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美大・画塾漫画にハズレなし

世の中には「漫画家漫画にハズレなし」という言葉があるそうですが、美大や画塾を元にした漫画も面白いな~と思うことが多いです。そんなわけで読んだ漫画の感想でも。


・ハチミツとクローバー
爽やかで楽しく切ない美大生の恋物語を描き美大受験者を増やした名作漫画ですが、作者の羽海野チカ先生は美大出身者ではないと言うことで一番のファンタジーなのかも。「楽しそう」な美大を描いた恋物語。美大にいそうな変人を「変わった天才」ではなく身近にいる面白い友達のように描ける作家さんというのは非常に特異です。

どんなに才能がある人でも変わっていても突き放さず描く、他者に対する優しい人柄が見て取れます。


・ブルーピリオド
現在アニメ放送中。東京藝術大学に現役合格した漫画家が描く漫画。……ということで現代アーティスト、芸大美大出身・関係者が言及しているのをよく見ます。芸術家が黙っていられないほどの良作・名作。実際の予備校生や芸大生の絵を作例としドキュメンタリーのような手法で真に迫ってきます。


・ジンクホワイト
名作美大予備校漫画。良い雰囲気で訥々と物語が進行していきます。私は美大も画塾にもいったことはありませんが、読んでいるとキャンバスの手ざわりや絵の具の匂いが湧き上がってきます。表現力が非常に高い作品です。

美大予備校でいわゆる「燃え尽き症候群」のような状態に陥りそれが絵を描くことで乗り越えられる……わけじゃ全然無いという描き方もこの作家さん独特の冷静さですごくいいなと思います。私の中で美大漫画というとジンクホワイトが真っ先に思い浮かぶ名作です。


・かくかくしかじか
自由であるとイメージされるアートには産みの苦しみがつきまといます。高等な勉学であるはずの芸術ですが「描かなくても良い」という自由があるので筆を折っても誰も怒りません。厳しくも絵が好きでどうしようもない師匠がいてくれることがどれほどの道しるべになるでしょう。

情熱で彩られた前半が、後半不思議な崩れ方をします。現実でも美談でもなく、「ただ描けばいい」を実行し続ける作者の後悔と贖罪の物語。


・星明かりグラフィクス

美大で輝き続ける熱いキャラクター達。対照的な二人の主人公がお互いを羨み必要とし決断していきます。「大学は仲間を作るところだ」というのが本当であるからこそ……

才能を認め合う仲間同士「けいおん!」が穏やかな百合であるとするならこちらは熱波のような百合です。

美大も画塾も人生の通過点であり、己の力で立っていかなければならいというキャラクターの「これから」を考える優しさと厳しさがあります。


・東京藝術大学受験ものがたり
Twitterで話題になった芸大受験漫画。予備校に定期的に通わず浪人することがこれほどまでにしんどいのか……という重苦しさが伝わります。憧れ尊敬する父親は天才肌であり画塾にはあまり通えないという本人のバックボーンが受験にどう影響するのかというリアル。

作者の方は目標の大学に合格したということで、孤軍奮闘している似たような境遇の方にも救いにもなりますように。

名作揃いです。

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