木造住宅の地盤改良の必要性

今回のテーマは

【木造住宅の地盤改良の必要性】

についてです。

地盤改良について語るうえで【木造住宅】に限定したのは、
ビルやマンションなどとはまた違い、ひとえに同じ条件では語れないので限定しました。

建物を建築するうえで安全性の大前提となるのは、地盤の強度です。
建物自身がいくら頑丈なでも、建物が乗る地盤がグズグズでは、傾いたり沈んだりしてしまうからです。

数年前は、マンションの地盤改良工事が適正に行われずに建物が傾いてしまい、建て替えを余儀なくされるという事件も起きてしまいました。

こういったことが起きないためにも、地盤が十分な強度を保持しているかを確認する必要があります。
これを【地盤調査】と呼ぶのですが、木造住宅では大きく分類して２つの調査方法があり、

① スウェーデンサウンディング試験法
② 表面波探査法

が広く使用されています。

どちらも一長一短があるので、どちらが優れているということを断定できないのですが、木造住宅(一戸建て)に限ってということで、話を進めていきたいと思います。

建物というのは見てわかるとおりに非常に重たいものなのですが、
木造住宅は鉄筋コンクリート(ＲＣ造)の建物と比べれば、軽い部類と言えます。

ですので、木造とそれ以外(ＲＣ造や鉄骨造)では必要となる地盤の強度が変わってきます。
地盤の強度については【地耐力】という用語を使っているのですが、
構造計算や法律によって、必要となる地耐力は決まってきます。

建築予定地の地盤調査をすることによって、その土地の地耐力を確認することができるのですが、
調査によって地耐力が不足しているときには、【地盤改良】が必要となってきます。

地盤改良の主だった種類をザックリと説明すると、

　① 支持層まで杭を打つ
　② 基礎接地面の地面を固める

などがありますが、各工法の詳細は割愛します。

ちなみに、ビルやマンションの建設ではほぼ100％地盤に何らかの補強をしなければなりませんが、
さきにも言ったように木造住宅は軽い部類にあたるため、
地盤調査結果によっては地盤改良が不要なケースもよくあります。

念には念をということで、「地盤改良はしておいた方が良い」というのは誰しも考えると思いますが、その反面で、気づきにくい点も含めたデメリットもあります。。

① 予期せぬコストを考えておく必要がある
　→ 工事を追加しないとならないので負担がかかります。約50～100万が目安です。

② 工法次第では地中障害になってしまう
　→ 杭を打つ系の工法の際、次回建て替え時や土地売却の際は杭を除去する必要があり、不動産の取引上では地中障害物扱いとなってしまうからです。

　施工範囲規模や杭の深さなどにもよって変わりますが、数百万単位で費用発生や、 狭い道路や旗竿敷地のような条件下では施工自体ができないということも考えておく必要があります。

先にも申し上げたように、調査方法や改良方法の良し悪しというのは一概に決められないのですが、
私としてはこういったデメリットも考慮して、ご依頼いただいた案件では特にご指定がない場合、
木造住宅では【表面波探査法】で不動沈下防止のために地盤調査をし、
必要に応じて【砕石置換法】という地盤の一部を入れ替えて固める(転圧)方法を推奨しています。

今回は木造住宅の地盤改良についてお話させていただきました。