生成AIを許容すれば著作権法は崩壊する

法律で過去の問題を解決することはできるが将来の問題は解決することはできない.

すでに起こった問題が蓄積され、そのような問題が起こらないように法改正をするのだから当然と言えば当然.

ところがまだ起きていない問題に対応する法改正をしてしまったのが平成30年の著作権法改正である.

「著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用」に対して権利行使を制限し、AIの学習・開発段階での著作物の利用を合法化した.

ここで言う「享受」とはコンテンツを見たり聞いたりすることを言う.

つまり目的の如何によって利用行為が制限されたり、制限されたりするという条項が加わったのである.

日本の著作権法は、コンテンツを無断で視聴させない、ことを実現したいところ、無断視聴が行われたかどうかを特定することができないから、無断視聴の前段階である複製等の利用行為を便宜的に制限している.

このため無断視聴に結びつくあらゆる前段階行為を制限したから現在のような複雑怪奇な法律が出来上がっている.

思想又は感情の享受目的を問わずに、思想又は感情の享受に結びつく複製等の行為を便宜的に禁止するという立法技術を採ったのではなかったのか.

今回の法改正は、AI対応のために、著作権法を成り立たせている立法技術を否定するものに思えてならない.

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