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ビヨウキノアサ
ハヤク メガサメテミレバ
ナミノオトガ
シズカニシズカニ
キコエテクル
 七歳(大正十ニ年十月)

「ナミ」は、千鳥が遺した詩文の中でもとりわけ愛好者が多い一編です。
病気で長く寝込んでいた千鳥が目を覚ましたら、遠くから聞こえてくる波の音。夢うつつのリアル。空はまだ暗いままでしょうか、それとも、白々と明けていたのでしょうか。波の音はどこまで続いたのでしょうか。おばあちやんやおかあちゃんはもう起きて朝の支度でしょうか、それとも独りだけ?
‥‥あなたはどう読みますか。余韻・余白がどこまでもいつまでも残ります。
千鳥の郷(さと)、鳥取県鳥取市気高町浜村にある『文芸の小径』には、この詩を刻んだ石碑が建てられています。【千鳥の詩文のすべては HP「田中千鳥の世界」で公開、読むことが出来ます。】


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