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上品と下品を合わせてプラマイゼロにした上で純粋な恋愛をさせてみた

妻「ね、あなた、子供の頃のおもちゃって今考えると可愛いと思いませんか?なんだかふと思い出しちゃったの」

男「そうだな、まぁ俺は大人のおもちゃの方が好きだけど!ナンチャッテ!」

妻「古臭いようだけど、例えば私は昔シャボン玉なんかでよく遊んだものよ」

男「シャボン玉か〜!俺はよくテイスティングしてたわ。グルシャン的な」

妻「シャボン液って洗濯糊だとか洗剤だとかに、水とお砂糖を混ぜて作るの。案外じょうずに作れなくってね、ジャバジャバ洗剤を使ったもんだからあわあわのぬるぬるになっちゃって!ふふ、よく怒られてたわ」

男「ぬるぬるになった幼女!?俺がその場にいたら絶対怒らないんだが!洗剤なんてどんどん使いなさいっつって。警察には怒られそうだが(笑)シャボン玉からの豚箱RTA開始だが(笑)」

妻「最近だとあまり遊んでる子供を見かけなくなってしまって、なんだか少しだけ寂しい気もしますね……おはじきなんかももう大昔の遊び道具なんでしょうね」

男「ウ〜ン、どうせはじくなら俺はキミのオマメチャン!をはじきたいけどね」

妻「マ、かくいう私も母にもらっただけであまり遊んだことはないの。でも色とりどりのおはじきを集めてね、窓際なんかに並べておくの。そうすると光を反射してね、キラキラと目が楽しいのよ」

男「……ハァハァ……俺の息子先っちょピンクで可愛すぎるやろ……なんやねんこのかわゆい亀ちゃんは……あ、ごめんシコってて聞いてなかった」

妻「アナタさっきから気持ち悪いのよ!!!!」

男「エッご褒美キタ!いや待って俺の嫁なんで怒ってるんや。ホルモンバランスの急激な変化か?」

妻「馬鹿になさらないで!アナタ誰なのよ……!夫の友人だとかおっしゃっていましたけど、嘘ね……!さぁ正体を現してくださいまし!」

男「バレたんやったらしゃあないな」
ブゥン‼︎(背中から羽が生える音)

妻「!?」

男「奥さん、この姿では初めまして。僕は去年殺された蠅です。見た目はこの通り、羽が生えて、そして顔の部分だけ露出した黒い全身スーツを着ているだけのように見えるでしょう。蠅から転生した者は大体みなさんこんな感じになります」

妻「ただただ気色が悪い!」

男「奥さん、そう仰らないでください。僕は奥さんに一目惚れして人間の姿を手に入れたのです。しかしその代償として、羽を隠した完全な人間の姿をしている時は人格が破綻してしまうというだけなんです」

妻「そこそこ致命的な欠点ね……でもたしかに、今のアナタの見てくれは羽を生やした虫歯菌……いえ、ただの不審者ですが、話し方や語彙は穏やかで先程までのキショさはまるでありませんわね……」

男「分かっていただけましたか!さすがは奥さんだ、その理解の早さ、聡明さに惚れなおしてしまいそうです。その、奥さん、僕ともう少しだけでもお話ししていただけませんか……?」

妻「ふふ、ふふふふ……!」

男「な、なぜ笑うんです!」

妻「聡明ですって……これを見ても同じことが言えるかしら!」
ブリュリュリュ‼︎(毛穴からうんこが噴き出る音)

男「!?」

妻「これがワイの本性や!ワイの前前前世はうんこや!今の旦那と結婚するために転生したんや!ワイは誰のうんこかも分からんその辺の名もなきうんこ!吾輩はうんこである、名前はまだ無い。な〜んつって(笑)言うてる場合か!誰が夏目漱石のうんこやねん!」

男「な、なんてことだ……奥さんも転生者だったなんて……!しかも下品だ……!あぁ、僕はどうしたらいいんだ」

妻「ほらな、誰もこんなうんこなんて愛されへんねん。よう分かったやろ、さっさと帰れ!まぁでも自分、ワイより見た目がマシやんか、ゆるきゃらグランプリで一次予選敗退ぐらいならできそうや!こんな元うんこに構ってたらアカンで……」

男「…………奥さん、僕の前世が何だったかもうお忘れですか?」

妻「は?」

男「耳の穴にうんこが詰まっていらっしゃるようなので、もう一度申し上げます!僕の前世は蠅です!今この姿は半分蠅なんです!これがどういうことかお分かりか!」

妻「……まさか!」

男「そう、蠅はうんこにたかるもの!奥さんがどんな姿をしていようと、僕はアナタが好きなんです!それにうんこと蠅、これ以上ないほど相性がいいじゃありませんか?少なくとも僕はそう思います」

妻「でもワイは最初のアンタみたいに人格破綻してんねんで!口を開けば二言目にはうんこうんこ言うてんねん!見てみい!毛穴からうんこ沸き出てきてんねんで!最悪やろこんなん」

男「それぐらいなんだっていうんです!蠅的にはウェルカムドリンクと同じですよ!」

妻「っでもやな!」

男「それに僕は人間の姿をしている時にインターネットに浸り切ってるので、クソのような汚い言葉には慣れています!」

妻「ネットをなんやと思てんねん」

男「ともかく、えぇと、僕が言いたいのは……!」

妻「…………披露宴は肥溜めでええな?」

男「奥さん……!はい!これから2人で色々遊びましょうね。そう、思い出のシャボン玉で!」

こうして2人は結ばれた。にしても一番可哀想なのは知らぬ間にうんこと結婚して蠅に寝取られた旦那である。
旦那に、幸あれ。


Fin

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