プラレスラーを1/4スケールで作るのは、なぜ難しいのか?(前編)


1章 自己紹介

始めまして、大日本技研の田中と申します。
原型師、分かりやすく言えば、模型の元型を作る仕事をしています。
アニメ、マンガ、ゲームに登場する架空銃のモデルガンを作るのが主な仕事なのですが、
大日本技研HP
ホビーロボットにも手を出しています。

2章 プラレスラーって?

タイトルにある「プラレスラー」とは、1982~85年に週刊少年チャンピオンに掲載されたマンガ「プラレス3四郎」(原作:牛次郎 作画:神矢みのる)に登場する、ロボットを組み込んだプラモデルの人形のこと。これを操作してプロレスを闘うので、プラモ+プロレスで「プラレス」。なお、3四郎は主人公の名前です。

さて、マンガを夢中で読んでいた少年達がやがて中年達となり、「今の技術を使えば、プラレスが実現できるのでは!?」とプラレスラーを作り、ホントに開催しちゃったのが、劇中でも開催された「日本プラレス選手権大会」。

大会のレギュレーションは1/4スケールとなっています。*原作では1/6
これは使用するサーボモーターのサイズから逆算したスケールなので、仕方ないとはいえ、模型的には非常に難しい。
「え?単純に寸法を1.5倍すればいいだけでは?」と思われがちですが、そこに落とし穴があるんですよ。

なぜ難しいのか、本稿ではこれを解説していきます。

3章 「日本プラレス選手権大会」開催までのバックグラウンド

「プラレスが実現できるのでは!?」と思いついても、いきなり実現できるものではありません。
ここに至るまで、ROBO-ONE、関東ロボット練習会、「わんだほー ろぼっと か~にばる」の開催、の流れがあり、、、
まずはこれらを駆け足で説明しましょう。

00年代初頭、ラジコン部品を流用した個人製作の2足歩行ロボットが現れ始めました。彼らを集めて、格闘競技大会を行おう!と呼びかけて実現したのがROBO-ONEです。
初期は様々な駆動方式がありましたが、ラジコンサーボを関節に使う
手段が発明され、草の根のロボットマニア達が大勢生まれていきました。

ROBO-ONE

一人で機体の設計製造とプログラミングまで行う彼らですが、一人で2体の操作できませんから、格闘の練習にはどうしても相手が必要です。
そこで、ROBO-ONE参加者が月イチで集まって、スパーリングと技術的な相談を行う練習会を開こうという流れで、関東地区では関東ロボット練習会が組織されました。

関東ロボット練習会

ROBO-ONEも、初期は歩けて転倒しなければ勝てるという牧歌的な大会から、回を重ねるにつれて、いかにダウンを奪うかという、より格闘技的な大会へと変化していきます。
この流れに対し、もっと「ロボットを楽しむ」ことを主眼として、練習会の主催者、石川氏の提唱で開催されたアットホームなロボット競技会が「わんだほ~ ろぼっと かーにばる」。いかに早く走れるかや、重い物を運べるかを競うという、運動会に近いイベントです。

わんだほ~ ろぼっと かーにばる

石川氏がROBO-ONEのゲストとして参加されていた神矢先生と知己を得たことと、わんだほ~の開催ノウハウを駆使して企画されたのが「日本プラレス選手権大会」。
勝手に名乗っているのではなく、キチンと原作者、出版社のライセンサー許諾を得ての開催です。

日本プラレス選手権大会

関東ロボット練習会も回を重ね、マンネリ化を防ぐために色々と企画が開催されることもあり、自分が伝えたいことを講義形式で発表するといった回もありました。
本稿は、そのための準備稿を元に構成してあります。

4章 スケールモデル

プラレス=プラモデル+プロレスなので、まず、プラモデルについて、
から始めましょう。

模型店、大型家電量販店のおもちゃコーナーに行くと、多種多様なプラモが売っています。
戦車、戦艦、飛行機、クルマ、バイク、フィギュア、、、、等々。

では、これを2種類に分類してみます。

A群 戦車、戦艦、飛行機、クルマ、バイク
B群 フィギュア

え?ガンプラが入ってないって?
それは後で触れますから…
さて、A群は「スケールモデル」と呼ばれます。
実際にある機種を、何分の1かに縮小したものですね。
人気のある機種は、縮尺違いで何種類も販売されています。

