見出し画像

タテ読みとヨコ読み


タテ読みとヨコ読みについてツラツラと考えてみました。
まとまり皆無なのはお許しを。

Webtoonの特徴として、
タテ読みというのがある訳ですが
制作にあたって、
そんなにヨコ読みと違うか?
ということをしばしば考えるわけなんですよ。

長年ヨコのマンガを編集してきた身としては
そんなに差がある?という気がしています。

今お仕事として、マンガを縦スクロールに
切ったものの校正の仕事なんかも
地味にやっているのですが、
面白いマンガはタテでも面白い。

ようは頭の切り替えなんじゃないかと。

ヨコヨコ言いますが、
マンガの中には当然タテで読ませる
コマの流れもある訳ですよ。

見開きとか、ページめくりの引きとか、
それはタテにないというだけで
マンガの中にはWebtoonに必要な
要素は全て詰まっていて、
必要なのは頭の切り替えかなーと
思っています。

漫画家さんによっては
ネームを切る時に最初はアニメの
絵コンテように切ってる方もいるわけですしね。

上に書いた縦スクロールの校正というのは
ザクっと説明すると、
「版面のマンガと縦に切り出したものを
ちゃんとストーリー通りに
なっているかなどを比較してチェックする」
というのが主な仕事なんですが、
これをやっていると
作品にももちろんよりますが、
作品の根っこにある面白さまでが
変わる訳ではないというのが
よくわかります。

もちろんタテ用に描かれていないので、
見開きが死んじゃうとか、大きいコマが
逆に小さくなってしうとか、
勿体ないなーというところ、
いっぱいあるんですが、ベースにある
お話の面白さはそこまでゆらがないと
思います。

個人的にはタテとヨコの違いが強調されて
いる理由は、マンガとの制作面での違い
というより、世界を見据えた上での
将来的なマーケットの違いという
ことの方が大きいのかな、と思ったりします。
(億単位の投資が起きてるところを見ると
マーケットは世界ってしないと帳尻合わないのかなーとか…。)
後はヨコのマンガ編集の経験値の問題も
あるかと。

マンガの特徴みたいな話になった時に
ヨコ読み、コマ割り、視線誘導みたいな
話によくなると思うんですが、
ぶっちゃけ言ってしまうと、
話が面白くなければどんなにコマ割りとか
視線誘導とか言っても、何も関係ありません。
そこにはタテもヨコもないっす。

あと、僕個人のネームの見方としては、
優先順位の一番は
話の面白さ、絵の上手さ(これは単に
美味いというのではなく、チャーミングさだったり
作品にあっていたりとか)、そこをクリアして
初めて、構成とかコマ割りとかの
ポイントを見ていくという感じでしょうか。

引きとか視線誘導とかももちろん
重要ではあるんですが、
そこって実はかなり直せるというか、
技術の問題なので上達する
余地が大きいと思っています。
単純な絵の上手さもそうですね。

でも話の作り方だったり(もちろんこれにも
コツはありますが)、絵のテイストだったりの
個人の好みが大きく入ってくるところ、
センスという奴はいかんともし難いところがあります。

でもこの目にも見えない
言葉にもできないセンスの部分が
最も重要なポイントではないかと
思っています、これ言っちゃうと
身もふたもないですけど。

でも村上春樹先生も
翻訳についての本の中で
似たようなことを言ってましたよ。
最後はセンスみたいなこと。
(でお前は?と言われれば何とも言い返しようが
ないのですが…)

あと重要なのは1つのコマに描かれてる絵の
的確さ、ちゃんと言いたいことが
読み取れる絵になっているか、
といったことが、
あくまで編集者としての視点ですが
かなり重要だと思います。

どういう絵を切り取るか。

この切り取るというのもセンスです。

いい悪いの優劣はつけ難い
好き嫌いが出る部分ではありますが、
人によってすごく違いが
出ると思います。
(悪いと思う場合はもちろん編集として
カメラワークや構成の相談をします。
センスがないね、ですますことは
ありません、ハイ。

話はずれますが、
持ち込の方へのアドバイスとしては
抽象的な言葉でしかアドバイスを
くれない編集者はアドバイザーとしては
あんまり使えないので次へ行きましょう。
(面白マンガを作る能力とはまたちょっと違う)

ちょっと前に聞いたダメなアドバイス例としては
「エンタメ性がないね」。
言われた方は、なんだそのエンタメ性って?
と思ったそうですが、
「じゃあエンタメ性を出すためにはどうすればいいのか」
「どう考えるとエンタメ性が出るのか」
「そもそもエンタメ性とは何ぞや」
というところまで踏み込んだアドバイスを
くれるような方を探すことをお勧めします。

できれば違ったタイプの3人の編集さんに
見ていただくとより良いかと。
スティーブン・キングでさえ
「書くことについて」の中で
色んな人に読んで意見言ってもらうと
書いています。そのアドバイスへの対応も。
これすごく参考になりますよ。

話がだいぶずれました。

あとですね、Webtoonはタテ読みなので
視線は基本タテの動きなわけですが、
「流れに合った最適な絵を切り取る」
というところはマンガと変わらないと
と感じてます。

決めのシーンという奴ですね。

指先一本、視線の揺らぎ、そういう細部まで
神経が行き渡った絵は見ればやっぱり
「ほー」っという気になるもんです。

そういったことなんかを諸々考えると
今活躍している漫画家さんの
多くは、明日すべてがWebtoonに
なったとしても、
恐らく対応できるだろうし、
経験のある編集者も同じなんじゃないかなーと。

一流と言われる漫画家さんが
Webtoonに参入する日がくれば
景色はがらりと変わるのでは
ないかと思うのですがどうでしょうか。

とにもかくにも一番重要なのは、
「頭を切り替えること」、
のような気がします。

頭を切り替えると
面白い事いっぱい見えてくると
思いま~す。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?