「われら星雲!」『ウルトラマンX』第9話 もう、バカだなあ……

 バラエティに富んでるなあ、ウルトラマンX。

 シリアスに怪獣(自然環境)との共生を目指す1~2話。
 かつて神性をおびた存在として描かれたウルトラマンを、共感できる友人として描いた5話。
 共通しているポイントは、「出自の異なる相手でも、共に生きることができる」というテーマかもしれない。
 と、今回の「われら星雲!」にも、同じテーマが見えてくる。

 花型ラグビー選手としての自分に挫折し、自分の人生から逃げ出した若者が、地球人の姿に身をやつして「シェアハウス星雲荘」で暮らしている3人の宇宙人と出会う。
 最初は人間ではない彼らに身構えてしまう若者は、しかし生活に困っているにもかかわらず、落ちている財布を正直に警察に届けるような彼らのひとの良さに心を許していく。
 そんなときに現れたのが、星雲荘住人のひとりバルキー星人のペットを狙って現れた悪い宇宙人たち(レオの宇宙人はこういう小悪党向いてるよなあ……)。
 ペットの宇宙生物を賭けた勝負に、青雲荘の面々は若者の経歴を頼りに「ラグビー勝負」を提案する。
 ラグビーを捨てようとしている若者とひとのいい青雲荘の住人たちは、果たしてこのラグビー勝負に勝てるのか……

 全編ばかばかしさ満載のバカ話として構成されているこのエピソードでも、目標に挫折したラガーマンが、ひとのいい宇宙人との交流を通じて折れた心を立て直すという物語を通じて、宇宙人と地球人の共感、協調を描いている。
 反則も辞さない悪者宇宙人のラフファイトに倒れる青雲荘の「仲間」の姿に奮起した若者が、怒りに燃えて反撃に転ずる場面などは、映像的にはギャグそのものなのだが、ちょっとほろりと来てしまった。
 友情っていいなあ!

 パワー強化のゴモラアーマーでスクラム勝負! やケムール人は無駄に足が速いとか、細かいところも設定を拾ったネタ振りで楽しいし、クライマックスの「エックス対4人の宇宙人」の殺陣も、コミカルな要素をいれこみつつ、格闘映画ばりの工夫があって燃えるし、映像的にもけっこう見どころは多い第9話。

 正直、本来シリアスなキャラクターを背負っている世界で、この種の「日常ギャグに引き下ろす」手法は嫌いな方なんだけど(背広着て通勤電車に乗るウルトラマンとかね。大嫌い)、ぎりぎりのところで世界観を崩さず踏みとどまって、しっかり面白く作られているから、ついつい最後まで見ちゃった。
 やっぱり面白い、『ウルトラマンX』。

 次回はなにやら社会風刺エピソードらしい。ほんとバラエティに富んでるなあ。

……ていうかこれ、バカ物語だよね?>日本バカカード協会員諸兄

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