例として「戦艦大和」を挙げましょうか。
大和のプラモは、小はウォーターラインシリーズの1/700から、大は1/200まで、各社から様々なサイズで発売されてきました。

仮に、(実物はもうないので)1/200を3Dスキャナでスキャンして、1/700に縮小してから最新型の3Dプリンターで出力すれば、超絶ディテールの1/700の大和ができる…はずなのですが、知的所有権の問題もありますけど、実はコレ、模型的に「筋が悪い」のですよ。

46センチ砲は1/700にしても、砲身の直径は(厚みが足されるので)1ミリ弱になりますから、なんとか形になりますけど、手すりとかは、もうマイクロメートル単位の太さになってしまいます。大和には舷側や各砲に手すりが付いていますから、これをキチンと配置すると、なんかこう、ごちゃごちゃしすぎて、美しくない。

逆に、ウォーターラインシリーズの大和を1/200に拡大すれば?今度はのっぺりしすぎのモデルが出来上がるでしょう。
昔、ペプシのおまけに彩色済みのガンダムフィギュアが付いてましたけど、
これをディテールそのまま1/60とかに拡大すれば~、かなり残念なモデルが出来上がるのと同じ。

*この作り込むディテールの量を、「情報量」と本稿では定義しておきます。イラストや設定画などの2Dでの書き込み具合も、この用語を流用することにします。

まあ、プラモ化するには、金型から抜けるように作る制約とか、ディテールを増やす→パーツ割りしすぎるとコストが上がっちゃう!、とかが先に来るのですが、まず実物の大和があり、「これを縮尺率に応じて」いい感じに情報量を減らして、立体化するのがポイント。何を残して、何を省くか、これが腕の見せ所です。情報量は多すぎても、少なすぎてもダメなんですな。

似顔絵は、写真のように写実的に描くのではなく、その人の特徴をやや誇張し、その他の部分はサラッと流すのが「上手い」似顔絵なんですけど、それと同じ理屈。

4章のまとめ 模型にはサイズごとに、適切な情報量がある。スケールモデルは、「元」(実機)に対して、情報量を減らすタイプの模型。

5章 フィギュア

次にB群のフィギュアについて。

例えば、アニメのお気に入りのキャラ、マイナーすぎてフィギュアが発売されてない? じゃあ、自分で作ってみよう!となったとします。

芯にするアルミ線、肉付け用の紙粘土を買ってきて、設定画も用意して、いざ製作開始…しても、設定画だけでは、「絶対に」作ることはできません。
何故かというと、設定画の情報量は、必要量の20%以下しかないからです。

これは、2Dアニメは輪郭線と稜線で作画するので、緩やかな曲面は描画できないことが大きな原因です。

じゃあどうやって不足分を足すかというと、アニメキャラは人を模しているのだから、人体構造を元にして情報量を補う、という手法をとります。

分かりやすい例を挙げると、眼窩部(目の周りのくぼんだところ)。この部分は、額から眉毛のあたりで少しふくらんでから、目の部分で落ち込みますけど、耳のようなハッキリとした輪郭線はなく、また緩やかに面が繋がっているので、稜線も描けません。だから、設定画を「そのまま」解釈して作ると、目の部分が凹まない魚のような顔になります。
でも、人の顔はそうはなっていないので、描かれていない「目の周りはくぼんでいる」という情報量を付け足してやる必要があります。

同じ顔の3Dデータを、CADのペンモードとレンダリングモードで描き出してみると分かりやすいんですけど、ペンモードでは多くの情報量が削ぎ落とされています。

この例はリアル寄りなので、小鼻も描画してありますが、設定画では鼻が「く」としか描いてない場合もあって、いや、コレをどうしろと?となる場合も多々あります。

描いてあっても、まったく情報量が足りてないヶ所もあります。上腕(肩と肘の間の部分)は、設定画ではサラッと2本線で描いてあります。しかし、人体のこの部分は円筒ではなく、上腕骨を芯に、上腕二頭筋、〃三頭筋が付いているので、断面は潰れた三角形に近くなり、二頭筋の中央はやや膨らんだ形(力こぶですな)になります。女性キャラではその上にぶ厚めの脂肪層が乗ってさらに緩い形になり~とか。

