グルーピング

マーケティングを勉強しているのに儲からない理由

マーケティングを勉強しているのに、ちっとも儲からないのは、

               心構えの問題

という主張を、どこかで見聞きした。amazonのレビューだったような気もする。

決して間違いではないが、正しくもない。なぜなら、

    マーケティングを勉強しているのに、ちっとも儲からないのは、

          個別具体的にプランニングできていないから

である。


形式知化された理論に触れては「ほほぉ~」と感心するばかりで、

       ・どうやってセグメンテーションすれば良いか?

       ・誰をターゲットにすれば良いか?

       ・どういうポジションに立てば有利か?

       ・どんな製品を作れば売れるか?

       ・どうやってプロモーションすれば良いか?

といったマーケティングの基本はもとより、

        ・どういうヘッドラインにすれば興味を引くか?

といったコピーワークに至るまで、マーケティング理論を、自分のビジネスに照らし合せて、プラン化およびカスタマイズするのが難しい。

難しいから困難。しかし、理論は知った。ところが、“知る”と“わかる”の溝は、広くて深い。“できる”となると、なお細部に至るため、もっと広くて深い。

ソリューションとは

どれくらい難しいかというと、たとえば、広告代理店など数社がプランを持ちよるコンペの場合、採用されなくても、何万円から何十万円かの企画料が出ることもある。(もちろん、出ないことのほうが圧倒的に多い)

このように、マーケティングのプロ達が、経費と時間と労力を総動員して考え出すのが『企画』である。
企画と呼ばずに『ソリューション』(解決策)と呼ぶこともある。

これが、何十万円やら何百万円で取引される。私の会社でも「企画費」という名目の請求書を何通発行したか覚えていない。

案は無形なれど、それほどの価値があるということであり、それほど難易度も高くなる。


そうした、個別具体的なプランとなって、はじめて、個々のビジネスに則した実効性のあるソリューションへとマーケティング論は変態する。

よって、ソリューションを考え出せないからといって、悲観することはない。マーケティング学の教授だって考え出せないのだ

(もしも考え出せるなら、コトラー教授のように、コンサルティングの依頼が企業から殺到していることだろう)

理論をプラン化するのが難しいのであって、マーケティングを勉強していても儲からないのが悪いのではない。

ぜんぜん気にすることはない。迷わずもっと貪婪に知識を吸収しよう。

マーケティングセンスを養う発想法

しかし、「考えられないよぉ~」と泣いているだけでは、左前になるのを待つばかりである。

では、プラン(ソリューション)を考る人達は、どういう思考回路をしているのだろうか?

本人に了解を取らずに名前を挙げるのはどうかと思うので、社名は伏せておくが、当社のクライアントに、前野さんというマーケティングの専門職がいた。

まさに、風が吹けば桶屋が儲かる式の奇想天外かつ自由奔放な発想を持ち味とする人物で、打ち合わせのたびに「へえ!」と感心した。

こうした、マーケティングに関わる人達は、オズボーンのチェックリスト法はもとより、ブレインストーミング法、KJ法、ゴードン法などの発想法を一通り知っている。


そこに、経験則という付加価値が加わり、その人なりの発想法が形づくられるのであろう。

上記の発想法は有名なので、ご存知の無い方々は、検索してみると良い。必ずどこかのサイトで公開されているハズだ。

それら、誰かが作った発想法を転載するだけでは面白くないので、調査分析法の中から、幾つかの発想法をご紹介しよう。

調査分析といっても、何も難しいことはない。

確かに、定量的な調査分析は、統計学を避けて通れないため、変数や偏差値といった数字が苦手な人にとっては、アレルギーの元になる。

グルーピング

おもちゃ箱をひっくり返した状態の与件を目の前にしたとき、マーケティング思考の人は、考えるともなしに何となく、グループ分け(グルーピング)する傾向がある。

マーケティングセンスが無いと嘆く方々の多くは、この“グルーピング”する癖が身についていないことが多い。

グルーピングとは、共通あるいは類似するもの毎に、それぞれを分類・配置・組み分けすることである。

たとえば、100人の人間がいたとしよう。

   ・人間は、男女どちらかのグループに100%グルーピングされる

   ・人間は、A・B・O・ABの4つの血液型に100%グルーピングされる

   ・会社は、営業部・総務部・経理部などにグルーピングされている

   ・人類は、国家や民族ごとにグルーピングされている

バカバカしいほど単純なことだが、グルーピングする癖がついていれば少なくとも、性別・年代くらいは無意識にセグメントするようになる。


さらに研ぎ澄ませば、別の角度からもグルーピングできるようになる。

   ・吉野家・すき家・松屋・らんぷ亭・なか卯・牛丼太郎・たつや

といえば『牛丼』でグルーピングされるが、これらに、

   ・小諸そば(立ち食い)・マクドナルド・サブウェイ・回転寿司

が加わると“早くて安くて手軽な食事”というベネフィットでグルーピングが可能になる。

すると、牛丼店の競合は牛丼店であると同時に、立ちそばであることも分るし、オペレーションの速さからすれば、ラーメン専門店であることも導き出せる。

そうやって発想を広げていく。

どうグルーピングするかが力量

グルーピングは、マーケティング発想の基礎といえる。

基礎だけに、マーケティングにかかわっている人達は、無意識にグルーピングする。

そして、無意識の段階をスッ飛ばして、会話を先へ進める。それで話が通じるからである。

しかし、マーケティング思考が身についていない人には、何でそうなるのか?何を話しているのか?まったくチンプンカンプンということが往々にしてある。

「マーケティング関係の人達の話は難しい」と感じたことのある人は、意識的に、グルーピングすることから始めてみては如何だろうか?

切り口は一つに限らないこと実感できるはずだし、どうグルーピングするかで力量が高まっていくはずだ。

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