見出し画像

漫画雑誌のない世界

紙の漫画雑誌のない世界が
いつかは訪れるんだろうなー
という想像をたまにします。
妄想系なんで。

実際、紙の漫画週刊誌が
こんなにあるなんて
日本だけですもんね。(多分)

もうずい分前になりますが、
アメコミのディストリビューターの
ダイヤモンドの方と
本社のあるボルチモアで
お会いする機会があったんですが
(ボルチモアと言えばジョン・ウォーターズ!)
その方が日本の何がスゴいって
あの地下鉄とキオスク、
あれがあるから日本の
漫画は成立してるよね~
と笑ってました。

※最近のアメコミ流通の話とか
これ面白かったです。2年ほど前の記事ですが。
https://kingink.biz/archives/18223

アメリカとか多分中国も
そうだと思いますが、
国土の広い国であれだけの量の漫画雑誌を
週刊で配送するというのは
恐らく物理的にかなり難しいと
思うんですよね。
アメリカ大陸横断して引越しすると
車で数日かかるそーですから。

もちろん、人と話した上での
何となくの感想レベルなんで
もっと色々と理由はあるとは思いますが、
webtoonやデジタルコミックを考える上では、
雑誌のない世界を思い描いてみる、
という事は漫画編集にも必要かなと。

私は結構早くから考えてました。
別に先取りしてたわけじゃなくて
雑誌の編集部に所属しないと
漫画作りが困難だった時代に
長く生きていたので、
単純に雑誌ナシでやっていく方法、
何と言うかチートなやり方を
いっつも探しただけなんですが、
気がつけば結果としてそんな世界に
なりつつある訳です。

まあでも間違いなく今でも、
雑誌は強力なんで、小さくてもいいので
ウェブ雑誌くらい持ちたいですけどね。

私は出がマイナーなのもあり、
早くから雑誌に依存しない
(雑誌を立ち上げるのは大変なんすよ)
1作品ごとに成り立つデジタルの世界に
可能性を感じていたので、
先行者利益の上に成り立っている
(としか思えなかった)雑誌の世界が
早くなくなっちまえばいいのにな~位に
思っていました。(今度はアプリが覇権を
握っちゃえば同じなんですが…)

(話は飛びますが、
私が前職時代に作ってぼちぼち続けている
MANGACOMPLEXというサイトは
ジャンルを規定しないマンガ配信の
場所(雑誌等より場所)として考えてました。
映画館て色んな映画がかかっているじゃないですが。
いわゆるシネコン。あのイメージです。
エロも、BLも、バイオレンスも
OKで。アプリだとこういかないので)

今は会社とは言え、
ほぼフリー編集者に近い状態で
生き永らえているわけですが、
デジタルの世界が進んでなかったら、
この生活も多分成り立っていないです。

で、雑誌のない世界をそうぞうすると、
これから先考えなくちゃ
ならないのはやっぱりスマホなんですよね、
当たり前ですが。

じゃあWEBTOONかというと
今のところはそこまではこだわってません。
もちろん、作りかとか、
ビジネス面とか横目で見てますが。

今は縦でも横でも
読めればいい位な感じ。

なぜかと言うと
まだWEBTOON市場より漫画の市場の方がデカいし、
横を捨てちゃうより、
今んとこまだ横も縦も両方でいいなーと
思っています。

制作費を聞いてビビってるのも
あります。

もちろん横縦を変換するのに
無理があるのは承知なんですが、
横を全部捨ててまで縦には
まだまだいけないかなーと。
両方触っておきたい。

何と言っても漫画力は
ウェブトゥーンに行っても
絶対有効だと個人的には
思ってますので。

今のWEBTOONの成功は、
良くも悪くも
横のマンガを失った世界だからこそ
成功をしているんだという気が
まだするんですよね。

それともう一つ、
私は世界展開みたいなものには
どうしてもまだ懐疑的なんですよ。

良くてアジア圏くらいで。
中国で成功すればいいじゃん、
人口も多いし。くらいでしょうか。
欧米に比べれば、アジアは日本のマンガが
ベースにあるし、市場としてもでかいし。

今はどこまで成長したのかは
分かりませんが、
あれだけもてはやされた
クールジャパンも
はっきり言って言葉が流行した当時は
ニッチもニッチ、どニッチだったんですから。
(これはわたしの個人的意見じゃなくて、
アメリカで30年以上メディア関係の
仕事をしている方の話ですハイ。)

マスコミというのは
フレームアップとはいかないまでも
どうしても「ニュース化」して報道するんで
過剰になりがちですからね。
国の産業的な思惑もあっただろうし。
(ホント日本て文化的な育成がヘタというか…)

10年チョイ前の話ですが
私もお仕事でアメリカへ行って
書店をけっこう回りましたが、
日本のマンガコーナーなんて
比較的大きな書店でも
(アメリカのチェーン店の書店は
どこも結構でかい広い)
ホント全体から見ればちょびっと。
ひと棚、ふた棚、よくて三棚?
という感じでした。
(フランスとかドイツの方が
作品のバリエーションの面でも
まだ充実していた)

まだデジタルコミックも普及し始め、
ガラケーの頃の話なんで、
もう忘れてもいい話かも
しれないですが、
少なくともともアメリカには
それほど漫画は根付いていないな
というのが当時の正直な印象でした。
今は違うのかな?

で、何が言いたいかと言うと、
この先の雑誌のない世界を想像しつつ、
今を勝ち残るのが重要かなと。

多分、私がギリギリ
まだ仕事をしているであろう
10年以内には(それくらでやめたい…)、
全てがwebtoonという世界は
まず来ない(と思う)。

この世界は水商売で、
一発で世界がひっくり返るので
何とも言えないのですが、
漫画の世界に紐づいてしまっている
私としては、どうしても漫画の延長線上として
WEBTOON(広い意味でのタテコミ。
ちなみにこの「タテコミ」もパピレスが
商標登録してますね)を考えざるを得ないし、
むしろ、漫画での経験と実績が
こちらのアドバンテージ(同時に弱点)なので、
そこから攻めて行くしかないというか
それをアドバンテージ化するしか
ないかなと。

(そういう意味では
漫画の制作者の経験値の少ない皆さんの
しがらみのなさが、アドバンテージであると同時に
弱点になる可能性があるのは一緒だと思ってます)

大事なのは紙の雑誌がお亡くなりなった世界を
頭の隅にイメージしつつ、
今の仕事もしっかりやるという感じでしょうか。
だってそっちがまだ今は
メインなんだもんね。私はですが。

WEBTOONは間違いなく伸びるし、
中国や韓国でも売れれば(あえて
欧米とは言わない)、
大成功だと思うのですが、
でも思ったより
ウェブトゥーン儲かんねーぞ?
となる可能性も頭の隅から
離れなくはないので…。

個人的には巷で言われている
スタジオ方式よりは
もう少しミニマムな形で
WEBTOONを展開する方法を
考えたいかなーと。

でも時間がないねー、
人生の…。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?