争の段階でこれらの事実関係を証明する資料を用意するのは簡単ではない.

著作権登記証明書を提出すると、著作権登記証書が初歩証明として採用されるから複雑な立証から解放される(「著作権民事事件の審理に関する法律適用における若干の問題についての最高人民法院の解釈」第7条)。

ソフトウェア開発の増加

開発したソフトウェアの知的財産権の帰属についてトラブルとなるケースが増えている.

ソフトウェアの帰属を規定した開発者側と発注者側との間の契約だけでは足りず、ソフトウェア登録機関に登録するケースが増えている.

特に海外企業が中国企業にソフトウェア開発を発注する場合、当事者間の契約だけではなく、ソフトウェア登録機関に登録しておいた方が安心安全.

著作権登録の効果

日本をはじめ多くの国が加盟するベルヌ条約は登録を権利発生の要件としていない.

それにも関わらず各国は著作権の登録制度を設けている.

著作権の登録制度は、権利以外の別の効果を発生させるために利用されている.

日本で著作権を登録すると以下の効果が得られる.

登録をした者を著作者と推定(著作権法第75条)

登録した日を最初に公表した日と推定(著作権法第76条)

登録した日をプログラムの創作日と推定(著作権法第76条の2)

著作権移転等の登録を第三者対抗要件(著作権法第77条)

中国では著作権登記証明書が訴訟の初歩証明として採用される.

インドでは著作権登録簿に記載された明細が全ての裁判所において採用される(著作権法第48条).

ほとんどの国において、著作権登録の効果は、登録した内容を一応確からしい証拠として扱うというレベルだが、アメリカは著作権登録に対して積極的な効果を与えている.

アメリカでは著作権登録を連邦裁判所での権利行使の要件としている(著作権法第411条(a)).

アメリカでは著作権登録をしないと訴訟を提起することができない.

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