表からは見えない部分にも、気をつける必要があります。肩関節は、胸郭に直接ではなく、鎖骨を介して繋がっています。だから、ヒトは鎖骨内側を軸に、肩の位置を前後左右に動かすことが可能です。大抵のガンプラでは、胸部ブロックに肩関節が直接固定されていますから、肩を上げたりすぼめたりができないのはこれが原因。腕を大きく動かすポーズのフィギュアを作る時は、ここに留意しないと、おかしなことになります。

こんな感じで、全身各所で骨と筋肉の繋がりを考えつつ、その上に脂肪が乗っていることを意識しながら造形、つまりは情報量を足していきます。
なので、フィギュアの原型師は医者やアスリートじゃないのに、やたらと骨格や筋肉に詳しくなります(笑)

もう一つ例を上げると、私の本業である架空銃器模型も、情報量を増やすタイプの模型です。

銃器類の設定画はキャラのおまけ扱いなので、アニメ誌に掲載されても2~3センチぐらいの大きさです。
これを原寸大になるまで拡大すると、スカスカな図面になります。精密に見えた設定画が、なんともはやな絵に様変わりしますよ。そもそも、線を増やすと作画の手間が増えるので、線を減らすように!とデザイナーに圧がかかるそうですし。

そのスカスカな図面に、どうやって情報量を増やすか?
銃は工業製品ですから、素材や工法による形状的な制約を受けますし、運用上の要請による構造上の制約もあります。
これを再現することで、情報量を増やします。

運用上の要請による構造上の制約、もう少し噛み砕いて、例を挙げると、軍用銃は工具を使わなくても、分解できる作りになっています。
何故かというと、火薬の燃焼ガスはサビを誘発する作用があり、発砲してほっておくと内部(特にバレル)が錆びちゃうので、できるだけ早く分解して、クリーニングする必要があるから。
オートのハンドガンは、ラッチを押す/レバーを回すと、スライドとバレルが前に抜き出せる設計になってますし、アサルトライフルはピンを抜くと、レシーバーが上下に割れて、バレルが抜き出せるようになってます。iPhoneのように、使用者が分解できないような作りは不可なんですな。

だから、アサルトライフルは、レシーバーが割れるように分割線を入れますし、オートのハンドガンも、スライドが前に抜けるように形状を調整します。

素材や工法による形状的な制約、これはマガジンを挙げると分かりやすいでしょう。
マガジンは一般的に、鋼板をプレス加工して作ります。プレス加工の曲げ部分には、必ずRが付きますし、壁の部分は、直角にすると型から抜けなくなるのと、厚みが薄くなりすぎるので、角度を付けて斜めにします。

初めて作ったガレージキットガン、アップルシードの「ゴング」がその例で、マガジンの側面に弾丸をスムーズに送るための溝が入ってるんですけど、設定画では2本線で描かれてます。これを直角の溝と解釈すると、プレス加工で作ってあることと矛盾しますから、逆ハの字型の溝とし、角にRを付けます。

INTRON DEPOT1 (士郎正宗/青心社刊)P142より
©Shirow masamune/Seishinsha


直線ならまだしも、ゆるい曲線にRを付ける加工は手間がかかるのですが、その分を補うぐらいのリアル度が上がります。
設定画では省いてある底板と、それをはめ込むための折返し、鋼板の重ね合わせ部分に板材の端、も追加。元にしたと思しき、NATOマグに準じてディテールを追加しています。

設定に詳しく書かれてなくても、各種銃器の構造はほぼ完成されているので、デザインを見れば、各部品の工法は類推できます。例えば、軍の正式小銃は、量産する必要&コストを下げるため、プレス成型、射出・圧縮成型が多用されますし、主人公専用のワンオフモデルは、コストのかかる金型を使うわけにもいきませんから、削り出し加工が主体となります。

つまり、使われる工法の特性を理解して、情報力を足していくと。
このデザインで銃を作れ!と指示された銃器工場の設計者が、工場にある加工機械を使う前提で、コストを加味しながら設計していく工程をなぞっていくんですな。

大学時代、面白そうだからという理由で、他学科の加工学(切削、成型、塑性、接合、特殊)を全種取ったんですけど、まさか後になって役に立つとは思いませんでしたよ。

5章のまとめ フィギュアは、「元」(設定画)に対して、情報量を増やすタイプの模型

6章 ガンプラ

では、ガンプラというか、アニメのロボットはどちらに分類されるのでしょう?

