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流れ着く先は

逆算でものごとを考えるのが苦手だ。仕事は別として。
前職では、毎週締切がくる多種多様な案件を抱えていたので、締切から逆算して「これはいつまで」「締切は後だけど、すき間に突っ込めるから先に仕上げる」とか、締切と作業量を考えてスケジューリングするのが得意だった。完璧なスケジューリングでうまくいくときもあれば、予定した日までにデータが届かず、急遽スケジュールを組み直して対応することもあり。ついでに人のスケジュールも勝手に立てて、自分に来るしわ寄せも計算に入れてた。

逆算で、人生とか目標達成とか考えるのは無理。
仕事はなにをどうすればいいか、必要なパーツはそろっている。それを組み上げていくだけ。
人生は、どんなパーツが必要なのかから考えなくてはならない。そもそもどんな人生にしたいのか、デザインするところからする必要がある。
白紙のノートを渡されて、そこにオリジナルを書き上げる。よくいわれる、ゼロをイチにする作業。うーん、向いてない。
白紙のノートを渡されて、必要なことを書き出して、それをいかに効率的に形にするか考える。イチをニにする作業。こっちは得意。

じゃあ、積み上げタイプかというと、そういうわけでもない。
やってることをひとつずつ積み上げていたら頂上が見えて、なんてことにはならない。ひとつずつ、バラバラな場所に散在させてしまう。無秩序型。ただ、要領が悪いだけ。
そもそも、ひとつのことをコツコツとやるタイプではない。興味が転々としているので知識は広く浅く、そこそこ器用なので「無理かも」と思うことも大抵大体できる。
だから、いろんなことを中途半端にかじって、あちこちに置き去りにしている。まるで迷路のよう。

そして、もっとも”そもそも”なのが、人生においてやりたいことや目標がないのだ。
何者かになりたいわけでもなく、お金持ちになりたいわけでもなく(今より貧乏は困るけど)、フリーランスとして大成したいわけでもなく、有名になりたいわけでもなく。
ほんのちょっとの目標はあるけれど、かなり広範囲に渡り、かなり数が多い。ほんのちょっとというか、かなりピンポイントなもので、たとえるなら剣山のよう。それぞれバラバラにたくさんある、絶壁の数々。頂上に片足でも立てるかどうか。

それを、現在の自分と自分の能力、時間などから賢く取捨選択し、残ったものを見渡せば、意外とつながりを見つけられて、組み合わせて絶壁の角度を緩やかにし、登り始められるのだと思う。
わかっているけど、できない。
まず、考えるのが怖い。
考えた結果、なにひとつ残らなかったらどうしよう。そして、意外とそうなりそうな予感がする。
そして捨てることができない。
ものをため込むタイプ。捨てるのが苦手。もったいなく感じてしまう。あればいつか、もしかしたら、なんて思って捨てられない。
最大の理由は、なまけ者なこと。
考えるのも、捨てるのも、登り始めるのも面倒くさく感じてしまう。

これまでの人生、行き当りばったり。
恐ろしいことにそれでなんとかなってきたものだから、この先もなんとかなるのではと思っている節がある。
なんとかなるかならないかはさておき、少しは自分の意志で進まないといけない気がしてきた。
これまでは持ち家で暮らしてきて、住まいだけは確保できていたけれど、もうないのだからネコともども住むところを追い出されないようにしなくてはならない。これまで以上に生活にお金がかかるのだ。

そして、現在住んでいるシェアハウスはいい環境かつお安いのだが、家主が来年夏前にこの地を去る。去った後もここがあるのか、同じ暮らしができるのか、保証はない。
つまり、ここで暮らせなくなったとしてもネコともども生きていける状態を作り上げる必要がある。
はて、困った。
ここと同じくらいの環境かつお安い住まいなんてあるんだろうか。

ま、ない。
ないなら、どうしたら同じくらいの生活をしていけるのか、考えなくては。考えて、方策を立て、実行に移さなくては。
ああ、苦手な逆算。
面倒だとは言ってられない。私はなまけ者だけど、時間は几帳面できっかり時はやって来る。

こうして私は自分の意志で進むふりをして流される。
周囲の状況で人生は展開していく。
ま、なんとかなればそれでいいのだけど。




ネコ4匹のQOL向上に使用しますので、よろしくお願いしまーす