来訪への三謝

感謝で迎える

「お客さんの迎え方」を酒の肴にお客様とサシ飲みしていたところ、次のようにおっしゃっていました。

『僕は、お店に立つ仕事をしたことがありませんので、的外れかもしれませんが、こう思うんです。

一歩でも、お店に入ってくれただけで、ありがたいんじゃないかな~と。

だって、お店の中に入ってもらわないことには、買ってもらえませんよね?

お店の中に入ってくれた時点で、買う確率は、かなり高くなっていますよね?

だったら、お店に入ってもらっただけで、ありがとうございますってお出迎えするのが本来の姿じゃないのかな?と。

そりゃあ、中には、冷やかしだったり、万引き狙いだったりする人がいるかも知れません。


でも、冷やかしが、実は下見で、次に来て買おうとしているお客さんかも知れませんよね?常習犯なら別ですが。

でも、100%冷やかし客だったり、万引き常習犯でもナイ限り、数ある店舗の中から、一つの店を選んで、店内に入ったってことだけで、特に東京のような大都市圏なら、奇跡に近いと思うんですよ。

だとしたら、よくありがちな「いらっしゃいませ」とか「こんにちは~」とかじゃなくて、「ありがとうございます」ってお迎えする……

もし、お客さんから

「どうして、お店に入っただけで、ありがとうございますって言うの?」

と問われたら、その理由をお話すれば、それが初会話の糸口になりますから、かえって良いと思うんです。

僕がお店を経営するなら、「いらっしゃいませ」でも「こんにちは」でもなく(お店に入ってくれて)「ありがとうございます」ってお出迎えしますよ』


この話を、どう受け取るか、正誤はありません。問題は、感謝の有無。

「ありがとうございます」と出迎え 「ありがとうございました」と見送る。

あなたは、どう思ったでしょう?
私は店舗の“新しくて正しい挨拶の仕方”だと思いました。

売買は取引

とはいえ、中には、「こんなに破格値で売っているんだから、ありがとうってコッチが言って欲しいよ」と思うこともあるでしょう。

しかし、それは、単なる安売りであって、価格戦略とプロモーション戦略の中にロス・リーダーが組み込まれていないだけと私は診断しました。

単なる安売りなら、安く売っている側が仕掛けた正当な取引である以上、別段顧客からお礼を言われる筋合いではなく、不平に思うくらいなら、安売りしなければ良いだけの話。

また、店舗の最前線に立っていると、「テメーなんか来るな」と叫びだしたくなるくらいマナーの悪い客は確かにいます。

これも、これは筆者も店舗のプロモーションをディレクションしている中で何度も体験しましたし、学生の頃にアルバイトでも経験しました。


しかし、店舗が、不特定多数向けの商売である以上、そういうお客さんは必ず存在するだけの話で、そういうお客さんが悪いのではありません。

ディズニーリゾートの有名な話を引用するならば、

「道に、ゴミを捨てるお客さんがいる。それは、お客さんが悪いのではない。
いろいろな人が集まれば、道にゴミを捨てる人が、必ずいる。それは仕方ない ことだ。
ならば、ゴミを捨てるな!マナーが悪い!と呼びかけるよりも、ゴミが落ちていたら、すぐに掃除できる体制を整えておくほうが現実的」

ディズニーリゾートはテーマパークだが、取引が行われる場所(店舗や施設)とは元来どういう場所なのか、根底から考えてみる必要があると共に、

考える際、感謝思考で考えるかどうかによって、ディズニーリゾートのように考えるか、不平不満を漏らすだけで終わるか、結論は異なります。


あなたは「客が悪い」と罵るタイプ?

それとも、あなたの許へ来てくれただけで有り難いと感謝するタイプ?

感謝思考

近ごろ、“感謝思考”で検索すると、沢山のサイトが検索されるようになりましたが、
わずか一年前まで“感謝思考”で検索して、ヒットするのは、私が作ったサイトのみでした。

それだけ、ゆっくりと“感謝思考”が広まっているのかも知れません。

それでもまだ、私の作ったサイトがGoogle1ページ目に2つ、Yahoo!1ぺージ目に4つ検索されますが、いずれは、1ページ目に表示されなくなるかも知れません。

これは自慢でも何でもなく、事実である。感謝思考という日本語は、1200年来ありませんでした。

“感謝思考”という至極ありがちな日本語が、初めて書物に載ったのは、私の
知る限り、拙著が最初ではないだろうか?違っていたら教えて下さい。

その“感謝思考”は、ビジネスにおいても、プライベートにおいても、心構え
の基本のように考えます。


しかし、押し付けるものではなく、気づいてくれるお客さんがいれば、それでいい。

ただし、感謝している心を伝えなければ、無きも同然である。ならば伝えましょう。

移動時間、移動経費、移動労力という3つの障害を乗り越えて、

「わざわざ来てくれて、ありがとうございます」

と、来てくれただけで感謝してもバチは当たらないでしょう。

来てくれた時間・費用・労力の3つに感謝する…来訪への三謝を忘れずにお迎えしましょう。

人の心を解すは“人”  人の心を解さぬも“人”

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?