機械モノだし、1/144や1/100とスケール表記してあるからA群。
フィギュアと同じで、設定画を元に作るからB群。
…どちらも正解な気がします。

「スケールモデルは、「元」(実物)に対して、情報量を減らすタイプの模型」ですから、実物が存在しないアニメのロボットは、スケールモデルには分類できません。
設定全長のロボットが存在すると仮定して、それを縮小して~という考え方もありますが、話がややこしくなるので、本稿では「分類できない」としておきます。

じゃあ、フィギュアに分類かというと、、、設定画を「元」にする点は要件を満たしているものの、異なる点があります。
それは、情報量の扱い。

5章で説明したように、アニメキャラの設定画はかなり情報量を減らしています。
でも、アニメ内で不都合なく動いているのは、キャラクタデザイナー、現動画を担当するアニメーターの間で、人体デッサンの知識が共有されているので、キャラ設定の段階で情報量を減らしても、作画段階で情報量を足すことができるから。

ロボットのデザインは、メカデザイナーの頭の中だけにあり、この知識の共有ってのができません。
例えば、ロボットはどの部位で曲がるのかがハッキリ分かるように、各部のつなぎ目が描いてありますし、鼻は「く」のような曖昧な描写ではなく、鼻筋をキチンと線画します。

つまり、誰が担当しても独自の解釈の余地がないデザインにする必要があり、また、作画する際には「描かれてないものは付け足さない」が基本になります。
こうしておかないと、担当するアニメーターによって、パートごとに解釈が違ってしまい、動きが繋がらなかったり、シーンの途中で、突然形が変わったりしますし。

立体化に際しては、元が「解釈の余地がないデザイン・描かれてないものは付け足さない」ですから、フィギュアのように情報量を足す必要がなく、設定画そのままで作れば良い。これは、設定画を、寸法や形状を一切変更してはならない「原寸大設計図」として扱うことになります。

元(設定画)の情報量=ロボットプラモの情報量
ですね。

さて、「模型にはサイズごとに、適切な情報量がある」(4章まとめ)ですから、「情報量が定まれば、立体化する際の適切なサイズが決まる」と言い換えられます。
設定画=原寸大設計図なので、立体化する際の適切なサイズは、「設定画の大きさ」になります。

アイデアスケッチをどのぐらいのサイズで描くかは、デザイナーによってまちまちでしょうけど、設定画はクリンナップして、最終的にB5~A4サイズにまとめられます。この大きさが原寸になり、上下の余白を考慮すると、全長が20センチ内外と、1/100ガンダムがちょうどいい感じに収まります。

妙にできたサイズの合致ですが、これは、同じ手を使うのですから、描くのも組み立てるのも同じぐらいの大きさがやりやすいのでしょう。B6では描くのも作るのにも小さすぎますし、A2、A3とかだと大きすぎです。

傍証として、机の大きさによって製作物の限界が定まるってのがあります。一般の机は、B5~A3の紙やノートが丁度良く収まる大きさに作られています。だから、これに収まる大きさの、全長20センチ内外が作りやすい大きさになります。
技研では、B5に収まるハンドガンだけでなく、全長数十センチのサブマシンガンやアサルトライフル、メータークラスのスナイパーライフルなんかも作りますから、普通の事務机サイズでは収まらないので、長机を使ってます。

さて、6章の問いの答えは、どちらでもないC群、となります。

A群:元(戦車、戦艦、飛行機、等の実機)の情報量>スケールモデルの情報量
B群:元(設定画)の情報量<フィギュアの情報量
C群:元(設定画)の情報量=ロボットプラモの情報量

6章のまとめ ロボット(のプラモデル)は、設定画に描かれた大きさを原寸(大設計図)とする

6章補足

自動車教習所で、座学段階では「制限速度は絶対に守ること。1キロでもオーバーすれば道交法違反!」と教えられます。
が、路上教習に進むと、制限速度を守れとは言われず、「クルマの流れに乗りなさい」と教え方が変わります。
路上では、大抵のクルマは、パトカーに止められない制限速度+10キロほどで走行していますから、ギチギチに制限速度を守っていると、逆に危ない&周りの迷惑になりますし。

アニメの作画でも、ロボットの設定画をそのまま動かすというのは「原理原則」、制限速度厳守のようなもので、実際の運用では、原則を曲げざるを得ません。
ガンダムを設定画のままアニメで動かそうとすると、コアファイターが収まっているから腰はひねれませんし、膝は90度以上曲がりません。
なので、動かないことを分かった上で、腰をひねり、深く膝を曲げると。まあ、いわゆる「お約束」ですね。

模型の場合でも、設定画そのまま作るのは、かなり厳しい縛りになりますから、「味付け」が必要な箇所が出てきます。
しかし、まったくかけ離れた形にする訳にもいきませんから、方針・考え方が必要です。
これは「ガンダム センチネル」(大日本絵画刊)に書いてあった考え方ですけど、アニメの設定画はロング時(カメラ位置が遠いので、本体が画面に小さく写る状態)の「ここまで省略・省いてもOK」の荒い描画であり、カメラを寄せてみると、もっと細かいディテール・情報量がある、というのがあります。

だから、膝は一重に見えるけど、これは省いた描写で、本当は二重関節なので、90度以上曲がる二重関節ブロックを追加すると。先に例に上げた、ペプシのガンダムフィギュアの逆バージョンです。
あまりにもディテールがあっさりしすぎているので、襟の内部にゴチャメカを配置したり、パネルラインや点検ハッチを追加する行為は、省かれていた情報量を復元するという位置づけになります。

まあ、どのケースでもやり過ぎは厳禁で、ラインを超えちゃうと、「前のクルマ、左に寄せて止まりなさい」と言われるし、「リテイク」と書かれた現動画が戻ってきますし、「こことここは原型を要修正」とメモが届きます。

7章 プラレスラーを1/4スケールで作るのは難しい

やっと本論に入ります。

じゃあ、プラレスラーの場合は?
アシスタント作画用にキャラ表(設定画)があるはずですが、入手できないので、週刊少年チャンピオンに載った大きさを元としましょう。(生原稿はこれより大きいのですが、縮小掲載されるのを前提として、作画されているはずなので)
週刊マンガ誌はB5サイズだから、最も大きく描かれる扉絵とかは、25センチよりちょっと小さいぐらいになります。
市販された柔王丸のフィギュアが、全長12センチで1/12スケールなので、1/6スケールでは24センチになりますから、全身図をそのまま作ると丁度1/6スケールに。

これを1/4スケールに拡大すると、全高36センチ。
1/6スケールなら、設定とほぼ同寸なので、設定画に描かれた大きさを原寸(大設計図)とする(6章)で良いのですが、1/4スケールとなると、縮尺ごとに最適な情報量がある(4章)から、フィギュアのように情報量を増やさなければならない(5章)。

プラレスラーの場合、描かれてない細部デザインは神矢先生の頭の中だけにあるので、フィギュアで使ったような、人体デッサンを元にしたデータ量を増やす手法は使えません。
架空銃器で使った、構造や素材、工法から類推する手法も、これまた使えない。

だから、出渕裕先生が0080のザクFZやズゴックEでやったような、またはカトキハジメ先生のVer.Kaのような、元デザインを踏襲しつつ情報量を増やすという、リデザインが必要になっちゃうと。
両先生と同じ仕事ができるのかというと、、、難しいっていうより「それは無理!」ですね。

だから、「プラレスラーを1/4スケールで作るのは難しい」んですよ。

ここで終わってもいいのですが、「難しいです」で終わっちゃうのは生産性がない。

なんとかするにはデザイン力を上げるのが本道ですが、受験テクニック(運転免許の学科試験で、設問に「絶対」と入っていれば✕とか、理数系の試験を逆順で解いていく*頭に配置される配点の低い穴埋め問題を捨てて、高配点の後ろの問題から先に解く)な的な、数点ぐらいですが、上乗せするノウハウがあるのですよ。

後編に続きます。


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